AIを前提としたビジネスモデル変革
私のミッションは、グループ全体のDDAXを牽引し、AIを活用した既存事業の徹底的な生産性の向上と収益基盤の強化を実現することです。
当社グループが目指す損害保険事業におけるレジリエンスのさらなる向上と、ウェルビーイング事業における社会課題解決に資するさまざまなソリューションがつながるプラットフォーム構築に向け、AIを前提としたビジネスモデルの変革と新たな体験価値の創造を進めています。
目指す姿の実現に向け、現在は個別業務を代替する「AI 1.0」に加え、部門を横断したオペレーション全体を変革する「AI 2.0」に着手しています。将来的には人とAIが共生し、既存ビジネスの枠組みにとらわれない新時代のビジネスモデル「AI 3.0」を目指します。
当社グループの強みであるデジタルケイパビリティをさらに磨き上げ、生産性の飛躍的向上という次なる価値創造の源泉を生み出していきます。
「現場起点の価値創出」へのシフトとAI活用の環境整備
テクノロジーの進化によりだれもがAIを使いこなせる時代において、企業の競争力の源泉はテクノロジーそのものではなく、それを活用する「人」にあると感じています。「AI 2.0」へのオペレーション変革を着実に進めるなかで、企業価値向上の鍵はまさに「現場」にあります。顧客ニーズや業務課題をもっとも深く把握しているのは最前線の社員だからです。これまで当社グループは、国内外に250名規模の専門人材を擁する強力なデジタル部門を実装部隊とし「課題ドリブン」での解決を徹底してきました。現在はそこから一歩踏み出し、明確に「現場起点の価値創出」へとシフトしています。デジタル部門のみならず、現場社員が自らAIを活用できる環境を整えることが肝要です。当社グループの強みである「挑戦」の文化のもと、現場から新たな顧客体験やビジネスモデルの変革を生み出す
ことが、持続的な成長と企業価値向上を加速させる不可欠な要素であるととらえています。
「専門組織」と「現場の力」の融合
具体的な取組みとして、AI推進を主導するグループ横断組織「AI CoE」を設置し、全社への安全かつ効果的なAIの普及と、規律あるプロジェクト運営の体制を整えました。この推進体制のもと、「汎用型AI」と「特化型AI」の双方によるアプローチを展開しています。
汎用型AIの領域では、国内グループ会社社員約34,000人を対象とした「SOMPO AIエージェント」の全社展開を強力に推進しています。現場社員自らのAI活用を加速させるべく、全社員に対するトレーニングやAI活用をテーマとしたアイデアソンを開催し、現場のアイデアを短期間で仮説検証・実装できる実践的な環境を整備しました。
汎用型AIの取組みと並行して、特化型AIの全社的な実装も進めています。ここでは単なる個別業務の代替にとどまらず、部門のオペレーション全体の抜本的な改革へと踏み込んでおり、高度なAIの「専門知識」と業務に精通した「現場の力」を融合させることが不可欠です。
現在、国内外のデジタル・AI人材を擁する「専門組織」と「現場」の力を掛け合わせ、社内規程やナレッジをもとに照会への回答案を自動生成する「おしそんLLM」や、「代理店業務品質評価制度システム」など損害保険分野での取組みに加え、「データ駆動型在宅介護モデル」や「シニアデータモデル」などウェルビーイング分野での取組みを進めています。
データ活用によるウェルビーイング領域の価値最大化とAIの融合
SOMPOグループの全社的な事業変革であるDDAXにおいて、私は「データを活用したウェルビーイング領域の主要事業化と価値創造の最大化」を担っています。私が目指すのは、「AI活用」という言葉自体が使われなくなる未来です。かつてのインターネットがそうであったように、AIが社会や人々の生活に深く溶け込み、お客さまや社会に対して「安心・安全・健康」を継続的に提供し続ける状態を実現することこそが、当社グループの目指す姿でもあります。そのためには、社員一人ひとりが現場の課題に対して当事者意識を持ち、AIを自らの「最強の相棒」として使いこなさなければなりません。
人間ならではの知性や共感力を最大限に発揮できる新しい組織風土の醸成と、AIの利用を前提としたビジネスモデルの構築を力強く牽引していきます。
「現場の力」を組織の資産へ昇華する「両輪の視点」
昨今、企業はAIを主体的に使いこなしつつ、人間ならではの知性を活かすフェーズに突入しています。AIの導入そのものは、もはや目的ではなく、事業の成果にどう結びつけるかが問われています。AIの真の価値は、分析の高度さではなく、現場のデータから意味を見出し、お客さまの体験や日々の意思決定をより良い方向へ変革する「現実を変える力」にあると認識しています。SOMPOグループの最大の強みは、介護、健康、保険の最前線で培われた「現場の力」です。しかし現状では、現場の経験や勘といった暗黙知、あるいは日々の生活に関する断片的なデータが、組織全体の資産としてまだ十分に活用しきれていない領域も存在します。AIを競争力の源泉とするためには、散在するデータと現場の知見をテクノロジーと融合させ、確固たる事業価値へと昇華させる仕組みが不可欠です。現場の個別課題を深掘りする視点と、それらを組織全体の資産として俯瞰する視点、この「両輪の視点」が今まさに求められているのです。
ウェルビーイング領域のデジタル改革に向けて
現在、ウェルビーイング領域における各事業会社のデジタル化やデータの「見える化」を推進し、データに基づく事業プロセスへの変革を実行しています。特に注力しているシニアデータ領域では、日々の生活・介護データを施設運営やケアの介入改善に直結する資産へと変換し、介護の最前線においてデータに基づく意思決定の日常化を実現しつつあります。今後はこの取組みをさらに加速させ、介護・生命保険・ウェルビーイングという多様な顧客接点を横断で束ねることで、お客さまへの最適な提案を通じたLTV(顧客生涯価値)の最大化を図ります。同時に、デジタル施策の評価を定性的なものにとどめず、収益拡大やコスト・リスク削減といった客観的な指標で評価する厳格な投資運用モデルへと転換させます。デジタル投資に対する役割と責任を明確にし、確実な事業成果へと直結させることで、2030年度に向けたグループ全体の飛躍的な生産性向上と持続的な成長を実現していきます。