デジタル

事故・災害・病気の未然の予防・予知を実現するデジタルの力

保険は、もしものときの備えとして事故やけが、病気が発生した際に保険金をお支払いすることで安心をご提供するものです。
これからはそうした不測の事態を予防し、「事故をなくす」「災害をなくす」「病をなくす」、保険が必要ないほどの安心・安全・健康な世界を作っていくことが、保険会社における持続可能な社会の実現にもつながっていきます。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による環境変化に備え、AI・ビッグデータ・CXアジャイル*・デザイン思考といった最新のデジタル技術・手法に投資し、既存事業の徹底した省人化・高度化と、Palantir Technologies Japan株式会社(以下、Palantir Japan)をはじめとするデジタル新事業の展開を推進します。

*Customer Experience(顧客が体験する価値)に基づいたアジャイル開発

強みと特長

2016年4月のデジタル戦略部発足以降、東京・シリコンバレー・テルアビブの「SOMPO Digital Lab」3極体制で日本国内のみならず海外グループ会社を含めグループ全体のデジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、既存事業の変革と新規事業創出に取り組んできました。
当社グループのデジタル事業のトランスフォーメーション(質的進化)を達成するための人材戦略として、楢﨑浩一グループCDOに加え、2020年4月から社外人材の尾股宏グループCo-CDO就任による2名CDO体制となりました。本体制で根本的な既存事業のデジタルトランスフォーメーションとデジタル新事業へのシフトの両立を実現していきます。
当社グループでは、国内損害保険事業、海外保険事業、国内生命保険事業に加えて、介護・ヘルスケア事業などを手がけ、これらの事業で得られる事故や災害などの膨大なリアルデータを保有しています。
これらを活用することで「事故や病気が起きたときに保険金を支払う」のではなく、「事故や病気そのものが起きないソリューションを提供する」ことができると信じ、私たちの保有するリアルデータを本当の宝に変えたいと考えています。
それを実現させるため、 2019年11月には世界25か国でビッグデータ解析ソフトウェアプラットフォーム事業を展開する米国 Palantir Technologies Inc.(以下、Palantir)と共同でPalantir Japanを設立しました。
また、データ活用のグループ汎用基盤となりうるリアルデータプラットフォームの構築推進のため、2020年4月にデジタル戦略部内にデータ統括室を設置し、データガバナンスやグループデータ活用の底上げを図るとともに、当社グループ内のデータ人材育成にも取り組んでいきます。

基本方針

1. 各事業部門における業務効率化の進展 AIなどの新たな技術を活用することで、従来人手がかかっていた業務における生産性の向上および効率化
2. デジタル技術を活用したお客さま接点の変革 IoTやセンサーを活用した顧客体験価値を向上させる商品およびサービスの開発
3. デジタルネイティブ向けのマーケティング デジタル技術に慣れ親しんだ若年層に支持される商品およびサービスの開発
4. 新たなビジネスモデルの進化 既存の事業領域とは一線を画した発想・技術に基づくビジネスモデルの構築

第四次産業革命でみられる技術の進展やデジタルネイティブのニーズの変容により、企業のあり方や価値そのものが見直されています。
さらに新型コロナウイルスの出現により、世の中の仕組みやニーズ、価値観は劇的に変化しており、世界的にもリモート・非対面でのつながり方が拡大・定着して、これに伴うデジタルやデータ利活用のインフラ化も急激に進むと考えています。
当社グループの保険ビジネスが持続可能でなくなる危機感を持ち、デジタルを活用した「安心・安全・健康」を提供する新たなビジネスモデルを推進しています。「SOMPO Digital Lab」では、当社グループにおける既存事業のデジタライゼーションと、新しいサービスを含めた事業の創出というミッションを掲げ、海外の先進事例を把握しながら、業務効率化、顧客接点の変化への対応、デジタルネイティブ向けマーケティング(これまで接触できなかった層との接点をどのように作るか)、新たなビジネスモデルの研究開発を行っています。具体的にはアンダーライティング(保険引受)やクレームサービスのAI化、IoTを活用した保険・サービスの開発、保険機能のアンバンドル(分解)化による他パートナーとのオープンイノベーション、Palantirの技術を活用した企業との共創ビジネスなどを行っていきます。
2016年度のデジタル戦略部発足以降、2019年度末までに行った実証実験やトライアル(PoC: Proof of Concept)は253件、うち37件が本番化(本番化が決定した案件も含む)しています。
AI・ビッグデータ・CXアジャイル・デザイン思考をさらに強化し、デジタル戦略の策定・推進およびデジタル新規事業創出・事業推進を通じ、利益への貢献とグループのデジタルトランスフォーメーションを引き続き牽引するとともに、デジタルトランスフォーメーションの社会実装による企業や社会の課題の解決にも貢献していきます。



<デジタルトランスフォーメーションの加速>


リアルデータの重要性

世界の多くのプレイヤーがバーチャルデータを活用したビジネス展開を進めているものの、日本が豊富なデータを有するリアルデータの利活用はこれからであり、リアルデータの解析や解析結果に基づく新たなソリューションの創出が期待できます。SOMPOホールディングスが各事業を通じて得られる膨大な事故データなどのリアルデータは、今後大きな付加価値を生み出すものと考えています。

SOMPOグループのデータ戦略

「安心・安全・健康のテーマパーク」実現の鍵はSOMPO ホールディングスが保有するリアルデータです。 当社グループは、国内損害保険事業、海外保険事業、国内生命保険事業に加えて、介護・ヘルスケア事業などを手がけており、事故や災害などの膨大なリアルデータを保有しています。こうしたすべてのリアルデータを活用したビジネスモデル(リアルデータプラットフォーム)を構築し、このプラットフォームを通じた高付加価値・高品質な商品やサービスをお客さまに提供するとともに、お客さまの安心・安全・健康、ひいては少子高齢化などの社会課題解決を目指します。

「安心・安全・健康のリアルデータプラットフォーム」の立ち上げ

当社と米国Palantirは2019年11月、ビッグデータ解析ソフトウェアプラットフォーム事業を展開するテクノロジー会社Palantir Japanを共同設立しました。さらに2020年6月、当社、Palantir、Palantir Japanの3社は関係をより強固なものとし、日本における「安心・安全・健康のリアルデータプラットフォーム」の立ち上げに向けて合意しました。
日本は国民皆保険制度に伴う医療・健康データ、世界で最も高水準な高齢化率を背景とした介護データ、安全性・信頼性・品質性の高い日本製品を生み出す工場設備の稼働データなど、リアルデータを豊富に有していますが、これをベースとする世界に発信できるバリューやビジネスモデルはまだ確立されていません。
当社の保険、介護・ヘルスケア分野におけるデータを活用したより良いサービス提供のノウハウと、世界中の主要な組織にセントラル・プラットフォーム・ソリューションを提供してきたPalantirおよびPalantir Japanの専門的知見を融合し、日本におけるリアルデータプラットフォーム構築を目指します。その第一弾として、日本国内の介護・ヘルスケア分野でのプラットフォーム構築を進めていきます。
Palantir Japanの持つ技術力は、当社にとどまらず、日本企業や官公庁向けに、そのオペレーションや経営意思決定を根幹からデータドリブンで変革することを後押しします。その結果、VUCAの時代に対応できる柔軟性、グローバル競争に勝つ競争力、ひいては社会全体に対する価値向上を支えることができると考えています。究極的には、Palantir Japanが日本の産業界にとって必要不可欠と言われるような、データ活用やデジタルトランスフォーメーションのプラットフォームとなることを目指していきます。

SOMPOグループのリアルデータ活用例

当社はパラマウントベッドホールディングス株式会社と業務提携し、SOMPOケアの介護付きホーム(約18,000室)全室に睡眠データ計測センサー(眠りSCAN)の導入を開始しました。これは世界初*1の取組みです。
こうした介護リアルデータの収集を起点とし、国内No.1のシニアリビング居室数*2を誇るSOMPOケアが保有する大量、24時間/365日、多様な項目のリアルデータを収集、相関関係の分析結果を健康・ウェルネス分野のプレイヤーと共有し、介護度改善ソリューションや認知症の早期発見・予防・改善メニュー、生活習慣病の予防サービスなどの提供に取り組んでいきます。
なお、データ収集にあたっては、各種法令順守はもちろんのこと、お客さまの心情に配慮した丁寧な対応によって、ご理解を得ながら進めていきます。
データ分析においては、Palantirソフトウェアを活用し、一元的かつ連続的に収集・統合・解析することで、介護施設における入居者さまの健康状態の予兆把握、介護職員の業務負荷軽減が実現できると考えています。
すでに入居者さまの各種データ統合の実証実験を開始し、入居者さまの健康状態の把握や体調変化をタイムリーに検知することで、介護職員が迅速に入居者さまの状況に応じて対応できることが確認できています。こうした取組みは世界的にも類を見ず、今後は、体調変化の検知にとどまらない健康状態の予兆モデルの構築に進化させていきます。

*1 数万室規模の介護付きホームすべてにセンサーを導入する取組みは世界初(2020年5月現在 当社調べ)
*2 シニアリビング居室数:約25,600室(業界No.1:2020年5月現在 当社調べ)シニアリビングとは、介護付きホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、その他居住系サービスの総称です。

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