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農業事業者向け保険や気候変動への適応に向けた取組み

農業事業者向け保険の提供

農業保険のグローバル統合プラットフォーム『AgriSompo』

SOMPOインターナショナルホールディングス(SIH)は、グローバルマーケットにおける統合プラットフォームである『AgriSompo』を展開し、北米、ヨーロッパ・ブラジル・東南アジア等の農業マーケットにおいて保険、再保険商品を幅広く提供しています。

SIHは、『AgriSompo』により、農家・農業事業者、農業保険会社に対して統一的な基準で保険引受(アンダーライティング)を行い、一連の商品に対する専門知識と技術を提供していきます。

東南アジアでの『天候インデックス保険』の提供

『天候インデックス保険』とは、気温、風速、降水量などの天候指標が、事前に定めた一定条件を満たした場合に定額の保険金をお支払いする保険商品です。当社グループは、SOMPOリスクマネジメントによるリスク評価技術と、一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)の地球観測衛星から推定された雨量データを活用し、気候変動の影響を受けやすい農業が主な産業である東南アジアにおいて、農業経営リスクの軽減を目的とした『天候インデックス保険』を提供しています。

2010年、タイ東北部の稲作農家の干ばつ被害の軽減を目的とした『天候インデックス保険』の販売を開始しました。タイ農業協同組合銀行(BAAC)と協働し、BAACがローン契約者である農家に対して保険加入の募集を行うことで安心して加入できるスキームを構築しました。2019年2月には、ロンガン農家向け、加えて2021年5月にはサトウキビ、キャッサバ農家向けの天候インデックス保険を販売開始するなど、タイの主要輸出農業作物の農家に対する気候変動の「適応」策として、保険商品の開発・普及を進めています。これらの商品の開発にあたっては「AgriSompo」を通じて技術提供を受けています。

●保険販売・保険金のお支払いの仕組み(例:ロンガン農家向け)

ミャンマーにおいては、中央乾燥地帯の米農家とゴマ農家を対象に、干ばつリスクの軽減に対応した『天候インデックス保険』をRESTECと共同で開発しました。

これらの成果が認められ、本取組みは、国連開発計画(UNDP)が主導する、商業活動と持続可能な開発を両立するビジネスモデルの構築を促進する「ビジネス行動要請(BCtA)」に応える取組みに認定されました。また、2016年には環境省「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則」の定時総会において、環境大臣賞を受賞しました。さらに、ミャンマーでの取組みは、第2回宇宙開発利用大賞で内閣府特命担当大臣(宇宙政策)賞を受賞しました。

今後の展開

当社グループは、今後『AgriSompo』を活用し、各国の農業リスクに応じたソリューションの提供に取り組み、気候変動の影響を受けやすい世界の農業分野の発展に貢献していきます。

防災・減災のプラットフォーム型ソリューション『SORAレジリエンス』

『SORAレジリエンス』は、リスクに関する知見を持つSOMPOリスクマネジメント、保険に関する知見を持つ損保ジャパン、そして気象データおよびその解析力を持つ株式会社ウェザーニューズが共同で開発した防災・減災のプラットフォーム型ソリューションです。

昨今、気候変動リスクの高まりが世界で注目されています。気候変動に関する政府間パネルの報告では、気温上昇に伴った極端な大雨などの気象災害の発生確率が今まで以上に増加すると想定されており、私たちを取り巻く自然災害の脅威も年々高まりつつあります。

一方で、台風進路予測や気象に係る数値予報の精度は年々向上しており、予報情報を参考に、より効果的な防災・減災行動を選択することができます。また、地震のように予測が困難な災害が発生したときであっても、素早く情報を集めて意思決定し、行動に移すことが、レジリエントな組織運営には不可欠です。これらの情報収集・管理に貢献できるプラットフォームが『SORAレジリエンス』です。

『SORAレジリエンス』は、(1)多様なリスク情報を、リアルタイムかつ簡単に把握できる。(2)拠点のリスクが最大72時間先まで予測でき、「いつ」「どの拠点」に対応が必要かを検討できる。(3)機会の少ない災害対応においても円滑に操作できる。これら3つのコンセプトをもとに開発し、幅広い業種のお客さまにご利用いただいています。

『SORAレジリエンス』サービス画面
イメージ

©Mapbox ©OpenStreetMap

関連ページ

産学連携を通じた取組み

日本およびアジア諸国における洪水リスク評価手法の開発

SOMPOリスクマネジメントは、中長期的な気候変動の影響を受けやすい洪水リスクに対して、その適応策となる新たな保険サービス、リスクコンサルティングサービスの提供を目指し、日本およびアジア諸国における洪水リスク評価手法を、京都大学防災研究所、神戸大学都市安全研究センターと共同で研究開発しています。
日本では、京都大学、神戸大学と共同で開発した洪水リスク評価システム*1を、保険リスク管理や自然災害リスクコンサルティングに活用しています。
アジア諸国では、タイの洪水リスク評価システムを一般財団法人河川情報センターと共同で開発し、保険リスク管理や保険商品開発に利用しています。また、アジア6ヶ国(中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール)と南米1か国(ブラジル)では、主要都市域で利用できる洪水シナリオリスク評価手法*2を開発し、保険リスク管理態勢を強化しています。これらの洪水リスク評価システム、評価手法は、対象エリアを順次拡大しており、2017年度には新たにミャンマーを追加しました。ミャンマーでは、この技術を活用してミャンマーに進出する日系企業を支援できるサービスの開発を目指しています。
今後も、洪水リスク評価の技術を、国内外の保険リスク管理、保険・デリバティブ商品の開発、BCP策定などのリスクコンサルティングサービスに積極的に活用し、具体的かつ実践的なソリューションを提案します。

  1. 洪水リスク評価システム:想定し得るあらゆる降雨シナリオに基づき、今後発生する洪水被害を確率的に評価するシステム。
  2. 洪水シナリオリスク評価手法:過去に観測された豪雨、または確率降雨(例:100年に1回の確率で発生する強さの降雨)を想定した豪雨など、ある特定の降雨シナリオに対する洪水被害を評価する手法。

文部科学省「気候変動適応技術社会実装プログラム」に民間企業として初参画

SOMPOリスクマネジメントは民間企業として初めて、文部科学省の「気候変動適応技術社会実装プログラム」(以下「SI-CAT」)*1に、「ニーズ自治体等」として参画しました。

SOMPOリスクマネジメントは、SI-CAT 研究成果の活用や研究機関との意見交換や連携を通じ、自社で開発している台風・洪水リスク評価モデルを用いた気候変動リスクの定量化等について研究・分析を進めています。

また、本取組みを通して得た技術や知見を活用し、企業や地方自治体などの気候変動への適応を支援するソリューションサービスを提供することで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指します。

  1. 文部科学省が、気候変動の影響を低減する適応策を必要とする地域を支えるための技術開発とその導入を支援するために、2015 年12 月に立ち上げたプログラム。2020年3月に終了。

気候変動影響の定量化技術の開発

SOMPOリスクマネジメントは国立研究開発法人防災科学技術研究所( 以下「防災科研」) 、国立大学法人筑波大学(筑波大)との連携により、自然災害に及ぼす気候変動影響の定量化技術を開発しました。

SOMPOリスクマネジメントは、防災科研および筑波大が有する気候予測に関する知見やデータ分析方法などのノウハウの提供を受け、気象・気候ビックデータを用いた台風、豪雨に関する大規模分析を実施しました。この分析では、温暖化が進行した気候下における災害の発生頻度・強度の平均的な傾向変化や、巨大台風・大規模豪雨などの極端な災害の発生傾向について定量化し、自社で開発している国内台風・洪水リスク評価モデルに組み込みました。本技術を用いることで、保険引受における気候変動影響を定量的に評価することが可能となります。

損保ジャパンおよびSOMPOリスクマネジメントは本取り組みを通じ、保険引受リスク管理を高度化するとともに、企業や地方自治体などの気候変動への適応を支援する新しい保険商品やサービスを開発・提供していきます。

自然災害分野におけるグローバル産学連携プログラムへ参画

当社グループのデジタル戦略拠点である米国シリコンバレー法人SOMPO Digital Lab, Inc.は、スタンフォード大学の自然災害関連の産学連携研究プログラム「Stanford Urban Resilience Initiative(以下「SURI」)」に第一号企業会員として2019年1月から参画しました。

SURIは、地震や洪水などの自然災害に備えた回復力のある都市やコミュニティを形成するための最新技術やツールを研究・開発することを目的に、2015年に設立されたプログラムであり、同大学で博士号取得を目指す学生や研究者と、プログラムに賛同する行政機関、企業、NPOなどが協業して研究開発を行います。

SOMPO Digital Lab, Inc.は、これらの産学連携研究プログラムの取組みを通じて、当社グループが有する自然災害の状況や経済的損失に関する膨大なビッグデータを含むグループ・データプラットフォームおよび自然災害リスク推定の知見と、SURIの持つ最新技術や人材を最大限に活用することにより、自然災害リスクというグローバルテーマに対して、安心・安全に資する新サービスの開発を目指します。

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