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財務戦略 グループCFOメッセージ

資本循環経営を進化させ、
持続的な企業価値向上を実現する

2024年度から始まった現中期経営計画(以下、現中計)は最終年度に入りました。この期間、当社グループは「変革と断行」を力強く推し進めた結果、2025年度の修正連結利益は5,000億円を超え、2025年度末時点の時価総額は5兆円超と2023年度末対比で2兆円以上拡大しました。

私のミッションは、この「変革と断行」の歩みを止めることなく、さらに高いレベルへ進化させることにあります。グループのファイナンス領域の最高責任者として、既存の枠組みや前例にとらわれず、あらゆる価値創造プロセスに深く関与していく覚悟ですが、特に重点を置くべき領域は2つと考えています。

まずは、グループの資本効率向上、つまりROEのさらなる引上げです。現中計開始以降、グループのROEは順調に向上していますが、さらに高いレベルへ進化するためには、各事業の資本効率向上に向けた徹底した取組みが必要不可欠です。同時に、キャッシュ・フロー創出を伴う質の高い利益にこだわり、グループの資本循環経営をさらに加速させていきます。

もう1点は、Aspen Insurance Holdings Limited(以下、Aspen社)に続くインオーガニックの成長投資です。グローバルピア対比では、当社は引き続き成長拡大を志向するフェーズにあり、創出資本を成長投資に振り向けていきたいと考えています。厳格な投資規律を前提として、成長投資に果敢にチャレンジし、一段階上の利益水準と、利益成長を通じた株主還元総額の増加を実現していくことが、中長期的な株主価値の最大化につながると確信しています。

グループCFO 田尻克至

2025年度の振返りと今後の見通し

2025年度は、国内外での自然災害減少などの追い風もありましたが、グループの修正連結利益は5,352億円となりました。国内損害保険事業では、SJ-Rの着実な推進による収益性の改善、加えて海外保険事業の順調な成長を背景に、2030年度の目標として掲げていた5,000億円を前倒しで達成しました。

また、2026年2月には5,000億円超の規模の成長投資となるAspen社の買収も無事に完了し、その後のPMIも順調にスタートしております。これは現中計の成長戦略における大きな成果となります。

現中計の経営数値目標として、2026年度の修正連結ROE13~15%、修正EPS成長率12%超を掲げています。2025年度時点では、修正連結ROEは13.4%、現中計期間の修正EPS成長率見込みは19%となりました。

この順調な進捗をさらに加速させるべく、私たちは現状に甘んじることなく、2030年度に向けた企業価値向上のターゲットをさらに引き上げ、高いレベルへの歩みを進めます。次のセクションでは、2030年度の目指す姿および達成に向けた成長ストーリーについて詳しくお話しします。

修正連結利益の推移

現中期経営計画の修正連結利益は年率14%成長を見込む。2025年度実績5,352億円に対し、2026年度予想は5,000億円。既存事業の成長と追加の成長投資で、さらに成長を加速させる方針。

  1. 2023年度までは日本基準ベース、2024年度以降はIFRSベース
  2. 基準となる2023年度の修正連結利益はIFRSベースの3,359億円をもとに計算

株価純資産倍率(PBR)と修正連結ROE*の推移

株価純資産倍率(PBR)は、2021年3月末から2026年3月末にかけて1倍未満から1倍を上回る水準へ上昇。修正連結ROEは2025年度13.4%。成長投資でROEを高め、PBRのグローバル同業他社水準への引上げを目指す。

  • 2021~2022年度は試算値、2026年度予想は金融市場変動影響などを中計策定時の前提に調整後のROE(調整前は11.0%)、期中の連結純資産は線形補完にて算出

修正EPS 成長率

修正EPSは2023年度338円、2024年度333円、2025年度586円。2025年度の期初予想395円を上回り、中期経営計画期間は年率19%成長のペース。

2030年度の目指す姿

修正連結利益・修正連結ROE・時価総額をさらに高い水準にしていきたいと考えています。

この企業価値創造を実現していくうえで、私たちがもっとも重要視するのは、修正連結ROEを安定的に13%前後に引き上げ、さらに向上させていくことです。オーガニックでの収益性向上に向けた取組み、およびインオーガニックの成長投資が、資本効率を引き上げるうえで重要と考えています。

理想とするのは、利益成長を伴ったROEの向上、つまり、ROEとEPS両方の持続的成長です。現中計開始後、EPSは順調に高い成長率を維持しています。今後も成長を持続していくためには、適切なリスクテイクによる利益拡大と、短期だけでなく中長期に効果が発現する成長投資が不可欠です。

良質な成長投資の実現を通じてさらなる上積みも狙っていきたいと考えています。

資本循環経営の進化

資本循環経営は、当社の財務戦略の中核です。つまり、持株会社は、各事業が創出した利益を最大限に活用するために、その資本をグループ経営数値目標である修正連結ROEおよび修正EPSの成長に資する投資や魅力ある株主還元に活用します。さらに、各事業への資本の再配賦、業績モニタリングなどといった役割を担います。現中計での資本循環経営の取組みが奏功し、ROEは順調に向上しました。

さらなるROE向上のためには、分子となる利益の成長が、分母となる純資産の成長を上回る状態を維持する必要があるため、資本活用をさらに厳格に行い、資本効率の低いリスクテイクを削減し、資本効率の高い分野に資本配賦を進めます。

また、資本循環経営を十分に機能させるため、事業間で円滑に資本移動をし、資本効率の高い分野に資本・資金を集中投下できる体制を確保する必要があります。このためには、今まで以上にグループとして各事業のキャッシュ・フロー創出力、資本の移動可能性(ファンジビリティ)を高めていくことが不可欠と考えています。こうしたグループ内の機動的な資金活用に加え、必要に応じて外部ファイナンス(調達)も活用していきます。その一環として、当社は、2026年4月に、本邦における新しいソルベンシー規制のもとで、初めて払込み済みTier2資本調達手段(構造上の劣後性を有するもの)に算入される要件を満たす、米ドル建シニア無担保社債を発行しました。

今後も、財務健全性、格付の維持・向上を大前提として、最適な資本構成・手段の追求と、資金需要への対応を両立していきます。

政策株式削減

当社は2030年度末までに上場政策株式の保有残高ゼロを目指しており、2025年度は、当初計画を上回る2,924億円の政策株式を削減しました。現中計期間の順調な削減実績をふまえ、当初6,000億円としていた削減目標を、今年度始めに9,700億円以上へ上方修正しました。

政策株式削減は、資本効率・ROE引き上げに寄与し、資本コストを下げることにもつながるため、必ずやり遂げる所存です。ただし、単に売却して、手元に資金を滞留させるだけでは、安定的な配当金収入の減少や必要以上の自己資本の蓄積を招き、かえって資本効率を低下させかねません。したがって、前述のとおり、規律を重視したインオーガニックを含めた成長投資や株主還元など、売却による創出資本・資金をバランスよく活用していくことが、資本循環のさらなる進化のための重要なポイントと考えています。

政策株式削減額

政策株式の中期経営計画期間の削減目標を、当初の6,000億円から9,700億円以上へ引き上げ。2025年度は2,924億円を削減し、2026年度は2,500億円以上の削減を予想。

上場政策株式保有残高の推移

上場政策株式の保有残高は2025年度末1.2兆円で、IFRS連結純資産の24%。2026年度末に純資産比20%未満の予想。2030年度末に保有残高ゼロとすることを計画。

  • 上場政策株式残高/IFRS連結純資産

成長投資

2030年度の目標の達成に向けては、インオーガニックな利益成長は不可欠と認識しており、成長投資機会は常に模索しています。そうしたなか、当社の投資規律、カルチャーにフィットする案件として、2026年2月にAspen社の買収を実現させました。5,000億円を超える大型の海外M&Aであり、当社グループの成長戦略実現に向けた成長投資となりました。現在、Aspen社のPMIを着実に進めていますが、順調に推移しています。

今後も、着実にプロセスを深化させることで、SOMPO P&C、特に海外保険事業における早期のシナジー創出をより確実なものにしていきます。

財務健全性を示すESR(Economic Solvency Ratio)はAspen社買収後も引き続き十分な水準であり、さらなる投資機会を追求可能です。P&Cの領域では、収益貢献・レジリエンスの向上に資する海外保険会社などのM&Aに対するアペタイトは引き続き強く持っており、現在も、SOMPOホールディングス・SOMPOインターナショナルの海外M&A専門チームが協働し、常に潜在的な投資機会を追求しています。海外P&Cマーケットは、ソフト化の顕在化とともに案件が増えている状況にあり、さらなる成長が見込め、リスク分散が図れる分野などを中心に可能性を検討します。

ウェルビーイング領域では、エコシステム実現に向けて、欠けているピース獲得に向けた投資を、厳格な投資規律のもとで追求していきます。直近では株式会社鎌倉新書と資本業務提携を締結し、一部出資を実行しました。

株主還元方針

現中計の株主還元は、予見性・安定性を高めるべく、修正連結利益の直近3年平均の50%を基礎還元とし、加えて、政策株式売却損益等(税後)の50%を原則として追加還元するとともに、機動的な資本水準調整についても検討する方針です。

一方で、当社株のバリュエーション(株価)が向上していることを背景に、配当利回りは低下傾向にあり、配当の観点では当社株の魅力度がやや低下していました。こうした課題認識に加え、今後も既存事業の収益性向上、Aspen社のPMIの着実な実行、成長投資の実行を通じて、さらなる利益拡大・レジリエンス向上が実現できると考え、配当性向を段階的に引き上げていく方針を打ち出しました。

2026年度はその第一ステップとして、配当性向を40%程度に引き上げ、2025年度の1株あたり配当(150円)から50円増配した1株あたり配当200円を見込みました。中期的には配当性向50%まで段階的に引き上げていきたいと考えています。また、成長投資と株主還元のバランスを適切に取りつつ、中期的な修正連結ROEの水準などを見ながら、必要であると判断すれば機動的な自己株式取得(資本水準調整)も検討します。

グループCFOとして、目指すべきROE水準の確実な達成に向けたアプローチをより一層重視し、成長投資と株主還元の最適なアロケーションを追求していきます。

一株あたり配当額(DPS)と配当性向

1株当たり配当は2025年度150円から2026年度予想200円へ増額を予定。配当性向は2026年度予想39%で、中期的に50%への引上げを目指す。

  1. 2013年度以降、2026年度予想を含む
  2. 配当額/修正連結利益、2021年度と2022年度の修正利益は一過性要因を除いた平年値ベース、2024年度までは日本基準の修正連結利益、2025年度以降はIFRSベースの修正連結利益の3年平均

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