「利他」の精神
私は2016年にグループCDOとして入社以来、デジタル・データ・AIの戦略的利活用(DDAX)を牽引し、変革を支えるデジタル基盤の構築に努めてきました。2025年度からはCDOの役割を後進に託し、新たにデジタル・新規事業開発の責任者を拝命し、これまで培ってきたデジタル基盤を最大限に活かしながら、さらなる価値創造への挑戦を加速させています。私の根底には、事業を通じてお客さまや社会に本質的な価値を提供したいという「利他」の精神があります。これはSOMPOグループのパーパスの体現そのものであり、私たちが目指す「利他」とは、社会が抱える構造的な課題を持続可能なビジネスモデルによって解決することです。この徹底した利他の追求の先にこそ、持続的な成長と企業価値の飛躍的な向上という「自利」がもたらされると確信しています。
持続可能な社会インフラ
「社会課題解決の事業化」はCDO時代から布石を打ってきた領域であり、その先駆けは米Palantirとの合弁会社Palantir Technologies Japan株式会社の設立でした。同社のデータ基盤は災害対応や介護といった社会課題の解決に貢献するとともに、SOMPOグループの収益性向上にも寄与しています。加えて、グループ外の事業会社でも同社基盤の活用が進んでおり、日本企業のDX推進を後押ししています。
そして、2021年設立のSOMPO Light Vortex株式会社(SLV)が、社会課題解決の事業化の中核を担っています。例えばモビリティ領域では、循環経済の構築を見据えオークスモビリティ株式会社を通じて事故車オークション事業等を推進しています。これは環境負荷低減という社会的価値と当社の強固な顧客基盤を掛け合わせた高収益モデルであり、すでにグループ全体の業績へ大きく貢献しつつあります。
さらに、これらの成長ポテンシャルを早期に具現化すべく、2025年8月に事業開発部を立ち上げました。同部のミッションは、中核事業の発展を隣接領域から先行して支え、グループシナジーを最大化することです。EV(電気自動車)関連ビジネスや高齢者住宅関連ビジネスなど、将来の収益源となるソリューション開発を着実に進めています。また、「食の安全保障」という喫緊の課題に対し、SLVを通じて株式会社農業総合研究所をグループに迎え入れ、食農事業へ本格参入しました。同社が持つ全国規模の青果流通ネットワークと当社のAI・デジタル技術を融合させ、新たな流通プラットフォームを構築します。ここから蓄積される独自データを既存の保険商品開発や防災、介護配食サービスなどの高付加価値化へと還流させることで、「社会課題の解決」「提供価値の向上」「持続的な収益貢献」を同時に成立させるデータエコシステムを確立していきます。
「第三の柱」
私の最も重要な使命は、SOMPO P&C、SOMPOウェルビーイングに次ぐ「第三の柱」となる新規事業の創出です。従来の金融・保険の枠組みにとらわれず、持続可能な社会のインフラとなる新たな事業領域を構築していきます。社会課題解決そのものを最大の成長機会ととらえる当社グループにとって、新規事業開発は中長期的な成長を牽引する中核エンジンです。ステークホルダーの皆さまのご期待に応えるべく、「利他」の精神を原動力とした早期事業化と強固な収益基盤の確立を徹底し、新規事業を確固たる「第三の柱」へと成長させ、企業価値の飛躍的な向上にコミットしていきます。