海外保険事業の戦略上の役割と方向性
海外保険事業は、「世界のレジリエンスとウェルビーイングのためのプラットフォーム」となるというSOMPOグループが目指す姿を実現するうえで、中心的な役割を担っています。近年、事業規模を拡大し、保険引受能力を強化するとともに、グローバルで事業を拡大してきました。
2025年度のAspen買収は、この長期的な道のりにおける大きな一歩であり、成長戦略を加速させるとともに、スペシャリティ(新種)保険および再保険プラットフォームを拡充するものです。
前中期経営計画期間では、主要な取組みを策定して海外保険事業としての戦略の方向性を明示しました。すなわち、「規律ある成長」、「ポートフォリオの質の向上」、「資本効率化の促進」、「重点市場の拡大」、「スペシャリティ保険と再保険のさらなる充実」です。
業績と戦略面での進展
業績を評価するにあたっては、根幹となる事業の強みと、前中期経営計画期間中に実施された主要な戦略的施策の影響の両方を認識することが重要です。
SOMPOインターナショナルは、SOMPOグループの業績を牽引する主要な原動力としての地位を維持しており、グループの修正連結利益の約49%をもたらしています。
この成果は、海外保険事業におけるすべてのセグメントでの成長、順調な契約の更新、保険引受実績の改善を反映しています。
Aspenの買収は2026年2月に完了しました。その効果は、規模と戦略的ポジショニングの両面で重要であり、保険・再保険ポートフォリオおよび英国での事業基盤をともに強化するだけでなく、資本市場ビジネスへのアクセスを確保し、ロイズ市場を通じて70のグローバル市場へのアクセスを強化するものです。また、従来はプレゼンスが限定的だった市場においても、ビジネスチャンスを追求する余地が広がります。以上の意味において、Aspenの買収は、収益と保険料規模を拡大させるだけでなく、より多様でグローバルに連携したビジネスモデルへの進化を加速させる戦略的な推進力として位置づけられます。
ビジネスユニット別の実績
再保険事業(SompoRe)
- 市場環境の変化にもかかわらず、プロパティ(財物)保険、災害保険、スペシャリティ保険事業の成長に支えられて、グロス保険料総額は更新前契約ベースと比較して3%増加し、45億米ドルとなりました。
- 保険引受利益は3億720万米ドルとなり、コンバインドレシオは92.1%と前年度から上昇したものの、引き続き優れた水準を維持しました。これは、北米のカリフォルニア州山火事も含めた自然災害損失の増加によるものです。
- Aspenの買収により、再保険事業(SompoRe)は、高収益を確保し、世界トップ10の再保険会社の一角を占めることとなります。
米国保険事業(North America Insurance、AgriSompo、ラテンアメリカ)
- グロス保険料は前年度比2.1%増加の83億米ドルとなりました。これは、その他P&C商品における低料率や農産物価格の低下といった事業環境にもかかわらず、地理的拡大施策による新規事業の増加や北米のカジュアルティ(賠償責任保険など)における保険料率の継続的な引き上げ、一部の農作物補償商品の契約が拡大したことによるものです。
- 保険引受利益は2億7,480万米ドルとなり、前年度の57.9百万米ドルから大幅に改善しました。これは主に北米保険事業における保険引受によるものです。自然災害損失の減少によるプラスの影響がありましたが、2024年度に再保険事業で実施した農作物損失に対する前年度引当金の積み増しにより一部相殺されました。
- カナダでの人材、商品、事業力への投資に加え、SOMPOの米国拠点の戦略的拡大が収益性の成長を後押しし、市場におけるSOMPOのプレゼンスを強化し、北米保険事業の全体的な業績に貢献しました。
EMEA保険事業(英国、欧州大陸、トルコ)
- グロス保険料は、16.1%増加し34億米ドルとなりました。これは、主に、欧州大陸における収益成長(グロス保険料の倍増)とトルコにおける自動車保険の拡大によるものです。
- 保険引受損失は9,750万米ドルとなり、前年度の保険引受利益1,450万米ドルから悪化しました。これは、欧州大陸での戦略的成長投資、2025年度上期の英国における巨額の損失、トルコでのインフレによる保険金支払コストの増加の影響によるものです。一方で、トルコにおける投資利回りは33%と高水準を維持し、当該事業の収益に貢献しました。
アジア太平洋(APAC)
- グロス保険料は前年度比5.4%増加の8億5,370万米ドルとなりました。これはコンシューマー向け事業の成長によるものです。一方で、コマーシャル事業でのポートフォリオ管理と1件あたりの保険引受規模の調整により、グロス保険料の増加幅が一部相殺されました。
- 保険引受利益は2,820万米ドルと、2024年度の3,440万米ドルからわずかに減少しました。これは、局地的な自然災害などコマーシャル事業で大きな損失が発生したことによるものです。契約獲得費用率は前年度比1.3ポイント上昇しました。これは、フロンティングへの依存を低下させ、法人向けポートフォリオの最適化を進めていることを反映したものです。
今後の成長に向けた戦略
SOMPOの海外保険事業では、今後も収益性を重視した規律ある成長を戦略の中心に据えていきます。特に、まだ十分に開拓されていない市場を重視して、有望な機会を選別的に追求します。それと同時に、経営層の「保険料規模ではなく、収益への貢献を重視する」という明確な方針のもと、引き続き取組みを進めていきます。
また、テクノロジーとAIは、事業政策において一層重要な役割を担うことが見込まれます。保険の引受、販売、オペレーションにおいてデータがますます不可欠なものとなるにつれて、AIを効果的に活用する能力が競争力の源となります。機会としては、意思決定の質の向上や効率性の向上、サービスの質の向上、ならびに海外保険事業プラットフォーム全体での専門知識の拡大にあります。その一方で、成果を収めるためには、バイアス、データ品質、規制当局の期待に関する課題への対応を含めた、強固なガバナンスと慎重なリスク管理が不可欠です。
もう1つの重要な戦略的なテーマは企業文化です。SOMPOの海外保険事業プラットフォームが拡大し複雑化するなかで、機動性を維持し、不要なルールに縛られないことが重要です。私たちの狙いは、明確なガバナンスと強力な説明責任のもとで、グローバルで連携しながらローカルでの裁量権が尊重される事業環境を構築することです。このバランスこそが業績を持続し将来の事業拡大を支えるうえでの中核を成すものです。
海外保険事業は、グループ全体の規模の拡大だけではなく、より統合的で多角的な特徴をもつという側面において、戦略的な重要性がますます高まっており、SOMPOグループの変革に向けて極めて重要な役割を担っています。海外保険事業は多角化を通じて収益に貢献し、グループのグローバルプレゼンスを拡大し、レジリエンスを高め、グローバルな連携を促す業務モデルの構築を牽引しています。
今後は、保険引受における規律を維持し、選択的な成長を追求し、テクノロジーとAIに関する能力を強化し、引き続き、グローバルな事業展開とローカルの強みを兼ね備えた事業の構築を図るという明確な戦略を遂行していきます。これにより、SOMPOグループの長期的な価値創造の中核エンジンとして、グループビジョンの実現に貢献し続けることを目指します。