海外保険事業

当事業のミッション

海外保険事業では、グローバルな統合を通じたトランスフォーメーションを進めています。当社グループは30の国・地域に展開しており、豊富な保険引受ノウハウ、お客さま・ビジネスパートナーとの強固な関係、トップクラスの事故対応サービス、ポートフォリオ分散などを通じて、マーケットシェア・ 収益を拡大し、業界をリードし続けています。今後、数年以内にグループ全体利益の40%以上に貢献することを目標に掲げ、経験豊富な経営陣のリーダーシップのもと、SOMPOホールディングスの全体戦略に沿って、強力なコーポレートガバナンスや、統一性のある保険引受、オペレーション、リスク管理体制などを実現します。
また、先進国における企業分野の保険事業に続き、新興国におけるリテール分野の保険事業についても、SOMPOインターナショナルに統合することを進めています。プラットフォームを通じて、専門性や組織の強さを最大限に発揮しながら高品質なリテールブランドをグローバルに確立することで、各マーケットでトップクラスの会社になることを目指しています。また、バランスのとれた魅力的なポートフォリオ形成に資する戦略的な事業買収の機会も引き続き模索していきます。

事業環境と基本戦略

2019年は、世界の損害保険業界全体で、保険料の大幅な上昇傾向が見られました。歴史的な低金利、頻発する大規模自然災害、高額訴訟事案の増加、大手保険会社のキャパシティとリスク選好の低下、収益性の高いポートフォリオ形成が困難になったことなどが背景にあり、特に米国の企業分野においては、1年を通してほぼすべての保険種目で顕著に保険料の上昇が見られました。
2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という前例のない事象は世界経済全体に大きな不確実性をもたらしており、保険業界もこのパンデミックがもたらすニューノーマルに立ち向かっています。このような状況下ですが、市場の混乱によって生み出された機会を活用しながら、お客さま・ブローカー・社員のニーズに応えられる当社グループの安定した基盤を強みに、トップクラスの人材採用や新規ビジネスへの参入など、引き続き積極的な姿勢で取り組みます。

中期経営計画の進捗

4年間の成果

中期経営計画の4年度目となる2019年度の海外保険事業の修正利益は、前年度を171億円上回り、501億円となりました。
2017年の買収を経て現在のSOMPOインターナショナルの体制を築いて以降、事業規模と地域分散が大きく進展し、4年間で正味収入保険料は1.7倍超、修正利益は2.5倍超となりました。特に、北米・欧州のトップラインが大きく伸びて全体のポートフォリオの約70%を占めるようになり、安定した収益を先進国で獲得しながら成長しつつ、中長期的には新興国での収益性を高めながら事業を拡大していくための基盤が整いました。

最終年度の課題



中期経営計画の最終年度となる2020年度の修正利益は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による運用環境の悪化などを見込んでいますが、 保険料の適正化、スペシャルティ保険の拡大、リテール分野における事業会社間でのノウハウ提供と実践などにより、前年度を上回る510億円を計画しています。ただし、各国での活動自粛が長引いた場合、個人や企業の活動・購買の減少などによる正味収入保険料の減少や、発生損害額の増加の可能性もあり、今後の影響を注視していきます。
企業分野では、スペシャルティ保険の拡大による伝統的な保険種目との分散、運用収益を補うための保険引受収益の最大化に取り組みます。リテール分野では、成長率・収益率向上を実現するため、事業会社間でのリソース活用の最大化、さらなるノウハウの提供と実践を進めていきます。また、リテール各社をSOMPOインターナショナルホールディングス傘下に移行する組織再編も進め、迅速かつ全体戦略に沿った意思決定や機動的な資本政策を遂行できる体制づくりも行います。

中長期で目指す姿

経済環境が激しく変化し、かつてない課題に直面している状況下、SOMPOインターナショナルはトランスフォーメーションを進めながら、お客さまに適切な商品・サービスを提供し続けるための安定した基盤を確立しています。農業保険分野については、真にグローバルな先駆者として事業創出を着実に進めるとともに、他の分野においても、新商品の開発や既存商品の強化を行いながら、新たなビジネスチャンスを模索していきます。
米国では、垂直統合戦略を進めながらソリューションのポートフォリオを拡大することで、伝統的な保険事業とスペシャルティ保険事業ともに大きく成長できるよう取り組みます。ロンドン・バミューダ市場では、企業分野のプラットフォームを進化させながら、販売力や経営陣の強化を行い、国際的なマーケットポジションを構築していきます。再保険事業では、マーケット・元受保険会社・社員に引き続き価値を提供できるよう一貫した取組みを続け、英国・欧州大陸・アジア太平洋・南米・メキシコなどの地域では、新規参入を通じて、事業基盤を拡大していきます。
リテールプラットフォームにおいては、データ分析ノウハウを保険料設定だけでなく、保険金請求時の対応やデジタルマーケティング分野においても活用していきます。データ分析を通じたプロセスの進化や、優れたスキルを移植できる仕組みを通じて、革新的な商品・サービスを提供していきます。
強固な財務基盤と優秀な人材における評判を強みに、各国でマーケットリーダーとしての地位を築きながら、グローバルトップ10の保険会社になることを目指します。

コマーシャル戦略

先進国における企業分野の保険事業では、今後5年以内に、規模・資質・収益性において業界トップ10に入ることを目指しています。元受・再保険事業ともに安定的な収益を確保しながら、トップクラスの人材雇用、戦略的なリスク選択、事業規模・地域の拡大を行い、成長を続けていきます。
なお、ロイズのシンジケートを通じた保険引受を終了し、2021年1月から英国における保険引受事業をSOMPOインターナショナルに統合するなど、事業効率の向上にも取り組んでいます。歴史的な低金利や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による市場・経済の不確実性は依然として高いものの、現在の市場課題がもたらす新たなチャンスを最大限に活かすとともに、強固なリスク管理戦略と財務基盤を堅持することで、収益性を伴う成長を実現していきます。

リテール戦略

中長期的に高い成長率が見込まれる新興国市場では、リテール分野を中心に収益を伴った持続的な成長を目指して、事業を拡大していきます。リテール事業会社では、各地域のマーケットニーズに合わせた高品質で幅広い商品・サービスを提供するとともに、リテールプラットフォームを通じて、当社グループ内外のリソース活用や、ノウハウの共有と移植を推進しています。また、リテール各社をSOMPOインターナショナルホールディングス傘下へ統合する組織再編も進め、最適な組織およびガバナンス体制の構築や、資本の有効活用によるさらなる事業機会の創出により、各マーケットでトップクラスの会社になることを目指していきます。

M&A戦略

「安心・安全・健康のテーマパーク」を通じて、ステークホルダーのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に貢献し、利益規模でグローバルトップ10の保険会社になるという当社グループのビジョン実現に向け、引き続き規律ある戦略的M&Aを実行し、規模と事業領域の拡大を目指します。
新型コロナウイルス感染症に対する不透明感から、極端な市場変動が発生しており、M&Aなどのトランザクションは減少すると見ています。経済が混乱するなか、当社グループは、ハイレベルなトランザクション推進体制の一元化を目的として、2019年に設立されたグローバル・トランザクション専門委員会およびトランザクションコアチームを通じて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響・期間について綿密にモニタリングを行い、グローバルプラットフォームの拡大と多様化に向け、買収・出資・戦略的提携など、さまざまな選択肢から最適な手法を用い、さらなる成長機会を追求していきます。

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