海外保険事業

海外保険事業 プラットフォームの構築

当社グループは、SOMPOインターナショナル*の先進国企業分野におけるプラットフォーム化を進めてきましたが、今後は、リテール分野を含めた真に統合された海外保険事業プラットフォームの構築に注力していきます。
企業分野については、SOMPOインターナショナルが持つ保険引受とリスク管理の高度な専門性と、SOMPOホールディングスが持つ資本力および広範な保険販売のライセンスネットワークを最大限に活用し、提供する商品とサービスを拡大していきます。2017年度の主な取組みとしては、欧米グループ会社の組織再編や農業保険のグローバル統合プラットフォームである『AgriSompo』の立ち上げなどがあります。
リテール分野については、新たに保険事業を統括するプラットフォームとガバナンス態勢を構築し、統合を推進していきます。プラットフォーム化により、保険引受けノウハウやデジタル技術、ERM・アクチュアリーなどの専門知識の共有が可能となり、グループのベストプラクティスを追求し、新たな商品や保険引受モデルを開発していくことで、海外保険事業の成長を加速させていきます。
当社グループの海外保険事業は、全世界共通の「SOMPOインターナショナル」ブランドのもと、また、一貫性を持った戦略およびコーポレートガバナンスのもと、各地域の多様性と実態を尊重した事業展開を図っていきます。

  • SOMPOインターナショナルは、Sompo International Holdings Ltd.およびその傘下のグループ会社の総称

John R.CharmanJohn R. Charman
Chairman & CEO
Sompo International Holdings Ltd.

海外保険事業プラットフォームの体制図

グローバルM&A戦略

当社グループの目指す姿であるグローバルトップ10水準の利益・ROEの実現に向け、魅力的なM&A機会を追求し、規模と事業領域の拡大を目指します。規律あるM&Aを実施することで、企業分野・リテール分野それぞれのプラットフォームにおける事業ポートフォリオのさらなる多様化を推進していきます。
2017年度は、イタリアの農業保険マーケットにおけるリーディングプレーヤーであるA&Aと米国の保証保険事業会社Lexonの買収を実施しました。

Nigel FruddNigel Frudd
常務執行役員(海外事業戦略統括)
(CSO<Chief Strategy Officer>
Sompo International Holdings Ltd.)

先進国における企業分野のプラットフォーム化の進捗

2017年12月に北米のSOMPOアメリカ(SompoAmerica Insurance Companyなど)、2018年5月にはSJNKヨーロッパ(Sompo Japan Nipponkoa Insurance Company of Europe)がSOMPOインターナショナルホールディングス傘下へ移管されるなど、先進国においてはプラットフォーム化が順調に進捗しています。これにより、企業分野(スペシャルティ)における商品・サービスの提供範囲を拡大することで、全世界のお客さまに対するサービス品質を高めることが可能となります。
当社グループは、SJNKヨーロッパの統合と併せて、Brexit(英国のEU離脱)対応のため、ヨーロッパに元受・再保険子会社を設立しました。ヨーロッパは戦略的に成長を見込む地域であり、ルクセンブルグに設立した新たな会社SIInsurance(Europe)は、EUにおけるさらなる成長および投資の基盤となります。これまで築いてきた顧客基盤を維持するとともに、商品提供を拡大し、プレゼンスを高め、お客さまとの関係を強化していきます。SOMPOインターナショナルは顧客情報を一元管理するグローバル・クリアランス・システムを導入しており、地域・会社・既存システムに関わらず企業分野のグループ会社が統一的な基準により保険引受を行うことが可能となっています。
こうした動きを受け、格付機関S&Pは2018年4月、SOMPOインターナショナルホールディングス傘下の中核子会社の財務格付けを「A」から「A+」に1段階引き上げました。海外保険事業の統合されたプラットフォーム構築により、当社グループが商品および地域的な分散を一層進め、SOMPOインターナショナルのオペレーション基盤を最大限活用している戦略が評価されました。

基本戦略とその背景

規律あるM&Aと効果的ななPMI(Post Merger Integration:買収後の統合プロセス)、そして各地域における着実なオーガニック成長により、海外保険事業の正味収入保険料は2010年の643億円から2017年の6,452億円へと、過去7年間で10倍以上に拡大しました。
海外保険事業の修正利益は、2010年度は修正連結利益の7%にしか満たないものでしたが、SOMPOインターナショナルの連結を開始した2017年度は、海外保険事業がグループ全体利益の27%を占めています。積極的な成長戦略によって、将来的にはグループ全体利益の40%程度の利益貢献を目標にしています。
海外保険事業の鍵となる戦略は3つあります。1つ目は、真に統合されたグローバルプラットフォームの構築、2つ目は、企業分野(スペシャルティ)とリテール分野で安定した成長を維持するための既存事業のさらなる強化、そして3つ目は、地域や事業領域など、当社の海外保険事業を多様化する戦略的なM&A機会の探求です。

正味収入保険料の変遷

SOMPO GLOBAL SUMMIT

当社グループは、年に1度、櫻田グループCEOや海外保険事業関連役員、海外グループ会社のCEOが参加し、海外保険事業の成長戦略について議論しています。
2018年2月に実施した会議では、SOMPOインターナショナルの強固な企業分野プラットフォームに加え、リテール分野でもプラットフォームを構築することに合意しました。統一されたSOMPOインターナショナル・ブランドのもと、グループのリソースを結集し、全世界で一貫性を持った事業戦略を遂行する、世界に類を見ない海外保険事業へのトランスフォーメーションを目指していきます。

世界の保険マーケットは、新興国における中間層人口とGDPの急速な拡大が牽引し、安定した成長が続いています。先進国においては、最新のデジタル技術に基づく革新的な商品や、サイバー保険などの新種リスクに対する専門的な保険引受技術によって保険需要が高まっています。
2017年度は、北米でのハリケーンなど多くの自然災害が発生し、世界の保険マーケットは大規模な損失を被りました。結果として、一部では保険の供給が減少し、保険料が上昇するマーケットのハード化の兆しも見られます。また、保険会社の伝統的なビジネスモデルを破壊するInsurTech(Insurance + Technology:技術に基づく新たな保険商品やサービス)の登場により、世界の保険マーケットはかつてないスピードで変化しています。当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、高品質で幅広い商品やサービスを提供する方針であり、デジタル技術の研究開発において業界を牽引していきます。

中期経営計画の進捗

現在の中期経営計画は、将来的に「グローバル上場保険会社トップ10水準の規模および資本効率」を実現する上での第一歩となります。
2010年度以降、新興国にてM&Aを実施し、収益性の高いリテールマーケットにおけるプレゼンスを拡大してきました。2017年3月にはSOMPOインターナショナルの買収を完了し、企業分野(スペシャルティ)が飛躍的に拡大したことで、海外保険事業全体の規模・品質が大きく向上しました。
中期経営計画の2年目にあたる2017年度は、8月から9月にかけて北米を襲った一連の大型ハリケーン被害など、自然災害の影響により、海外保険事業の修正利益が計画値の631億円(2017年11月公表)を下回る440億円となりました。
2018年度は、企業分野(スペシャルティ)、リテール分野双方において、収入保険料を増やし、収益性を高めることで、修正利益630億円以上の達成を見込んでいます。
今後は、統合された海外保険事業プラットフォームのもとで成長を継続することで、将来的には修正利益1,000億円の達成を目指します。

KPI 修正利益

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