デジタル技術を活用した安全運転支援
テレマティクス保険・サービスの開発
損保ジャパンでは、テレマティクス技術を活用した安全運転支援やドライバーの保険料負担軽減を目指した研究・開発を重ね、現在『Driving!』※1、『SOMPO Drive』、『スマイリングロード』※2を提供しています。
2023年4月に提供を開始した『SOMPO Drive』は、安全運転スコアに応じて保険料が最大20%割引となる「安全運転割引」の適用を受ける事ができる、個人向けスマートフォン用無料運転診断アプリです。初めて自動車保険に加入するお客さま向けに、スマホアプリで安全運転診断を実施し、その結果を活用して保険料割引を提供しているのは損保ジャパンのみです。※3
テレマティクス保険を通じて、お客さまにとって納得感のある保険料を実現するとともに、安全運転に対する意識を高めていただくことで、事故の無い社会の実現を目指します。
- 『Driving!』は「ドライブレコーダーによる事故発生時の通知などに関する特約」に付帯されるサービスの名称です。
- ドライブレコーダーを活用した事業社向け事故防止サービスです。2015年3月に損害保険業界初のテレマティクスサービスとしてリリースし、2022年7月にドライブレコーダー・サービスのリニューアルを行いました。
- 損保ジャパン調べ(2023年3月時点)
ドライブレコーダーを活用した個人向け安全運転支援サービス『Driving!』
自動車の安全性能向上などに伴い、近年自動車事故は減少傾向にありますが、高齢者や若年層など依然として事故率が高い世代もあり、ドライバー自身による安全対策は不可欠な状況です。
損保ジャパンでは、万が一の事故の場合でもお客さまを孤独にさせないことや、未然に防げたはずの車の事故を減らすことは損害保険会社の使命と考え、2017年3月より、ドライブレコーダーを活用したテレマティクスサービス(以下、『Driving!』)の提供を開始しました。
2018年1月からは、利便性向上とより多くのお客さまにご利用いただくことを目指し、自動車保険の申込み手続きと同時にサービス利用が可能となるよう自動車保険の特約として本サービスを提供しています。さらに、2021年9月からドライブレコーダー端末のリニューアルを行いました。
『Driving!』は、「安全運転支援機能」を搭載した通信機能付き専用ドライブレコーダーにより運転中の安心をご提供し、運転後は「安全運転診断」などにより運転技術のセルフメンテナンスをサポートします。また、通信機能付きの特長を活かした保険会社と直接“つながる”ことで実現可能なドライブレコーダーの衝撃検知を活用した「事故時通報機能」や国内大手損害保険会社で初めてとなるALSOKと連携した「ALSOKかけつけ安心サービス」をご提供し、安心・安全なカーライフをトータルサポートします。
損保ジャパンは今後もデジタル技術を活用し、すべてのドライバーにさらなる安心・安全を提供し、「事故の無い社会」実現の一助となることを目指します。
<『Driving!』の主な機能>
法人・個人事業主さま向け安全運転支援サービス『スマイリングロード』
損保ジャパンでは、法人・個人事業主向けに通信機能付きドライブレコーダーを貸与し、そこから得られる走行データを分析する先進技術を活用した安全運転支援サービスである『スマイリングロード』を提供しています。具体的には、「みえる」「わかる」「ほめる」 3つの機能で安全運転管理者のパソコンやドライバーのスマートフォンに安全運転診断や危険運転などの情報をフィードバックし、ドライバーの安全運転への意識向上や安全運転管理者の効率的な指導を支援します。
また、万が一の事故時には、ドライブレコーダーの通信機能により衝撃の検知や車の位置情報などを管理者へ通知することで事故状況を即座に把握でき、当社への迅速な事故連絡や早期の事故解決が可能になります。
「ALSOK事故現場安心サポート」の提供
SOMPOダイレクト損害保険(旧
セゾン自動車火災保険)は、市場調査によりお客さまの声を把握し、自動車保険に不足している「見える・触れられる」「カーライフを楽しむ」「事故を未然に予防できる」などの新たな「価値提供」を創造するプロジェクトを立ち上げました。2016年4月からサービスの提供を開始している「ALSOK事故現場安心サポート」の、2022年度におけるサービス満足度は、91.8%とお客さまから高く評価いただいています。
『運転の人間ドック』構想の実現を目指して、共同研究を開始
損保ジャパンは、高齢ドライバーやペーパードライバーの増加、ドライバー不足、移動弱者の増加などの交通問題に対応するため、データドリブンな運転評価に基づく新ソリューションの開発を目指し、AI教習所株式会社と共同研究契約を締結しました。
近年では、高齢ドライバーによる交通事故の増加に対する法令対応が進められているものの、高齢ドライバーに限らず広く交通事故を防ぐためには、運転者が自身の認知機能や運転技能の状態を把握し、効率的でパーソナライズ化されたトレーニングを行うことが重要です。
これらの課題を解決するため、テレマティクス技術を活用した安全運転支援サービスを展開する損保ジャパンと、自動運転技術とAIを活用してより質の高い運転教育を目指すAI教習所は、両者が持つデータやノウハウを共有することで、精度の高い運転診断手法と、行動変容へつながる効果的なトレーニング手法の開発を目指します。
自動運転車に対応した新たな保険の提供
『自動運転専用保険(実証実験向けオーダーメイド型)』サービスの開発
「自動運転」は、交通事故の削減や環境負荷の軽減など社会的課題に対する解決手段としての期待が高く、技術開発と社会受容性の両面において、産官学あげての実証実験が活発化しています。
損保ジャパンは、これまで蓄積した保険設計ノウハウを活かし、自動運転の実証実験における多種多様なリスクに対応した専用保険『自動運転専用保険(実証実験向けオーダーメイド型)』を開発し、提供しています。
当商品は、自動運転に関わるさまざまなリスクを包括的に補償する「自動運転専用保険」、SOMPOリスクマネジメントによる「リスクコンサルティング」、最新のIoT技術を活用した独自の走行データ分析による快適な自動運転の実現を支援する「専用サービス」から構成されます。
一例として、システムの不具合等が発生した場合に自動運転の技術を提供する車両開発事業者に損害賠償義務が生じる可能性がありますが、その原因を特定するのに時間がかかるだけでなく、賠償リスクを負うことで車両開発を敬遠するケースも想定されます。
このような場合に、「安心」して自動運転技術の開発を行っていただくために車両開発事業者間の過失割合の協議を不要とする「自動運転車両開発事業者等被保険者追加特約」を新設し、本特約の被保険者である開発事業者に対して求償を行わないこととしました。これにより、自動運転実施事業者が抱える課題の解消を図ります。
自動運転車に対応した新たな補償の提供開始
現在実用化されている自動運転機能は、運転者自身が運転することを前提とした「運転支援技術」であり、事故が発生した場合には原則として運転者が責任を負うものとされています。そのため、現時点では、運転者が法律上の損害賠償責任を負う可能性が高く、大半のケースにおいては現行の対人賠償責任保険と対物賠償責任保険で保険金をお支払いすることが可能です。しかし、昨今の技術進展の早さやサイバー攻撃の増加などを背景にリスクが多様化していることから、運転者の損害賠償責任の有無が明らかでなくその確定に時間を要するケースが想定されます。
このような場合において、自動運転技術を搭載した自動車やコネクテッドカーを利用する運転者に引き続き「安心」を提供し、「迅速な被害者救済」「事故の早期円満解決」を図るため、運転者に損害賠償責任がない場合でも保険金をお支払いする「被害者救済費用特約(自動セット)」を新設しました。
さらに、システムの不具合や第三者の不正アクセスなどによる事故でお客さまに過失がない場合には、お客さまの自動車保険の継続契約の等級に影響しないようにする「無過失事故の特則(車両保険に自動セット)」を改定しました。
「Level IV Discovery」の共同開発に向けた業務提携とティアフォーとの資本提携
2019年2月15日、損保ジャパンは、自動運転システムの開発を行う株式会社ティアフォー(以下「ティアフォー」)、及び、高精度三次元マップやドライブシミュレーターの技術を持つアイサンテクノロジー株式会社と業務提携契約を締結しました。
自動運転サービスの導入には、長期にわたる準備期間や高額なコスト、技術開発・ノウハウ蓄積・リスク分析など多くの課題があります。
最先端の自動運転技術を持つ二社のノウハウと、損保ジャパンの保有するビッグデータを融合し、新たな自動運転サービスの導入を検討する自治体や交通事業者に対して、計画的かつ安心・安全に実証実験を行うためのインシュアテックソリューション「Level IV Discovery」を共同開発します。
2019年12月に損保ジャパンにて、「Level IV Discovery」事務局を開設し、2020年2月に愛知県において「Level IV Discovery」シンポジウムin Aichiを開催し、順次全国の自治体に対して、ソリューションの提案を進めています。
また、2019年7月に損保ジャパンは、自動運転分野において先進的な技術を有するティアフォーと資本提携契約を締結し、2020年8月にはSOMPOホールディングスの関連会社となりました。
損保ジャパンはこれまで、過疎地域などでの移動手段の確保や人口減少によるドライバー不足の解消といった社会的課題の解決策として期待される自動運転技術が、「安心・安全」に社会実装されるために、損害保険会社として果たすべき役割について研究を進めてきました。このたび、資本提携契約を締結し、関連会社化したことで、これまでの研究を加速させるとともに、テクノロジーを駆使した新しい保険商品・サービスの開発を進め、「安心・安全な自動運転社会」の実現に貢献していきます。
自動運転サービスの社会実装に向けたソリューション『SOMPO ALCS*1』の提供
損保ジャパンは、SOMPOリスクマネジメント、SOMPOビジネスソリューションズ、プライムアシスタンスとともに、2024年4月より、自治体や交通事業者をサポートするためのパッケージソリューション『SOMPO ALCS』を提供しています。
これまでの実証実験*2による知見を活用し、グループ会社と自動運転走行開始前の計画段階から、自動走行開始後のアフターサービスまで、総合的なサポートを提供するこで、「事故トラブルが発生した際にだれがどのように対応するか」、「自動運転車両を整備できる工場をどのように確保するか」などの自動運転サービスの実装における課題解決に貢献し、安心・安全な自動運転サービスの実装を支援します。
- ALCSは、Autonomous,Level4,Comprehensive,Supportの略語です。
- 損保ジャパンは、これまでに120回以上の実証実験に参画し、「自動運転リスクアセスメント」「コネクテッドサポートセンター」「自動運転専用保険(実証実験向け)」をパッケージ化したインシュアテックソリューション『Level Ⅳ Discovery』の提供を通じ、自動運転の安心・安全な導入を支援してきました。