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国内損害保険事業

変革を力に、
「 新しい損保ジャパン」の実現へ

信頼回復への取組み

自動車保険金の不正請求への対応、企業向け保険の保険料調整行為に係る業務改善計画に基づいた対応を開始してから、2年以上が経過しました。また、乗合代理店との間で発生した保険契約情報等の不適切な管理についても、再発防止に向けた対応を継続しています。

私たちは、この一連の事案を決して風化させず、企業文化の変革やガバナンス強化に取り組んできました。現場第1線からの声に耳を傾けると、現場主導の自律的な改善活動、部門の垣根を越えた対話の活性化、ネガティブ情報の迅速な報告など、社員の意識と行動には前向きな変化が数多く生まれています。

お客さま、地域社会、株主の皆さまなど、あらゆるステークホルダーの皆さまから「損保ジャパンでよかった。SOMPOでよかった。」と評価いただける“新しい損保ジャパン”の実現に向けて、引き続き全社員一丸となって取り組んでいきます。

損害保険ジャパン 代表取締役社長 石川 耕治

企業文化の変革とガバナンスの強化

当社は業務改善計画に基づき、全183の具体的な施策を、全社をあげて実行してきました。2026年5月末時点では、施策の半数以上が新しい内部統制として確立された状態を指す「効果浸透・定着」のフェーズにあり、残る施策の大半が「効果継続」のフェーズとなっています。

私たちが目指すのは、「現場の一人ひとりがルールの背景にある本質や目的を深く理解し、いかなる状況下でもプリンシプルベースで正しい行動を自ら判断し、実行できる状態」です。この本質的な取組みを追求した結果、社内には3つの確かな兆しが見え始めています。

一つ目は「企業文化の変革」です。現場では、業務に潜むリスクを自認し対処する「リスクオーナーシップ」の意識が着実に向上しています。過去の失敗から学ぶ「振り返りの日」、現場の声を経営に直接届ける「どろたまBOX」、そして過去の教訓を未来へ語り継ぐ「伝承室」といった取組みを通じて、社員のなかに「自分たちがこの会社を変えよう」という熱量の高まりを感じています。

二つ目は「経営管理態勢の強化」です。現場(第1線)、管理部門(第2線)、監査部門(第3線)が各々の役割と責任を明確にし、相互に牽制を働かせながら、問題の早期発見と是正に向けたPDCAサイクルが定着しており、また、適切な損害調査体制、公平かつ適切な保険金支払いの徹底など、業務プロセスの見直しも進展しています。

そして三つ目は「構造的問題の解消」です。これまでの慣習にとらわれず、お客さま本位の業務運営に資さない出向形態は廃止としました。代理店評価体系も「品質重視」へと移行し、代理店の自律的な態勢整備を支援する仕組みへと転換しています。

SJ-Rを通じた事業基盤の変革と収益力の向上

2024年度に開始したSJ-Rは、「お客さま・社会からの信頼回復」と「損害保険事業における収益力の向上」という、二つの目的を同時に達成することを目指すプロジェクトです。今年度は、その実現を目指す年度となります。

昨年度、当社は「事業基盤の強化」にリソースを注ぎ込んできました。リテール事業では、代理店との連携を深化させながら「品質向上」を図ると同時に、事務品質サポートセンターの稼働による「品質と生産性の向上」を推進しました。コマーシャル事業では、複雑化する企業リスクに応えるため、アンダーライティングをはじめとする「専門性」を強化する体制を整えました。そして保険金サービス部門では、「お客さま信頼品質基準の浸透・定着」に取り組んできました。

これらの取組みは、当社の収益構造にも確実な変化をもたらしています。特筆すべきは、火災保険の収益性の改善です。将来にわたって保険商品を持続的に提供するためには、適切な収益水準を確保することが前提となります。現場と本社部門が連携し、料率の適正化や引受ガイドラインの見直しなどの改善を積み重ねた結果、火災保険は安定的な収益水準が確保できる商品となりました。また、もう一つの主力商品である自動車保険は、厳しいインフレが続くなかでもデータ解析とプライシング技術の進化を背景に、採算性の改善を進めています。

結果として、昨年度の国内損害保険事業の修正利益は2,194億円と、過去最高益となる水準に達しました。自然災害が比較的少なかったこともありますが、お客さま信頼品質基準に基づいたお客さま対応と、日々のオペレーションの改善が、着実な成果として結実したものと考えています。今年度はこのモメンタムをさらに加速させるとともに、SOMPO P&Cとして、海外保険事業との連携を深め、国内・海外それぞれが有する知見や専門性をより高いレベルで融合させながら、国内損害保険事業がグループ全体の成長ドライバーとして力強く牽引する存在となることを目指します。

未来への成長戦略:「HIKESHI DNA 2030 Project」の始動

私たちが直面しているのは、人口減少、自然災害の激甚化・頻発化、サイバーリスクの増大、そして損害保険業界におけるルール刷新など、かつてない事業環境の変化です。こうした時代において、これまでのように事故が起きたあとに保険金をお支払いするだけの保険会社では、社会の期待に応え続けることはできません。

そのため、私たちは新たな未来への成長戦略として「HIKESHI DNA 2030 Project」を始動しました。これは、事後的な補償にとどまらず、防災・減災という事前領域、そして事後の復旧支援領域へと事業のフォーカスを広げるものです。万が一の事故だけでなく、災害が起きる前、そして災害後も頼りになる損保ジャパンというブランドを確立し、「真にお客さまから選ばれ続ける会社」へと進化します。

契約データや気象情報、衛星画像などを統合し、災害の予兆検知から被害予測までをカバーする高度なプラットフォームの構築。AI建物診断サービスに基づくパーソナライズされた保険の提供。そして、独自の強みを持つ戦略的パートナーとの連携。これらの取組みを多角的に展開することで、防災・減災における新しい社会価値を創出し、同時に当社の成長を確かなものとしていきます。

私たちは、人々のくらしを火災から守り抜いた「東京火災消防組」の地域社会への深い献身の精神を現代に受け継いでいます。そして、「HIKESHI」を、世界に通じる「高度なリスクマネジメントとレジリエンス」を象徴する言葉とし、防災・減災を日本の新しい文化にすることを目指していきます。

世のため、人のために進化を続ける

私たちが目指す姿は、単に業績の優れた企業になるだけではなく、すべてのお客さま、そして社会全体から「損保ジャパンでよかった。SOMPOでよかった。」と評価いただける存在になることです。そして、本業を通じて「災害に強く、だれもが安心して暮らせる地域社会の実現」を追求していきます。

こうした社会価値を提供し続けるためには、継続的に95%を下回るコンバインド・レシオ、グループとして13%を超える修正連結ROEなど、レジリエントな財務体質への進化が不可欠です。SJ-Rによる変革を最後までやり抜く。全社員の覚悟があって初めて、私たちの「世のため、人のために」というDNAが本物の価値として社会に届くと考えています。

私たちのなかに脈々と受け継がれる「HIKESHI DNA」を胸に刻み、社員一人ひとりの多様な力と情熱を結集して、世のため、人のために進化を続けていきます。

SJ-Rを通じた事業基盤の変革と収益力の向上

「お客さま、社会、そして自分にまっすぐ。」を基本理念として、業務改善計画を着実に遂行することで信頼回復に努めつつ、「事業基盤」と「収益基盤」の再構築に注力します。業務品質を高めながら、ポートフォリオ変革や、保険金サービス部門と営業部門の変革などに取り組むプロジェクト「SJ-R」を基軸として、態勢整備を進めています。

独自性とレジリエンスを誇る「新しい損保ジャパン」の実現を目指す

SJ-Rは、収益基盤の変革で投資余力を確保し、その投資で企業文化・ガバナンス・人材などの事業基盤を強化する。両者の循環により、損保ジャパンの競争力とレジリエンスを高める。

業務改善計画の進捗状況(概要)

業務改善計画の全183施策を進捗状況のフェーズごとに分類し、進捗を管理しています。2026年5月末時点で、全施策のうち52%が「効果浸透・定着」、45%が「効果継続」となっています。全施策の効果定着に向けて、着実な取組みを推進していきます。

損保ジャパンの業務改善計画は、2026年5月末時点で効果浸透・定着が52%、効果継続が45%、施策開始が3%。全施策の効果浸透・定着を目指す。

「お客さま、社会、そして自分にまっすぐ。」を基本理念として、業務改善計画を着実に遂行することで信頼回復に努めつつ、「事業基盤」と「収益基盤」の再構築に注力します。業務品質を高めながら、ポートフォリオ変革や、保険金サービス部門と営業部門の変革などに取り組むプロジェクト「SJ-R」を基軸として、態勢整備を進めています。

主要項目 主な進捗状況(2026年4月末時点)
企業文化の変革
  • 社員の生の意見を伝える仕組み「どろたまBOX」の投稿数は月間250件ペースで推移しており、継続的に声を上げ続ける文化が定着化
経営管理態勢の強化
  • 課題のある代理店に対する組織的対応の実施
    (2024年度の取組み開始以降、8回の代理店選定・対応を実施)
  • 不正請求対応専門部署の設置とトリアージ実施(10か月で約43,000件)
構造的問題の解消
  • 代理店出向者は2026年3月末までに全員帰任済み
  • 代理店業務品質評価制度の導入に先駆け、当社独自の支援策を展開

SJ-Rを中心とした収支改善効果

2025年度はプライシングのみならず、アンダーライティングの強化や支払保険金の適正化、事業費対策の進展などにより、+600億円の収支改善効果が発現しました。2026年度もインフレを主因とするマイナス影響が想定されますが、SJ-Rの各種取組みによってそれらを打ち返し、+150億円の収支改善を見込んでいます。

インフレ等による630億円の収支悪化を、増収や損害率・手数料・経費の改善等で補う。SJ-Rを中心とする2026年度の収支改善効果は750億円と、前年度比150億円増を見込む(IFRS)。

火災保険の収支改善

火災保険は当社グループの創業の原点となった商品であり、現代においては社会のレジリエンスを支える重要なインフラストラクチャーと言っても過言ではありません。損保ジャパンは、料率適正化の取組みに加え、恒常的に損害率が高いセグメントにおける規律ある引受けの徹底、補償条件の改善を通じた利益のボラティリティとリスク量の抑制を図ることでポートフォリオを改善しています。

E/Iコンバインド・レシオの推移
※ 日本基準

火災保険のE/Iコンバインド・レシオは2025年度実績77.5%、平年値ベース90.3%。2026年度は84.9%を予想し、平時に85%水準の安定維持を目指す(日本基準)。

企業文化変革に向けた取組み

社員が参加するタウンホールミーティングの様子

  • タウンホールミーティングと部門間ダイアログ

信頼回復に向けた企業風土改革の第一歩として、経営陣が全国の従業員と直接対話するタウンホールミーティングを重ねてきました(2026年5月末時点で延べ1,647部店、約18,000名参加)。また2025年からは部門を超えた相互理解・対話の場として「部門間ダイアログ」を開催しています(2026年3月末時点で延べ24回、約1,400名参加)。

現場・本社ダイアログで、リーダー、担当者と階層ごとに課題を共有し、解決策を議論するこの対話は、今も広がり続けており、風通しの良い組織風土を醸成しています。

損保ジャパンの伝承室
© 山之内淡,Tan Yamanouchi & AWGL
(株式会社AWGL一級建築士事務所)

  • 伝承室と振り返りの日(月間)

私たちが世の中から信頼を失った事実と、その記憶を風化させないために、「伝承室~教訓から学ぶ~」を設置しました。「その時何があったのか」「なぜ起きたのか」を振り返ることで、一連の問題に関する記憶を自分事として落とし込み、後世に伝えます。また、11月を「振り返り月間」として設定し、全職場で「すべてをお客さまの立場で考える会社」の実現に向けて実践することを考える職場ミーティングを実施しました。集約した声をふまえ、担当役員・部店長によるミーティングを実施しました。

HIKESHI DNA 2030 Project

外部環境の変化や業界ルールの刷新などをふまえ、新しい損保ジャパンの目指す姿を具現化するプロジェクトです。「災害に強く、だれもが安心して暮らせる地域社会の実現」を目指すことで「災害時も頼りになる損保ジャパン」というブランドを確立し、真にお客さまから選ばれる会社となることを目的としています。

  • 下図の内容は、現在検討中のものを含みます。

災害の発生前・発生中・発生後を通じ、防災教育、情報発信、保険金支払い、復旧・復興支援をつなぐHIKESHI DNA 2030 Project。企業や消防等と連携し、災害に強く安心して暮らせる地域社会を目指す。図には検討中の取組みも含む。

東京火災消防組

東京火災消防組の集合写真

1893年、東京火災保險會社は、当時の警視庁から正式に認可された唯一の私設消防団である「東京火災消防組」を結成しました。火災の報せがあれば、印半纏(しるしばんてん)をまとい、鳶口(とびぐち)を手に、いち早く現場に駆けつけ、延焼の防止や消火に奮闘し、お客さまや地域を守りました。東京火災消防組の印半纏や提灯には、鳶口のデザインを取り入れた同社の徽章が描かれています。

保険金サービス部門品質向上の取組み

損保ジャパンは、大規模自然災害発生時のお客さまへの迅速かつ円滑な保険金支払いを実現するため、DXを積極的に推進しています。従来、損害調査に必要な情報が複数システムに分散していたことから、被災されたお客さまへの訪問順の整理や、調査に必要な資料の準備などに多くの時間を要していました。この課題に対し、データ・AI活用の先進企業であるPalantir社、ABEJA社と連携して必要な情報を一元管理する仕組みや、業務支援アプリケーションを整備し、損害調査資料の準備、実地調査の手配、アポイント管理などを効率化しています。

このような災害時のお客さま対応力の強化を通じて、HIKESHI DNA 2030 Projectが目指す「災害に強く、だれもが安心して暮らせる地域社会の実現」に貢献しています。

大規模災害発生時の保険金支払いにおける業務効率向上の取組み

大規模災害時の保険金支払いで、調査書類の準備、調査員への案件差配、支払い書類の点検に関する管理をアプリケーションで自動化し、業務を効率化する。

ウェザーニューズ社との「HIKESHIパートナーシップ」

ウェザーニュースLiVE内のコラボ番組「HIKESHI ACTIONS」の放送画面

損保ジャパンは、2026年4月に世界最大級の気象会社ウェザーニューズ社と「HIKESHIパートナーシップ」を締結しました。「防災を日本の新しい文化へ」をスローガンに掲げ、ウェザーニューズ社の高精度な気象データ・観測網と、損保ジャパンのリスク管理ノウハウを融合。その第一弾として、同年6月より24時間365日放送の気象番組『ウェザーニュースLiVE』にてコラボ番組『HIKESHI ACTIONS!』の放映を開始し、アプリやSNSを通じた大規模な共同プロモーションを展開しています。

社会全体で一人ひとりの防災・減災意識を向上させ、災害から命と大切なくらしを守るための具体的な行動変容を強力に促すとともに、「HIKESHI」の認知度向上にも努めていきます。

DRS Groupとの提携による車両修理プラットフォームの共創

車両修理作業の様子

損保ジャパンは、2026年5月にペイントレス・デント・リペア技術の世界的リーダーであるドイツのDRS Groupと戦略的パートナーシップを締結しました。近年激甚化する雹(ひょう)災害に対し、部品交換や塗装を伴わず短時間でへこみを復元する最高水準の技術と、20秒で損害を特定するAIスキャナーを活用。被災地へ72時間以内に初期診断拠点を開設し、見積もりから請求まで一気通貫でデジタル化する体制を構築しました。廃棄部品や塗料使用を極小化することで、環境負荷を徹底的に低減し「循環経済(サーキュラーエコノミー)」の実現に貢献します。「保険金を迅速に支払う」だけにとどまらず「車両の復旧まで伴走する」ことで、持続可能な社会インフラを支え抜きます。

防災ジャパンダプロジェクト

「世のため、人のため」という創業の想い「HIKESHI DNA」を胸に、地域の課題解決に向け、将来を担う子どもたちとその保護者を対象にした体験型防災ワークショップ「防災ジャパンダプロジェクト」を展開しています。損保ジャパンの社員の提案により地域の取引先や代理店などと連携して開催されるなど、保険の取引を越えた地域の課題解決に向けたソリューション提供の輪が全国各地に広がっています。

防災ジャパンダプロジェクトで、水害きせかえゲームを行う様子

水害着せ替えゲーム

防災ジャパンダプロジェクト開催数

開催数は2021年度37件、2022年度115件、2023年度182件、2024年度291件、2025年度552件


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