人的資本の向上に向けた取組み
3つのコアバリューを共有する人材集団の実現
グループの進化を支える企業文化を変革し、SOMPOのパーパスを実現していくためには、新中期経営計画の基本戦略である「働き方改革」を通じて、社員のやりがいや幸せを高め、飛躍的に生産性を向上することが不可欠です。そのために、当社グループでは、3つのコアバリューである、「ミッション・ドリブン」「プロフェッショナリズム」「ダイバーシティ&インクルージョン」を共有する人材集団の実現を目指します。その実現に向けて、さまざまなグループ共通人事施策を展開するとともに、取組み状況を体系化・可視化するフレームワークとして「生産性KPI体系」を導入し、進捗の確認および改善につなげていきます。

目指す人材集団実現のための主なグループ共通人事施策
1 自分および仕事のミッション明確化
MYミッションをベースとした自律的な働き方の実践
当社グループでは、「ミッション・ドリブン」な企業文化への変革を目指し、オンラインでのマネジメント研修「MYミッション研修プログラム」を開始しました。社員一人ひとりが、上司との対話の機会「MYミッション1on1」を通じて、自身のミッションと向き合うことで、自律的な働き方を実践しています。
MYミッションとは自分自身の人生のミッションを意味しますが、当社グループでは、内発的動機「WANT」を「心が動く瞬間」、社会的責務「MUST」を「解決すべき社会の課題」、保有能力「CAN」を「運命が与えた能力」とし、これら3つの輪が重なった領域を自らを突き動かすMYミッションと定義しています。そして、「会社の中の自分」ではなく「自分の中の会社、仕事」という考え方に基づき、一人ひとりがMYミッションとSOMPOのパーパスを重ね合わせ、日々の業務に取り組むことで、やりがいや生産性などをさらに高めていくことを目指しています。
昨年度当社で先行して実施した「MYミッション研修プログラム」を2021年度からグループ各社にて展開します。そして、当社グループの全社員がMYミッションを原動力として、使命感とやりがいを感じ、当事者意識を持って働くことで、エンゲージメントを高めるとともに、社会やお客さまへの新たな価値提供につなげていきます。
2 自律的なキャリア形成の促進
ジョブ型人事制度の活用
3つのコアバリューを共有する人材集団の実現には、自律的キャリア形成の促進が不可欠です。それぞれのMYミッションの実現に向け、キャリアの自己選択・社員の成長の機会を大きく拡充し、社員のやりがい・生産性を高めていきます。
本人主導のキャリア形成を実現するため、ジョブ型人事制度の導入を当社グループ内で拡大しています。当社では、ジョブ型人事制度を2020年4月に導入しました。職務(ジョブ)の内容に基づいて必要な経験・スキルを持つ人材を雇用・配置する制度であり、必要な専門性や業務の責任範囲が明確化されているため、自律的なキャリアを構築しやすくなると考えています。2021年4月には、当社のすべての部長ポストをジョブ型雇用に移行し、課長ポストもジョブ型雇用に順次移行するほか、各事業でも順次展開していく予定です。また、役員や部長、専門職などのキーポストにおける高度専門人材の積極的な外部登用も行っており、戦略的人材配置を進めています。
一貫性のあるグループ研修体系の導入や自律的な学びの促進
将来の当社グループの経営をグローバルベースで牽引できる人材を育成すべく、各階層向けに2021年度から刷新した選抜型研修を実施しています。上位層向けには、サクセッション・プランをふまえたカリキュラムや、若年層向けには、シンガポール国立大学ビジネススクールと提携した企業内大学「SOMPO Global University」を実施しています。多様性という観点から国内外のグループ会社を含め広く参加者を募っており、将来のグループ経営人材に対してグループ経営理念の浸透を図る仕組みを導入しています。
また、損保ジャパンではWithコロナの環境下におけるオンラインでの学びの場として「損保ジャパン大学」を設立し、自律的な学びの場の提供を通じて、社員一人ひとりのチャレンジを支援しています。
3 「仕事における幸福度」の向上
エンゲージメントやウェルビーイングの向上
当社グループでは、マルチステークホルダーの一角である「社員」の仕事における幸せ「Happiness at work」を、お客さまや株主の利益と同じように、より一層大事にしていくことにより、持続的な社会の実現に貢献していくことを目指します。また、社員一人ひとりのやりがいや幸福度の向上が、高い生産性を実現する原動力になるととらえ、エンゲージメントやウェルビーイングの向上に取り組んでいます。2020年度に実施した従業員エンゲージメント調査ではグループ全体で33社(国内 21社、海外 12社)、23,000名超から回答を得ています。また、2021年度から、従業員エンゲージメントをグループ共通のKPIとして新たに設定しました。SOMPOのパーパス浸透・実現に向けた各種施策の展開や、働き方改革の施策、健康経営の推進と連動した取組みを通じて、さらなるエンゲージメント、ウェルビーイングの向上を目指していきます。
健康経営の推進
2020年9月に制定した「SOMPOグループ健康宣言」は、健康経営に取り組む3つの意義(1.グループ経営理念の体現、2.生産性向上、3.企業価値の向上)を組み込んだ当社グループ共通の方針です。この方針のもと、社員の健康維持・増進、活力ある労働環境確保、データヘルスの3点に着目して取組みを進めています。
当社は、健康経営に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄2021」に3年連続で選定されました。あわせて当社グループの20社が、健康経営優良法人認定制度に認定されています。
SOMPOグループ健康宣言
SOMPOグループは、「お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献」するために、社員とその家族の心と体の健康を大切にします。
- 当事者意識を尊重し、社員一人ひとりのミッションや働き方に応じた主体的な健康活動を支援します。
- 多様な才能や強みを表現できる場を用意し、健康的で能力を発揮しやすい環境により、個人そして組織の生産性向上を図ります。
- 社員の働きがいの向上や新たなイノベーションの創出により、今よりも健康で元気な社会の実現に貢献します。
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4 多様性を力に変える環境づくり
ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社グループでは、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を経営戦略と位置づけ、「Diversity for Growth」というスローガンを掲げて推進しています。D&I推進の目的は、「イノベーションの創出」および「社員の幸福度、やりがいの向上」により、当社グループの持続的な成長を促進し、企業価値の向上を図っていくことです。
SOMPOのパーパスに掲げる「安心・安全・健康のテーマパーク」を実現するためには、多様な人が集まって起きるグッド・クラッシュを歓迎し、そこから新たな価値を見出していくイノベーションが必要です。各職場で働く社員一人ひとりが性別・障がいの有無・国籍・年齢などに左右されることなく、それぞれの才能や強みを活かし、変化を先取りして新しい価値を生み出していく、という発想により、真のD&Iを実現させ、大きなイノベーションにつなげていくことが重要です。また、社員が自分らしさや、強みを発揮して、チームに貢献している実感を持って働くことが社員の幸せにつながる重要な要素であり、その土台となるのが、互いの違いを認め合うカルチャーづくりだと考え、ダイバーシティ推進本部を推進母体としてグループ全体で取り組んでいます。
女性活躍推進
2023年度末までのグループ全体の女性管理職比率の目標を30%以上と設定し、女性社員の知識・スキル向上、意識・マインド変革に向けて女性育成プログラムを実施しているほか、グループ各社で独自のプログラムも実施しています。
これらの取組みの結果、目標数値を定めた2013年7月時点ではグループ全体で女性管理職数は305名、管理職に占める女性比率は5.0%でしたが、2021年3月末時点の女性管理職数は1,384名、管理職に占める比率は24.2%となっています。
当社は、経済産業省および東京証券取引所が女性活躍推進に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に魅力ある銘柄として紹介する「なでしこ銘柄」に、4年連続で選定されました。
障がい者活躍推進
当社グループでは全国各地で障がい者を採用し、活躍できる職場づくりに力を入れて雇用の定着を図っています。2021年6月1日現在の当社グループにおける障がい者雇用率は、2.38%です。
損保ジャパンでは、全国に障がい者職業生活相談員を配置し、働きやすい職場づくりのためのサポートなどを行う体制を整えています。2018年4月に設立した特例子会社*「SOMPOチャレンジド」は、当社グループにおける障がい者の雇用や活躍を牽引する役割も担っています。
* 特例子会社とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に定める一定の要件を満たし厚生労働大臣の認定を受けた、障がい者の雇用に特別な配慮をした子会社
5 取組みの可視化・体系化
取組みの進捗を確認し改善につなげるため「生産性KPI体系」を構築
当社グループでは、3つのコアバリューを共有する人材集団の実現をはじめとする働き方改革の取組み状況を体系化・可視化するために「生産性KPI体系」を構築し、これを活用することで、進捗や成果を確認するとともに改善につなげていきます。
具体的には、働き方改革の取組みが財務・未財務といった企業価値向上にどのようにつながるのか、その流れをグループ共通のフレームワークで示し、そこへ計測可能なKPI群を設定しています。KPIには、従業員エンゲージメント指標などのグループ共通KPIや、各事業の特性に応じた固有のKPIを設定し、これらをモニタリングすることで、グループ全体ならびに各事業の取組みの進捗を確認するとともに、社員の理解・浸透にも活用していきます。
◆「生産性KPI体系」は次のような考え方に基づき、3層で構成しています
- 生産性を構成する財務・未財務KPI(生産性KPI)を設定
- 生産性KPIの向上につながる取組みの結果・量・質を表すKPI(アクションKPI)へとツリー展開
- アクションKPIの価値を高める「働き方改革」の効果・実行状況を表すKPI(働き方改革KPI)を紐づけ