介護・シニア事業

SOMPOのパーパス実現に向けて介護・シニア事業の提供する価値


日本では少子高齢化の進展に伴い、介護サービスの需要が拡大する一方、労働力の減少により、支える人と支えられる人のバランスが大幅に崩れることが懸念されています。さらに社会保障給付費の増大に伴い、財源が圧迫されることで社会保障制度の持続可能性が危ぶまれるなどの大きな課題に直面しています。また、新型コロナウイルス感染症などのニューリスク出現やデジタル技術の進展など、私たちを取り巻く環境は急速に変化しています。
これらの環境をふまえ、介護・シニア事業では「介護の未来を変えていく」というブランドスローガンを掲げ、デジタル技術・リアルデータのフル活用により介護オペレーターとして強みをさらに高めて成長するとともに、SOMPOケアのノウハウをベースにエコシステムを構築することで介護産業の持続可能性向上に取り組み、より多くの介護が必要な高齢者を支えることを目指します。これに加えて、認知症予防やアクティブシニアの社会・経済活動の支援を通じ、健康寿命延伸にもチャレンジすることで、健康で笑顔あふれる未来社会の実現に貢献できるよう取組みを進めていきます。

新中期経営計画 主要KPI

指標 2020年度実績 計画値 
2021年度
2023年度
事業別修正利益 73億円 65億円 80億円以上
売上高 1,318億円 1,375億円 1,620億円
入居率 89.4% 90.8% 93.8%

強みと機会、リスク

強み
  • 国内No.1シニアリビング居室数を基盤とする介護施設運営ノウハウ
  • SOMPOケアユニバーシティをはじめとする教育体制の充実による高い介護品質
  • 研究機関(Future Care Lab in Japan)と介護現場が一体となり新たな技術を実装する力
  • 約8万人のご利用者さまを基盤とした質・量を伴ったリアルデータおよびPalanti(r パランティア)との協業によるデータ分析力
機会
  • 高齢者数の増加に伴う介護需要の増加
  • デジタル・リアルデータを活用した従来の介護サービスの変革(品質向上・生産性向上の余地)
リスク
  • 介護人材の需給ギャップ拡大に伴う労働力不足
  • 介護保険財政のひっ迫による介護報酬の引き下げ懸念
  • デジタル・データの利活用の進展に伴い増大するサイバーリスク

前中期経営計画の振り返り

当社グループは、介護保険制度スタート以前から介護事業に携わり豊富な経験と実績を誇る大手介護事業者2社のM&Aにより、2015年度後半に介護事業へ本格参入しました。前中期経営計画では、早期に2社を融合し、当社グループとのシナジーを最大限に発揮するために人材確保・育成の強化、内部管理体制・ガバナンス強化を図り、既存施設の入居率改善を最優先に取り組みました。
人材確保・育成強化の観点では、2017年度に介護職向けの企業内大学「SOMPOケアユニバーシティ」を設立し、入社時研修およびその後の定期的なフォローアップ教育の体制強化を行いました。また、2019年度には地域No.1水準を実現する介護職の処遇改善を実施するなど、質の高い人材の確保に取り組み、前中期経営計画の期間を通じて正社員の離職率が約7ポイント改善し11.4%となるなど着実に成果が出ました。
内部管理体制・ガバナンス強化の観点では、虐待などの重大事故防止に向けた社内相談窓口の設置や事故発生時の社内報告ルールの整備など、内部管理体制の強化・構築を図りました。また、買収した介護事業会社2社の一体運営、業務統合を段階的に進め、2018年7月に現在のSOMPOケア株式会社として、1つの会社となり現在に至っています。
また、特に2018年度以降は将来の成長に向けた新たな種まきにも注力しました。2018年7月には「認知症に備える・認知症になってもその人らしく生きられる社会」の実現を目指し、当社グループ横断で認知症に取り組む「SOMPO認知症サポートプログラム」を開始しました。2019年2月にはIoT×介護の可能性を追求し、新しい介護のカタチを創造する未来の介護プロジェクトとして「Future Care Lab in Japan」を開設し、これまでに350件以上のテクノロジーを実証し、実際に10件を介護現場に実装することができました。さらに、2020年4月にはSOMPOケアが培ってきた事業運営ノウハウやサービスを他の介護事業者へ提供し、業界全体の持続可能性に貢献するソリューション事業を開始しました。加えて、2020年12月にはさらなる成長を目指すために当社グループとの高いシナジー効果が見込まれる東京建物シニアライフサポート社のM&Aを実施するなど、現在の中期経営計画につながる取組みを着実に実行しました。
これらの取組みの結果、既存施設の入居率は2016年度の83.7%から2020年度には89.4%まで回復し、経営目標である売上高は2016年度の1,107億円から、2020年度には1,318億円へ、修正利益は▲29億円から、73億円へと成長しました。


新中期経営計画

新中期経営計画において目指す姿


介護産業の持続可能性を高め、
より多くの高齢者を支える
より多くの高齢者の健康寿命を延伸する 


健康で笑顔あふれる未来社会を創る

SOMPOのパーパス実現に向けて介護・シニア事業では、少子高齢化やニューノーマルの到来などの社会課題を解決し、「介護産業の持続可能性を高め、より多くの高齢者を支える」「より多くの高齢者の健康寿命を延伸する」という2つの社会価値を提供することを目指しています。その実現のため「介護オペレーターとして支える」「エコシステムで支える」「アクティブシニアを支える」という3つのアクションを掲げており、この達成により世界に誇れる豊かな長寿国日本の実現に貢献し、健康で笑顔あふれる未来社会を創ることとしています。

目指す姿の実現に向けた戦略

 1  介護オペレーターとして支える

「Future Care Lab in Japan」で実証された安全で品質の高いテクノロジーの活用やリアルデータを活用した科学的介護の推進により未来の介護モデルを構築し、処遇改善を通じた質の高い人材確保により介護サービスの供給力を高めていきます。高い供給力を基盤として、自社開発と戦略的なM&Aを効果的に組み合せて、在宅介護から施設介護までのフルラインナップサービスを拡充するなど、自社の成長を通じて、拡大する介護需要を支えていきます。

 2  エコシステムで支える

約8万人のご利用者さまを基盤としたリアルデータとPalantir( パランティア)社のデータ分析技術を組み合せ、新たなソリューションを生み出す介護リアルデータプラットフォーム(RDP)の事業化を目指すとともに、SOMPOケアが培った事業ノウハウやサービスを他の介護事業者に提供するソリューション事業を拡大します。当社ではリアルデータとリアルサービスを介護事業者や隣接業界に広げていくことでエコシステムを構築し、産業全体の持続可能性向上に貢献し、より多くの高齢者を支えていきます。




 3  アクティブシニアを支える

介護が必要な方だけでなく、介護が必要になる前の高齢者へのサービスを通じて、自分らしく豊かに生きる社会の実現に貢献し、健康寿命の延伸、社会保障給付費の抑制にチャレンジします。その具体的な取組みとしてスマートコミュニティ事業と認知症サポートプログラムの2軸を展開していきます。スマートコミュニティ事業ではアクティブシニアの意識・行動変容を促し、社会参画の支援をすることで、Well-beingの実現を目指します。認知症サポートプログラムでは「認知症に備える・なってもその人らしく生きられる社会」の実現を目指しており、2021年度から認知機能低下の抑制に有用な認知機能低下予防サービスを本格展開します。


* 在宅で介護をするご家族など
 

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