社会的課題の解決に向けた取組み

当社グループは安心・安全・健康に資する最高品質のサービスを提供することで、社会的課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献していくことを「グループCSRビジョン」として掲げ、取組みを進めています。

グループCSRビジョン

SOMPOホールディングスグループは、未来に向けた対話を通じてステークホルダーと積極的にかかわりあいながら、高い倫理観のもと国際的な行動規範を尊重し、気候変動や生物多様性などの環境問題、人権やダイバーシティ、地域社会への配慮などを自らの事業プロセスに積極的に組み込むとともに、社会に対して透明性の高い情報を積極的かつ公正に開示していきます。
また、常に一歩先を見据えて、社会の安心・安全・健康に資する商品・サービスの提供をすることで、ソリューション・プロバイダーとしてレジリエントで持続可能な社会の実現に貢献していきます。

グループCSRビジョンに基づき、当社グループが取り組んでいく重要な社会的課題を5つの重点課題として特定するとともに、グループの強みとして3つの重点アプローチを定めています。

持続可能な社会の実現に向けて

気候変動への取組み

2015年に採択されたパリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)など、気候変動に対する企業への期待の高まりを受け、当社は将来世代に希望の持てる社会を継承していくための責任ある取組みとして、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、透明性の高い情報開示や気候変動に対するさまざまな取組みを行っています。

気候関連リスク・機会への対応と主な取組み

気候変動への対応体制

当社は、取締役会が定める「グループERM基本方針」に基づいたリスクマネジメント体制を構築しています。
当社グループに重大な影響を及ぼす可能性があるリスクを「重大リスク」と定義し、事業の抱えるリスクを網羅的に把握・評価したうえで、その管理状況を定期的に取締役会に報告する体制としています。気候変動に関しては、想定を超える風水災損害の発生および脱炭素社会への移行に伴うレピュテーション毀損を中心としたESGリスクの2つの重大リスクを認識し、役員が責任者となって対策を実施しています。
風水災リスクに関しては、従来から、ストレステストを実施し、経営に重大な影響を及ぼすストレスシナリオが顕在化した際の影響を定量的に評価し、資本の十分性やリスク軽減策の有効性を検証しています。また、現在は、気象・気候ビッグデータを用いた台風・豪雨に関する大規模分析を行い、気温が2℃または4℃上昇した気候下における災害の平均的な傾向変化や極端災害の発生傾向を定量化して台風・洪水評価モデルに組み込み、保険引受面への影響を定量的に分析する取組みを進めています。

気候関連戦略と主な取組み

当社グループは気候関連リスクがグループの戦略に与える影響をふまえ、気候変動に対するさまざまな取組みを行っています。

気候関連リスク・機会

  1. 自然災害増加に伴うリスク
    気候変動に伴う自然災害の増加によって、支払保険金が増加し、保険引受収支が悪化するなどの影響が生じることにより、安定した保険の提供が難しくなる可能性があります。
  2. 脱炭素社会への移行に伴うリスクと機会
    脱炭素社会への移行に向けた法規制の強化やテクノロジーの進展が産業構造の変革をもたらし、保険ニーズの変化、株式などの運用資産の価値毀損等、当社グループの将来の業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
    一方で、産業構造の変革は、新たな保険ニーズやマーケットの創出などのビジネス機会の拡大をもたらすととらえています。
  3. リスクコンサルティング事業の拡大
    企業・自治体における気候関連リスクへの対応ニーズの高まりにより、保険事業だけでなくリスクコンサルティング事業の拡大につながると見込んでいます。

主な取組み

  • 自然災害評価モデルの高度化や分析技術向上への取組み
    SOMPOリスクマネジメントは、2018年から文部科学省の「気候変動適応技術社会実装プログラム(SI-CAT)」に参画しており、気温が2℃または4℃上昇した際の気候予測データベースの活用や、研究成果や研究機関との意見交換などを通じて、当社グループの自然災害評価モデルの高度化や分析技術向上、ノウハウ蓄積を目指しています。
  • グループCSR推進本部
    脱炭素社会への移行に伴うレピュテーションリスクを含むESG課題に関しては、グループCBOを本部長、グループ各社の役員クラスをメンバーとした「グループCSR推進本部」において協議を行っています。
  • 情報開示充実への取組み
    当社グループは、2018年から国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)の保険パイロットワーキンググループに参画しており、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の勧告をふまえた情報開示の充実に取り組んでいます。
  • ステークホルダー・エンゲージメント
    当社グループは、社会的課題に対する取組みの改善・向上を図るために、有識者やNPO/NGOを含む多様なステークホルダーとの対話機会を持ち、関連するイニシアティブに参画するなど、リーダーシップを発揮することに努めています。
    気候変動のようなさまざまな主体が取り組み、解決を目指していく課題に対しては、「協働」や「共創」が大きなインパクトを与えるとの認識のもと、持続可能な社会への変革に取り組んでいます。
  • 自然災害の被害予測への取組み
    損保ジャパン日本興亜は、地域防災に関わる気象や建物などの各種データとAI(人工知能)技術を活用し、ブロック(区画)単位で洪水・地震などの自然災害の発生前・発生時・発生後における正確な被害予測と被害状況の把握が可能なサービスの開発を目指しています。
  • 東南アジアにおける『天候インデックス保険』の提供
    当社グループは、気候変動の影響を受けやすい農業が主な産業である東南アジアにおいて、農業経営リスクの軽減を目的とした『天候インデックス保険』を2010年から提供しています。この保険は、気温・風量・降水量などの天候指標が事前に定めた一定条件を満たした場合に定額の保険金をお支払いするもので、現在は農業保険のグローバル統合プラットフォーム『Agri Sompo』を通じて提供しています。
    なお、本取組みは、国連開発計画(UNDP)が商業活動と持続可能な開発を両立するビジネスモデルの構築を促進することを目指して主導しているイニシアティブ「ビジネス行動要請(BCtA)」の認定を2015年に受けました。
  • 自治体への保険提供を通じた地域レジリエンスへの貢献
    豪雨や台風による水害など気候変動の影響による自然災害が相次ぐなか、損保ジャパン日本興亜は自治体向けに避難にかかる諸費用を補償する『防災・減災費用保険』を提供しています。自治体による迅速な初動対応をサポートし、地域住民の安心・安全な生活に貢献しています。
  • 気候変動を含む環境分野における人材育成
    当社グループでは、気候変動を含む環境問題に対する意識・関心を高め、自発的に行動できる人材を増やすことで、課題解決に継続的に取り組んでいます。また、研究機関や行政機関との協働による環境問題に関する研究の成果を社会へ広く発信しています。

指標と目標

CSR・ESG取組みの底上げやその効果を確認するための指標である「グループCSR-KPI」に地球環境問題への対応に関する以下の項目を掲げ、継続的に取り組んでいます。

  1. 気候変動への適応・緩和に向けた商品・サービスの開発・提供
  2. 環境保全に関する普及活動・教育機会への参加人数
  3. CO2排出量
  4. 電力使用量
  5. 紙の使用量

また、2018年度から、「グループ全体で2030年度までに2017年度比21%削減、2050年度までに51%削減」という温室効果ガス(GHG)排出の中長期削減目標を設定し、気候変動の「緩和」に取り組んでいます。
なお、当社は、パリ協定の掲げる長期目標の実現に必要なGHG排出量削減を目指すSBT(Science Based Targets)の認定を目指し、取組みを進めています。

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