【アクション 1】気候変動への「適応」への取組み
旧来型の化石燃料に依存し、気候変動への対策が十分になされず、経済発展が鈍化した「地域分断社会シナリオ(SSP3)」においては、自然災害が激甚化し、十分なインフラ投資が行き届かず、社会の脆弱性が高まるとされています。このような社会においては、気候変動に対するレジリエンスを高める「適応」へのニーズがますます高まると考えられます。当社グループは保険やその周辺事業の知見・ノウハウを活用し、「適応」に資する商品・サービスの提供に取り組みます。
■気候リスクコンサルティングビジネスの拡大
SOMPOリスクマネジメントは、2018年から文部科学省の「気候変動適応技術社会実装プログラム(SI-CAT)」に参画し、気温が2℃または4℃上昇した際の気候予測データベースの活用や、研究機関との意見交換などを行いました。このような取組みを通じて得られた自然災害評価モデルや気候関連情報開示などに関するノウハウを活用し、リスクコンサルティングビジネスによる収益の拡大にも取り組んでいます。
■農業保険分野における取組み
海外保険事業の中核事業会社であるSOMPOインターナショナルは、2017年に農業保険分野における統合ブランド『AgriSompo』を立ち上げ、欧米に加えて南米、アジアへも拡大するなど持続可能な食糧供給体制への貢献に取り組んでいます。
また、損保ジャパン、SOMPOリスクマネジメントは国際協力銀行(JBIC)などとともに研究・開発を重ね、2010年より 東南アジアで『天候インデックス保険』の提供を行っています。2019年にはタイのロンガン農家向け、2021年にはサトウキビ農家向けへの提供を開始し、農業従事者の風水災や干ばつなどの自然災害リスクへの適応ニーズに対するリスク軽減に貢献しています。2015年には商業活動と持続可能な開発を両立する取組みとして「ビジネス行動要請(BCtA)」*3の認定を受けました。
*3商業活動と持続可能な開発を両立するビジネスモデルの構築を促進することを目指す国連開発計画(UNDP)が主導するイニシアティブ

【アクション 2】気候変動の「緩和」の取組み
環境と経済が調和する「持続可能な社会シナリオ(SSP1)」では、一定の経済発展のもと、気候変動への対策が効果的に講じられ、再生可能エネルギーや新たな技術開発が進展し、新たな保険ニーズが高まると考えられます。当社グループは、グループの温室効果ガス削減に向けた取組みを進めるとともに、再生可能エネルギーの普及拡大などを通じた気候変動の「緩和」に貢献します。
■グループの温室効果ガスの実質排出ゼロに向けた取組み
2021年4月に「2050年実質排出ゼロ」水準の温室効果ガス削減方針を表明し、2030年度に60%削減(2017年度比)の目標に向け、当社グループが使用する電力の再生可能エネルギーへの切り替えなどの対策を進めています。また、投融資先を含むバリューチェーンの実質排出ゼロを目指し、ステークホルダーと連携しながら削減に向けた取組みを進めています。
■風力発電事業者向け「ONE SOMPO WIND サービス」
損害保険商品の提供に加え、大学や研究機関などのステークホルダーとの共同研究により得られたノウハウを活用し、風力発電事業のプロジェクト組成から運転開始、その後の撤去またはリプレイスに至るすべてのプロジェクトフェーズを対象として、風力発電事業に関わるバリューチェーン全体へのリスクマネジメントサービスを展開しています。

【アクション 3】社会のトランスフォーメーションへの貢献
■環境・社会に悪影響を与える事業・セクターの特定と保険引受・投融資への活用
当社グループでは、自然破壊や人権侵害などの環境・社会に悪影響を与える可能性のある事業やセクターを定め、ステークホルダーとの対話や独自分析を通じてデータベースを構築し、保険引受や投融資の判断に活用しています。
■石炭火力発電所に対する保険引受・投融資制限方針(国内損害保険会社初)
損保ジャパンでは、気候変動への影響が懸念されている石炭火力発電所について、2020年9月に国内損害保険会社で初めて新規建設に対する保険引受・投融資を原則行わないことを公表しました。今後も、グループの事業を発展させる重要な機会であるステークホルダーとの対話を通じて、当社グループへの期待・要請を把握し、業界の脱炭素の取組みの促進などを通じた社会のトランスフォーメーションに貢献していきます。
■SOMPOアセットマネジメントのESGへの取組み
機関投資家が協働でエンゲージメント活動を行う「Climate Action100+」に参加し、投資先企業の温室効果ガス排出量の削減や長期計画の策定などへの働きかけを積極的に行っています。2017年9月に責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)が主導する「モントリオール・ カーボン・プレッジ」への賛同を表明し、長期投資を志向する「SNAMサステナブル投資マザーファンド」の受益権1万口あたりの温室効果ガス排出量、ファンド全体の排出量および加重平均カーボンインテンシティの算出、公表を継続的に行っています。
■30年来にわたる環境教育への取組み
1992年の地球環境室の設置以降、当社グループは気候変動をはじめとする地球環境問題の解決には、一人ひとりが自発的に行動することが重要と考え、NPOとの協働による環境人材の育成に継続的に取り組んでいます。