財務資本:CFOメッセージ

当社は、強固なキャッシュ創出力・財務健全性をベースとして、さらなる利益規模の拡大、資本効率および利益安定性の向上を実現していきます

  財務健全性  

修正連結純資産
27,555億円

(2021年3月末)

売上高
34,342億円

(2020年度)

ESR
238%

(2021年3月末)

連結ソルベンシー・
マージン比率
872%

(2021年3月末)


  分散効果  

修正連結利益
3,000億円以上

修正連結ROE
10%以上

リスク分散比率
2020年度比
改善

海外事業比率
30%以上

新中期経営計画最終年度の目標値

CFOメッセージ

「SOMPOのパーパス」実現に向けて、
戦略的リスク経営(ERM)の枠組みに基づき、
資本政策を実行していきます。

グループCFO兼グループCSO 執行役専務
濵田 昌宏

当社は、「SOMPOのパーパス」の実現に向け、2021年度から3年間の新たな中期経営計画を策定しました。この計画は既存事業の収益性を高めて利益の安定化を図る「規模と分散」の追求、リアルデータの利活用などによる「新たな顧客価値の創造」、そして、「働き方改革」の3つの基本戦略で構成されており、これらを支える経営基盤として、資本政策を実行していきます。

資本政策に関する基本方針

当社の資本政策は、戦略的リスク経営(ERM)の枠組みに基づき、資本・リスク・リターンのバランスを適切にコントロールすることで、強固な財務健全性を維持しながら、グローバル水準の利益規模への成長と修正連結ROE10%以上を見込める着実な資本効率の向上、利益および資本の水準に見合った魅力ある株主還元(株主配当+自己株式の取得)の実現を基本方針としています。

資本効率の向上

グループの資本効率を持続的に高めるため、既存事業による安定的なキャッシュフロー創出を維持・向上し、創出したキャッシュフローを主にM&Aを含む成長投資やデジタル技術などの分野に活用することで、資本効率を向上しつつ利益水準を拡大させる取組みを行ってきました。新中期経営計画では、これらの取組みを1つずつ見直し、進化させることで、これまで中期的な目標としていた修正連結利益3,000億円以上の利益拡大、修正連結ROE10%以上の資本効率について、新中期経営計画の最終年度となる2023年度の達成を目指します。
なお、修正連結ROEの目標値は、CAPM*1によって推計した当社の資本コスト7%およびグローバルピアの平均的な水準をふまえて設定しました。

*1 資本資産価格モデル。リスクフリーレート+ベータ(当社株価の株式市場に対する 感応度)×市場リスクプレミアムで期待リターンを算出する手法

ここからは、一つひとつの取組みについてご説明します。新中期経営計画では、グループの中期的なリスクテイクの方針や方向性を明確にするため、従前のグループリスク選好を見直し、新たにリスクアペタイトステートメント(RAS:RiskAppetite Statement)を策定しました。RASは各リスクカテゴリーについて、リスク対比のリターンをふまえリスクテイクの方向性を示したもので、RASに基づき、資本効率の低い政策株式の削減やALM強化による国内金利リスクの削減を継続し、創出された資本およびキャッシュフローを活用して、資本効率の高い成長分野への投資を実行していきます。
新中期経営計画期間においては、1,500億円程度の政策株式削減、金利リスク削減については、国内生命保険事業で年間3,000億円の超長期債券購入をKPIとして定めています。
また、事業別にROEの目標を設定し、定期的に検証するなど、各事業の取組みの進捗を適切にモニタリングする枠組みを新たに導入することで、修正連結ROE目標達成の確度を高めていきます。
次に、成長投資です。各事業によって創出されたキャッシュフローは、後ほどご説明する株主還元への活用に加え、M&Aなどの成長投資の原資になります。新中期経営計画では、3つの基本戦略のうち「規模と分散」および「新たな顧客価値の創造」に資する成長投資に6,000億円規模の経営資源を配賦する方針としています。
「規模と分散」を進めるため修正連結利益や修正連結ROE、分散効果などの経営数値目標の達成確度を高めることを目的に、主に海外保険事業におけるM&Aおよびオーガニック成長への資本投下を想定しています。「新たな顧客価値の創造」を進めるため社会課題解決に貢献し、中長期的な成長性向上を目的に、リアルデータプラットフォーム(RDP)の構築やデジタルなど先進技術・ヘルスケア領域などへの資本投下を想定しています。
M&Aの検討にあたっては、当社事業戦略との整合性やグループとしてのシナジー期待に関する詳細な分析に加え、財務レバレッジをふまえたWACC(Weighted Average Cost of Capital, 加重平均資本コスト)、買収候補企業の特性などをふまえて設定したハードルレートを原則としてクリアすることを要件としており、規律ある投資態勢を確立しています。

修正連結ROE
10%以上の達成

資本コスト(7%程度)を
上回る資本効率の達成

*2 30年債換算

財務健全性の維持

強固な財務健全性を維持するため、経済価値ベースの「資本」と「リスク」を対比したESR(Economic SolvencyRatio)に基づく自己資本管理を行っています。
自己資本管理にあたっては、財務健全性および資本効率の観点から、適正な資本水準の目安として、ターゲット資本水準(ESR:200~270%)やリスク許容度を設定し、ESRの水準に応じて適切な資本政策を実行します。また、ESRの算定において、昨今の規制動向や国内外保険会社の開示状況などをふまえ、グローバルでの比較可能性を高めるため、国際的な資本規制に準拠した資本管理手法を採用し、財務健全性の維持に努めています。
なお、2021年3月末基準のESRは238%と、ターゲット資本水準の範囲内に収まっており、十分な財務健全性を有しています。

株主還元

株主の皆さまへの還元につきましては、財務健全性や事業環境などを勘案しつつ、持続的な利益成長による増配の継続を基本とし、株価・資本の状況に応じた機動的な自己株式取得も選択肢としながら、魅力ある株主還元の実現を目指します。
新中期経営計画では、修正連結利益の50%を基礎的な還元とし、利益成長により着実に還元総額(配当総額+自己株式取得額)を拡大させていきますが、業績動向や金融市場環境、 資本の状況などをふまえて追加還元を実施いたします。また、利益成長に合わせた増配を基本方針とし、株主還元に占める配当の割合を高めていきます。本方針をふまえ、2021年度配当は、2020年度配当から40円増配となる1株当たり210円(中間105円、期末105円)と、8期連続の増配を見込みます。


※ 追加還元は、以下の場合にリスクと資本の状況や今後の見通しをふまえて実施。追加還元を実施するケースは以下のとおり

  • ESRターゲットレンジ上限を恒常的に超過する場合
  • 自然災害などの一過性要因による減益時に前年度還元額の維持
  • 大型M&Aなどの成長投資が見通せない場合
  • その他資本効率改善などが必要と判断した場合

*3 2021年度以降はイメージ
*4 2021年度は予想

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