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取締役会議長メッセージ

取締役(社外取締役) 取締役会議長 東 和浩 信頼回復と中長期的な企業価値の最大化を実現

取締役会のミッションステートメント

当社グループは、過去の一連の問題を受けて策定した業務改善計画の遂行を通じた信頼回復に取り組んでいます。皆さまの信頼を取り戻し、二度と同じ課題を繰り返さないために、私が取締役会議長となった2024年度以降、グループCAE(Chief Audit Executive)へのグローバル最適人材の登用、より客観性・透明性の高いプロセスの構築に向けた取締役会実効性評価の仕組みの見直し、役員選任方針や役員報酬に関わる基本理念の改定といったガバナンス改革に取り組んできました。

2025年度は、これまでの改革の歩みを土台とし、取締役会の役割と目指すべきものを明確にするため、取締役会としての「ミッションステートメント」を策定・公表しました。執行と同様に、取締役会の構成員も将来に向けて入れ替わっていきます。一連の改革を通じて目指してきた守るべき価値観や使命を明文化し、次世代へ引き継いでいくことが、グループをさらなる高みへと後押しするためには極めて重要と考え、取締役会で議論を重ね定めたものです。

このステートメントでは、「信頼回復」および「中長期的な企業価値の最大化」を取締役会の責務と位置づけ、「ビジネスモデルと事業ポートフォリオの再構築」、「適切かつ果断なリスクテイクを伴った成長投資」、「創業の精神である社会課題解決と持続的な成長の追求」の3つに取り組んでいくことを宣言しています。

特に強調したいことは「創業の精神である社会課題解決と持続的な成長の追求」です。SOMPOグループの源流は、「世のため、人のため」という想いから創業した日本初の火災保険会社であり、時代が巡って現在のSOMPOグループのパーパスは、「"安心・安全・健康”であふれる未来へ」の実現。すなわち人々に"安心・安全・健康”をお届けし、課題解決に貢献していくことです。次の世代においても、この創業の精神に立ち戻り、社会への貢献と持続的な成長の双方を両立させられるよう議論の拠り所にしていきたいと考えています。

コミュニケーションの活性化

取り組んできたことのもう一つの柱がコミュニケーションの活性化です。取締役会としても監督の実効性を高めるためにコミュニケーションの「質的進化」にこだわってきました。

充実した議論を展開するためには、社外取締役を含めた構成員がお互いの専門性や価値観、思考プロセスを深く理解し合い、フラットな関係性で「議論のキャッチボール」を行えることが不可欠ですが、より一層の議論の活性化のための適正規模を模索した結果、取締役会メンバーを13名から11名に変更しました。

議論の質の向上に極めて有効なのが、毎回の取締役会冒頭に行われる奥村グループCEOによる業務執行報告です。この報告は、形式的に整えられた成果の共有ではありません。経営トップが現在進行形でどのような経営課題に直面し、何を悩み、どのような危機感を持っているかといったCEOの「生の声」が率直に共有されます。これにより、社外取締役も執行側の置かれた状況を解像度高く理解することができ、本質的な議論につなげやすくなっています。

また、執行内でのコミュニケーションにも大きな課題があり、これまでもグループガバナンスや事業会社との接点の強化に努めてきましたが、2027年に実施される「SOMPOホールディングス」から「SOMPOグループ」への社名変更は、コミュニケーションの改善に大きく貢献すると考えています。「ONE SOMPO」の実現のためには、株式を所有する持株会社と事業会社という機能としての関係を越える必要があると感じています。保険や介護といった多様な事業の多様な社員が同じ目線でグループの未来を語り合うといういわば「有機的な一体感」を持った関係性を築き、事業を一体的に推進していこうという強い「意志」が社名変更には込められています。この経営陣の意図をグループのすべての社員が理解し、コミュニケーションのさらなる活性化につながっていくことを期待しています。

信頼回復と中長期的な企業価値の最大化に向けて

私たち社外取締役の役割である「監督」とは、執行部門を牽制し、そのスピードを抑えるブレーキではありません。むしろ、全員が同じ方向を向いて走っている執行側に対し、執行とは異なる立場から「案件を進めること自体が目的化していないか」「検討の視点にもれがないか」を丁寧に確認し議論していくことに意義があります。社外取締役は、「社外」であるがゆえに、意思決定のプロセスにおいて予定調和的ではない意見を述べることができます。例えば、社会一般に受け入れられるかといったステークホルダーの視点や、グループのパーパスに照らして適切かといった根本に立ち戻ることを問いかけるのです。この丁寧なプロセスがあるからこそ、執行側は確信を持って適切なリスクテイクに踏み出すことができるのだと思います。

現在、当社グループの業績は好調に推移しており、修正連結ROEや修正連結利益をはじめとする財務目標を前倒しで達成しました。一連の問題で失った信頼の回復と並行し、既存ビジネスの収益基盤の強化が着実に進んでいると評価しています。しかし、取締役会としては、業績という短期的な視点だけではなく、常に「中長期的な視座」を持ち続けることが重要であると考えています。

企業経営において、足もとの業績が好調なときだからこそ、将来に向けた次なる変革の準備を始めなければなりません。資本効率や短期的なリターン重視の視点に立てば、「高収益であるSOMPO P&Cに経営資源をより集中させるべき」という意見もあるかもしれません。もちろん、中核事業であるSOMPO P&Cのさらなる強化を前提としつつも、それだけに依存するのではなく、取締役会のミッションステートメントにも掲げた「社会課題解決と持続的な成長の追求」という創業の精神に立ち返り、将来の予測困難な環境変化に備えることが必要です。短期的な利益のみを追求し、今利益が出ている事業だけに依存する経営は、将来の予測困難な環境変化に対して脆く、企業の持続可能性を自ら損なうことになりかねません。

取締役会は、企業を支えている株主や投資家、お客さまや地域社会、従業員といったさまざまなステークホルダーの視点を意識しながら、SOMPOグループが信頼を回復し、中長期的な企業価値の最大化を果たせるよう、議論を活性化させ、執行部門の果敢な挑戦を力強く後押ししていきたいと思います。


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