気候変動の「適応」に向けた取組み

農業事業者向け保険の提供

農業保険のグローバル統合プラットフォーム『AgriSompo』

SOMPOインターナショナルホールディングス(SIH)は、グローバルマーケットにおける統合プラットフォームである『AgriSompo』を展開し、北米、ヨーロッパ・ブラジル・東南アジア等の農業マーケットにおいて保険、再保険商品を幅広く提供しています。

2018年3月には、1996年以降イタリア農業保険のリーディングカンパ二―(代理店)であるA&AS.r.Iの買収手続きを完了しました。また、2020年4月にはポルトガルをはじめヨーロッパでのネットワークを有する農業保険総代理店であるATLAS Segurminaとの業務提携を発表し、また同年12月に、米国連邦政府の制度農業保険において業界第4位のDiversifiedの買収を発表したことで、北米および世界における農業保険プロバイダーの最大手となります。今後もマーケットのニーズに合わせ、新商品を含むサービスの拡充を予定しています。

SIHは、『AgriSompo』により、農家・農業事業者、農業保険会社に対して統一的な基準で保険引受(アンダーライティング)を行い、一連の商品に対する専門知識と技術を提供していきます。

東南アジアでの天候インデックス保険の提供

『天候インデックス保険』とは、気温、風速、降水量などの天候指標が、事前に定めた一定条件を満たした場合に定額の保険金をお支払いする保険商品です。当社グループは、SOMPOリスクマネジメントによるリスク評価技術と、一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)の地球観測衛星から推定された雨量データを活用し、気候変動の影響を受けやすい農業が主な産業である東南アジアにおいて、農業経営リスクの軽減を目的とした『天候インデックス保険』を提供しています。

2010年、タイ東北部の稲作農家の干ばつ被害の軽減を目的とした『天候インデックス保険』の販売を開始しました。タイ農業協同組合銀行(BAAC)と協働し、BAACがローン契約者である農家に対して保険加入の募集を行うことで安心して加入できるスキームを構築しました。2019年2月には、ロンガン農家向け、加えて2021年5月にはサトウキビ、キャッサバ農家向けの天候インデックス保険を販売開始するなど、タイの主要輸出農業作物の農家に対する気候変動の「適応」策として、保険商品の開発・普及を進めています。これらの商品の開発にあたっては「AgriSompo」を通じて技術提供を受けています。

●保険販売・保険金のお支払いの仕組み(例:ロンガン農家向け)

ミャンマーにおいては、中央乾燥地帯の米農家とゴマ農家を対象に、干ばつリスクの軽減に対応した『天候インデックス保険』をRESTECと共同で開発しました。

これらの成果が認められ、本取組みは、国連開発計画(UNDP)が主導する、商業活動と持続可能な開発を両立するビジネスモデルの構築を促進する「ビジネス行動要請(BCtA)」に応える取組みに認定されました。また、2016年には環境省「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」の定時総会において、環境大臣賞を受賞しました。さらに、ミャンマーでの取組みは、第2回宇宙開発利用大賞で内閣府特命担当大臣(宇宙政策)賞を受賞しました。

今後の展開

当社グループは、今後『AgriSompo』を活用し、各国の農業リスクに応じたソリューションの提供に取り組み、気候変動の影響を受けやすい世界の農業分野の発展に貢献していきます。

再生可能エネルギーの普及・拡大を後押しする保険商品の提供

2012年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が開始され、再生エネルギー事業へ参入する企業などが増加しています。SOMPOグループは、再生可能エネルギー発電参入事業者などに対し、万が一の場合の保険や事業施設の立地環境などのリスク分析サービスを提供しています。

●風力発電事業者向け火災保険『事故防止再発費用特約』

損保ジャパンは、風力発電事業者を対象とする『事故再発防止費用特約』を付帯した火災保険を提供しています。風力発電設備はひとたび事故が発生すると損害が高額となるほか、同種の事故が連続して発生する傾向があり、事故の原因調査や再発防止対策が風力発電事業経営における重要な課題となっています。こうした課題解決に対するニーズにお応えするため、SOMPOリスクマネジメントの事故再発防止ノウハウを組み入れた本特約を開発し、保険とリスクマネジメントサービスを提供することにより、風力発電事業の安定経営を支援しています。

●洋上風力発電事業者向け損害保険

洋上風力発電プロジェクトにおいて、従来は、建設作業中や、完成後の事業運営のそれぞれのプロセスごとに保険手配が行われてきましたが、保険の加入漏れの防止や事業管理の効率性向上の観点から、一括して保険に加入することを望む声が多かったため、損保ジャパンでは、洋上風力発電設備の建設作業中および洋上風力発電の事業運営中の不測かつ突発的な事故により洋上風力発電設備に損害が発生した場合の保険を提供しています。

●再生可能エネルギー・リスク診断サービス

SOMPOリスクマネジメントでは、地震、水害、落雷などの自然災害に関するリスク分析やリスクマップ作成などのサービスを通じて蓄積した知見を生かし、「再生可能エネルギー・リスク診断サービス」の提供を2012年9月から開始しています。このサービスは、環境負荷の少ない再生可能エネルギー発電の安定化に向けて、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー発電施設などの立地のリスクを分析・診断するものです。

●風力発電事業リスク評価サービス(リスクアセスメント)

SOMPOリスクマネジメントでは、計画中の陸上および洋上風力発電事業における開発・建設・運転フェーズの各種リスクを洗い出し、リスクレベリングをおこないます。リスクレベリングの結果に基づいてリスク対策を促進することにより、プロジェクトの潜在リスク量を軽減し、事業者の安定的な事業運営の実現を目的としたサービスです。

●風力発電施設のリスク評価モデル

SOMPOリスクマネジメントでは、風力発電施設専用のリスク評価モデルを開発しました。このリスク評価モデルを用いて自然災害による事故や電気的・機械的故障などのリスクを定量化して示すことで、風力発電事業におけるリスクをより正確に把握し、事業計画策定のサポートをおこないます。

●風力発電事業を対象とした財務影響分析サービス

SOMPOリスクマネジメントでは、風力発電事業における自然災害に伴う事故や通常の故障による損害、故障・事故時の運転停止に伴う損害を確率的に評価し、顕在化したリスクが事業計画におけるキャッシュフローへ与える影響を、定量的に評価するサービスを提供しています。

●風力発電事業者向けセカンドオピニオンサービス

損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、損保ジャパンの火災保険に加入している風力発電事業者に対して、運転・メンテナンス中の各種トラブルの際に解決策を提供する風力発電事業者向けセカンドオピニオンサービスを2016年11月から開始しました。風力発電事業者のO&M(運用・保守)に関するご相談事項について、SOMPOリスクマネジメントが風力メンテナンスサービス会社や経験豊富なエンジニア・有識者に見解を求め、その意見を総合的にとりまとめ回答するサービスになります。

●風力発電事業者向け保険デューデリジェンスサービス

SOMPOリスクマネジメントでは、風力発電設備の損害保険手配前に、風力発電所を取り巻くリスク状況および風力発電事業者の運用・保守(O&M)の予防保全取組みによるリスク低減効果を考慮して総合的なリスク評価をし、保険仕様設計支援のサービスを提供しています。

産学連携を通じた取組み

日本およびアジア諸国における洪水リスク評価手法の開発

SOMPOリスクマネジメントは、中長期的な気候変動の影響を受けやすい洪水リスクに対して、その適応策となる新たな保険サービス、リスクコンサルティングサービスの提供を目指し、日本およびアジア諸国における洪水リスク評価手法を、京都大学防災研究所、神戸大学都市安全研究センターと共同で研究開発しています。
日本では、京都大学、神戸大学と共同で開発した洪水リスク評価システム*1を、保険リスク管理や自然災害リスクコンサルティングに活用しています。
アジア諸国では、タイの洪水リスク評価システムを一般財団法人河川情報センターと共同で開発し、保険リスク管理や保険商品開発に利用しています。また、アジア6ヶ国(中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール)と南米1か国(ブラジル)では、主要都市域で利用できる洪水シナリオリスク評価手法*2を開発し、保険リスク管理態勢を強化しています。これらの洪水リスク評価システム、評価手法は、対象エリアを順次拡大しており、2017年度には新たにミャンマーを追加しました。ミャンマーでは、この技術を活用してミャンマーに進出する日系企業を支援できるサービスの開発を目指しています。
今後も、洪水リスク評価の技術を、国内外の保険リスク管理、保険・デリバティブ商品の開発、BCP策定などのリスクコンサルティングサービスに積極的に活用し、具体的かつ実践的なソリューションを提案します。

  1. 洪水リスク評価システム:想定し得るあらゆる降雨シナリオに基づき、今後発生する洪水被害を確率的に評価するシステム。
  2. 洪水シナリオリスク評価手法:過去に観測された豪雨、または確率降雨(例:100年に1回の確率で発生する強さの降雨)を想定した豪雨など、ある特定の降雨シナリオに対する洪水被害を評価する手法。

文部科学省「気候変動適応技術社会実装プログラム」に民間企業として初参画

SOMPOリスクマネジメントは民間企業として初めて、文部科学省の「気候変動適応技術社会実装プログラム」(以下「SI-CAT」)*1に、「ニーズ自治体等」として参画しました。

SOMPOリスクマネジメントは、SI-CAT 研究成果の活用や研究機関との意見交換や連携を通じ、自社で開発している台風・洪水リスク評価モデルを用いた気候変動リスクの定量化等について研究・分析を進めています。

また、本取組みを通して得た技術や知見を活用し、企業や地方自治体などの気候変動への適応を支援するソリューションサービスを提供することで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指します。

  1. 文部科学省が、気候変動の影響を低減する適応策を必要とする地域を支えるための技術開発とその導入を支援するために、2015 年12 月に立ち上げたプログラム。2020年3月に終了。

気候変動影響の定量化技術の開発

SOMPOリスクマネジメントは国立研究開発法人防災科学技術研究所( 以下「防災科研」) 、国立大学法人筑波大学(筑波大)との連携により、自然災害に及ぼす気候変動影響の定量化技術を開発しました。

SOMPOリスクマネジメントは、防災科研および筑波大が有する気候予測に関する知見やデータ分析方法などのノウハウの提供を受け、気象・気候ビックデータを用いた台風、豪雨に関する大規模分析を実施しました。この分析では、温暖化が進行した気候下における災害の発生頻度・強度の平均的な傾向変化や、巨大台風・大規模豪雨などの極端な災害の発生傾向について定量化し、自社で開発している国内台風・洪水リスク評価モデルに組み込みました。本技術を用いることで、保険引受における気候変動影響を定量的に評価することが可能となります。

損保ジャパンおよびSOMPOリスクマネジメントは本取り組みを通じ、保険引受リスク管理を高度化するとともに、企業や地方自治体などの気候変動への適応を支援する新しい保険商品やサービスを開発・提供していきます。

自然災害分野におけるグローバル産学連携プログラムへ参画

当社グループのデジタル戦略拠点である米国シリコンバレー法人SOMPO Digital Lab, Inc.は、スタンフォード大学の自然災害関連の産学連携研究プログラム「Stanford Urban Resilience Initiative(以下「SURI」)」に第一号企業会員として2019年1月から参画しました。

SURIは、地震や洪水などの自然災害に備えた回復力のある都市やコミュニティを形成するための最新技術やツールを研究・開発することを目的に、2015年に設立されたプログラムであり、同大学で博士号取得を目指す学生や研究者と、プログラムに賛同する行政機関、企業、NPOなどが協業して研究開発を行います。

SOMPO Digital Lab, Inc.は、これらの産学連携研究プログラムの取組みを通じて、当社グループが有する自然災害の状況や経済的損失に関する膨大なビッグデータを含むグループ・データプラットフォームおよび自然災害リスク推定の知見と、SURIの持つ最新技術や人材を最大限に活用することにより、自然災害リスクというグローバルテーマに対して、安心・安全に資する新サービスの開発を目指します。