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TCFD・TNFD提言への対応

SOMPOにおけるTCFD・TNFDの考え方

当社グループは、人々の安心・安全・健康な生活に影響をおよぼす気候変動・自然関連課題を重要な取組課題として位置づけるとともに、そのリスクと機会、対応策などについて、TCFD・TNFD両提言への対応を通じて、ステークホルダーの皆さまへ透明性の高い情報を積極的かつ公正に開示するよう取り組んでいます。
TCFD提言については、2018年に賛同を表明するとともに、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)のTCFD保険ワーキンググループに参画しました。また、TNFDのフレームワークの開発にあたっては、2021年に損害保険ジャパンおよびSOMPOリスクマネジメントがTNFDフォーラムに参画し、UNEP FIのTNFDフレームワークのパイロットテストに参画しました。加えて、2024年にはSOMPOホールディングスが「TNFDアーリーアダプター」に登録するなど、両提言の普及・発展への貢献に努めています。

  • TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
  • TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)

1. ガバナンス

(1)取締役会の役割

当社グループは、「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」をパーパスとして定めています。
取締役会は、グループ全体の戦略や方針を定めるとともに、パーパス実現に向けた執行役および執行役員の業務遂行状況を監督する役割を担っています。

(2)執行役・執行役員の役割

【グループCSuO(Chief Sustainability Officer)】

グループCSuO(Chief Sustainability Officer)は、サステナビリティ領域の最高責任者として、パーパス浸透とサステナブル経営戦略の策定・実行を担っています。グループCSuOの役割のうち気候変動・生物多様性およびビジネスと人権といったグループのサステナブル経営戦略については、グループCSuOを議長とするグループサステナブル経営推進協議会において、関連するリスク・機会をふまえた対応について協議することで、グループCSuOの意思決定を支援するなど、グループ全体のサステナビリティ推進体制を構築しています。
「グループサステナブル経営推進協議会」の下部には、「資産運用」、「保険引受」、「ビジネスと人権」、「環境マネジメント」の4つのワーキンググループを設置しています。ワーキンググループでは、気候変動・生物多様性におけるリスク・機会の精査や、協議会での議論内容をふまえた情報共有・施策実行を進めるほか、関連する保険引受および資産運用の課題や企業価値向上の実現に向けて実務者レベルで協議を行っています。また、グループCSuOの業務執行のサポート機能としてサステナブル経営推進部を設置しています。

【グループCRO(Chief Risk Officer)】

リスク管理については、取締役会が定める「SOMPOグループERM基本方針」に基づいてリスクコントロールシステムを構築しています。グループCRO(Chief Risk Officer)は、各事業の抱えるリスクを網羅的に把握・評価し、そのうち当社グループに重大な影響をおよぼす可能性がある重大リスクについては、グループ執行会議の下部組織であるグループERM委員会においてコントロールの状況を確認・議論したうえで、定期的に取締役会、グループ執行会議などに報告しています。

<体制図>

サステナブル経営の推進体制

(3)ステークホルダー・エンゲージメント

当社グループは、未来に向けた対話を通じてステークホルダーと積極的に関わりあいながら、高い倫理観のもと国際的な行動規範を尊重し、気候変動や生物多様性などの環境問題、人権やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、地域社会への配慮などを自らの事業プロセスに積極的に組み込むとともに、社会に対して透明性の高い情報を積極的かつ公正に開示していくことを定めたグループ環境ポリシーを制定しています。
また、当社グループの事業活動においては、保険引受および資産運用を通じて地域住民・先住民族・将来世代の権利侵害を引き起こしかねないことから、多種多様なステークホルダーを対象に人権リスク評価を実施し、「グループ人間尊重ポリシー」を定めています。人権リスク評価では、保険引受先や投融資先の企業などがプロジェクトや事業を実施している地域におけるリスクを確認しており、優先度が高い人権リスクに関しては、リスク軽減の取組み(保険引受先や投融資先の企業などへのエンゲージメント)を行っていきます。
これらの環境・人権問題に関するステークホルダー・エンゲージメントの状況に関しては、グループCSuOが議長を務める「グループサステナブル経営推進協議会」において報告しています。グループサステナブル経営推進協議会への報告内容については、グループCSuOの業務執行状況として取締役会に報告されており、取締役会はこれらに関する監督責任を負っています。

2.戦略

(1)気候関連の戦略

当社グループでは、気候変動リスク・機会に対し複合的なアプローチを実践するため、2021年度より「SOMPO気候アクション」(気候変動への「適応」、「緩和」、「社会のトランスフォーメーションへの貢献」)を掲げ、取組みを進めています。

(1) 1. 気候関連のリスクと機会

気候変動による自然災害の激甚化や発生頻度の上昇、干ばつや慢性的な海面水位の上昇などの「物理的リスク」のみならず、脱炭素社会への転換に向けた法規制の強化や新技術の進展が産業構造や市場の変化をもたらし、企業の財務やレピュテーションにさまざまな影響を与える「移行リスク」が顕在化する可能性があります。また、これらのリスクに付随して、企業の事業活動に起因する気候変動影響や炭素集約度の高い事業への投融資、不適切な開示などによる法的責任を追及する気候変動訴訟が発生しており、当社グループの損害保険事業における賠償責任保険の支払保険金を増大させる可能性があります。一方で、自然災害リスクの認識の強まりや社会構造の変革は、新たなサービス需要の創出や技術革新などのビジネス機会をもたらします。
当社グループは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)など外部機関の研究成果をふまえて、気候変動が事業に与えるリスクと機会を整理し、短期(2~3年以内)、中期(3~10年後)および長期(10~30年後)の時間軸、保険事業のバリューチェーン全体(上流:商品・サービス開発、中流:販売・営業、資産運用、下流:事故対応・保険金支払い)を対象範囲として評価・分析・対応を進めています。気候変動による物理的リスク、移行リスクに伴う主な変化と、当社グループにとって重大な影響をおよぼすと想定されるリスクと機会は下表のとおりであり、内外環境の変化をふまえて継続的に見直しを行っています。

気候リスク機会一覧

(1) 2. シナリオ分析

ア.保険引受における物理的リスク

当社グループの損害保険事業は、台風や洪水、高潮などを含む自然災害の激甚化や発生頻度の上昇に伴う想定以上の保険金の支払いによる財務的影響を受ける可能性があります。リスクの定量的な把握に向けては、2018年以降、大学等の研究機関と連携することで科学的知見を踏まえた取組みを進めており、「アンサンブル気候予測データベース:d4PDF*1 (database for Policy Decision making for Future climate change)」などの気象・気候ビッグデータを用いた大規模分析によって、台風や洪水、海面水位の変化の影響を受ける高潮の平均的な傾向変化や極端災害の発生傾向について、平均気温が上昇した気候下での長期的な影響を把握するための取組みを行っております。また、5~10年後の中期的な影響を分析・評価し事業戦略に活用しております。

当社グループは、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)のTCFD保険ワーキンググループが2021年1月に公表したガイダンスに基づく簡易な定量分析ツール*2を用いた台風に関する影響度の試算を行っております。試算結果は下表のとおりです。

<試算結果>
台風の発生頻度 約△30%~+30%
1台風あたりの損害額 約+10%~+50%

今後も、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するNGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が検討を行っているシナリオ分析の枠組み等も活用して、引き続き分析を進めてまいります。

*1文部科学省の気候変動リスク情報創生プログラムにて開発されたアンサンブル気候予測データベースです。多数の実験例(アンサンブル)を活用することで、台風や集中豪雨などの極端現象の将来変化を確率的にかつ高精度に評価し、気候変化による自然災害がもたらす未来社会への影響についても確度の高い結論を導くことができます。

*2IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書のRCP8.5シナリオに基づき、2050年と現在との間の台風の発生頻度や風速の変化を捉え、頻度や損害額の変化を算出するモデル。

イ.資産運用における移行リスク・物理的リスク

脱炭素社会への移行が短期・中期・長期それぞれにおいて、当社グループに及ぼすインパクトを把握するため、下表のNGFSシナリオ*3を前提に、脱炭素社会への転換に向けた法規制の強化や世界経済の変化が企業に及ぼす「政策リスク」と気候変動の緩和に向けた取組みによる「技術機会」、慢性的な猛暑、極寒、大雪、大雨、暴風、急性的な台風、洪水、自然火災など、気候変動がもたらす気象災害が企業に及ぼす「物理的リスク」について、MSCI社が提供するClimate Value-at-Risk(CVaR)*4を用いて、当社グループの保有資産に及ぼす影響を分析しております。詳細は、以下「(ア)Climate Value-at-Risk(CVaR)」をご参照ください。
加えて、移行リスク削減に向け、脱炭素化への取組みが進んでいない企業への働きかけを促進することが重要であることから、同社が提供するImplied Temperature Rise(ITR)*5を用いて、当社グループの投資先企業が2100年度までに1.5℃の温暖化に抑える目標と整合的なGHG排出量削減目標を設定しているのかを定量的に分析しています。詳細は、以下「(イ) Implied Temperature Rise(ITR)」をご参照ください。

*3NGFS(気候変動リスクなどに係る金融当局ネットワーク)シナリオ
NGFSがフェーズ4として2023年11月に公表している気候変動シナリオであり、Delayed transition、Net Zero 2050、NDCsの3シナリオを分析。

カテゴリー シナリオ 概要
(1)Disorderly
(無秩序)
Delayed transition
(遅延移行)
2030年まで年間排出量が減少しない。温暖化を2℃に抑えるには強力な政策が必要。CO2除去は限定的。
(2)Orderly
(秩序的)
Net Zero 2050
(2050ネットゼロ)
厳格な排出削減政策とイノベーションにより、地球温暖化を1.5℃に抑制し、2050年頃に世界のCO2排出量を正味ゼロにすることを目指す。米国、EU、日本などの一部の国では、すべてGHGについてネットゼロを達成。
(3)Hot House World
(温暖化進行)
Nationally Determined Contributions(NDCs)
(国別目標)
各国が約束したすべての政策が実施されるシナリオ。(まだ実施されていない場合でも、すべての誓約された政策が含まれるが、地球温暖化を食い止めるには不十分なシナリオ)

*4Climate Value-at-Risk (CVaR)

  • 気候変動に伴う政策の変化や災害による企業価値への影響を測定する手法の一つ。
  • 気候変動関連のリスクと機会から生じるコストと利益の将来価値を現在価値に割り引いたものであり、当社グループの資産運用ポートフォリオにおける各銘柄の保有時価ウェイトを考慮し、2024年3月末時点における影響度を算出。

*5Implied Temperature Rise(ITR)

  • 2100年までに2℃、1.5℃の温暖化をもたらす可能性の程度を、度数(℃)で評価するフォワードルッキングな評価手法の一つ。
  • 投資先企業のGHG予測排出量(足元の排出量および企業が設定した削減目標をもとに算出)とカーボンバジェットの差分をもとに温度上昇への寄与度を表したものであり、当社グループの資産運用ポートフォリオにおける各銘柄の保有時価ウェイトを考慮し、2024年3月末時点における影響度を算出。
(ア) Climate Value-at-Risk(CVaR)
(NGFSシナリオ‐保有資産別比較)

政策リスク、技術機会の影響は、すべての資産において、影響度はNet Zero 2050(1.5℃)シナリオが最大となり、1.5℃目標を達成するには、秩序だった移行であっても、政策リスクが大きいことがわかります。一方、物理的リスクの影響は、外国株式(右記グラフ:左下)を除きNDCs(3℃)シナリオが最大となり、気温上昇がもたらす物理的リスクが大きいことがわかります。
また、保有資産別の比較では、政策リスク、技術機会の影響はいずれも国内株式(下記グラフ:左上)が最大となり、Net Zero 2050(1.5℃)シナリオ下においてそれぞれ△32.6%、6.1%となります。また、物理的リスクにおいても国内株式が最大となり、NDCs(3℃)シナリオ下において△10.7%となります。なお、融資は当社グループの影響が限定的であることを確認しています。

<当社グループ 資産別・NGFSシナリオ別 政策・物理的リスクと技術機会のCVaR分析結果>

当社グループ 資産別・NGFSシナリオ別 政策リスクと技術機会のCVaR分析結果

  • 債券は額面以上で償還されることがないため影響が限定的
・政策リスク: GHG削減目標を達成するために必要となる費用をスコープ1、2、3と段階ごとに算出した数値
・技術機会: 低炭素経済への移行を背景に、企業が保有する環境関連技術が生み出す事業機会のポテンシャルを算出した数値
・物理的リスク: 慢性的または急性的な異常気象が企業の資産や売上にもたらす影響を算出した数値
(NGFSシナリオ‐短期・中期・長期のTime Horizon別比較)

短期・中期・長期のTime Horizon別の比較では、当社グループのポートフォリオにおいて、リスクの大部分は2034年以降に顕在化することがわかります。特に、Delayed transition(2 ℃)(Disorderly:脱炭素への急激な移行)シナリオでは2030年以降に急激な政策移行が想定されていることから、長期影響が顕著に現れます。また、政策リスクはNet Zero 2050(1.5℃)シナリオが△14.96%と最大となり、1.5℃目標を達成するには、秩序だった移行であっても、政策リスクが長期的にも大きいことがわかります。また、物理的リスクは気温上昇を伴うDelayed transition(2℃)シナリオとNDCs(3℃)シナリオで相対的に長期的な影響が大きくなりますが、全体的な影響は限定的です。

<当社グループ Time Horizon別 政策・物理的リスクと技術機会のCVaR分析結果>

当社グループ Time Horizon別 政策リスクと技術機会のCVaR分析結果

(イ) Implied Temperature Rise(ITR)

ITRが2℃未満の企業の割合は、国内株式、外国株式、国内社債、外国社債ポートフォリオの時価ベースでそれぞれ55%、100%、68%、85%、ITRが1.5 ℃ 未満の企業の割合は、37%、100%、50%、72%となっており、国内株式以外はパリ協定で掲げる「1.5℃目標」と整合的な企業が過半数を占めています。一方で、ポートフォリオ全体では、国内株式、外国株式、国内社債、外国社債のITRはそれぞれ2.16℃ 、1.77℃ 、2.07℃ 、2.36℃と、一部資産は改善しているものの、1.5℃を超えています。
当社グループではこれらの分析結果を活用し、移行リスクや物理的リスクの高い企業やGHG排出量目標設定がない投資先企業へのエンゲージメント等の働きかけを通じて気候変動に係るリスクの削減を進めていきます。

<当社グループ 資産別 ITR分析結果>

当社グループ 資産別 ITR分析結果

出典:『MSCI Climate Value-at-Risk、Implied Temperature Rise』を用いてSOMPOホールディングス作成

(補足)本レポートには、MSCI Inc.、その関連会社、情報提供者(以下「MSCI関係者」)から提供された情報(以下「情報」)が含まれており、スコアの算出、格付け、内部使用にのみ使用されている場合があり、いかなる形態でも複製/再販したり、金融商品や指数の基礎または構成要素として使用することはできません。MSCI関係者は、本レポートに掲載されているデータまたは情報の正確性および完全性を保証するものではなく、商品性および特定目的への適合性を含め、すべての明示または黙示の保証を明示的に否認します。MSCI関係者は、本レポートのデータまたは本情報に関連する誤りや脱落、あるいは直接的、間接的、仕様的(利益損失を含む)な損害について、たとえその可能性を通知されていたとしても、いかなる責任も負うものではありません。

(1) 3.レジリエンス向上の取組み

ア.リスクへの対応

<物理的リスク>
損害保険契約や再保険契約は短期契約が中心であり、激甚化する気象災害の発生傾向をふまえた保険引受条件や再保険方針の見直しによって、保険金支払いが想定以上となるリスクの抑制が可能です。また、グローバルな地理的分散や短期・中期の気候予測に基づく定量化、 長期的なシナリオ分析による重大リスクの特定・評価などの多角的なアプローチにより、物理的リスクに対するレジリエンスの確保を図っています。

<移行リスク>
自社のGHG排出量削減については、スコープ1,2,3(除く保険引受・投融資)で2030年60%削減(2017年比)*1、2050年実質排出ゼロにする目標を掲げています。その実現に向け、GHG排出において特に占める割合の大きい電力に関して、LED化などの省エネルギーへの取組みに加え、「2030年までに再生可能エネルギー導入率70%*2」の目標を掲げ、所有ビルの電力を再生可能エネルギー由来に切り替えるなど、目標達成に向けたロードマップに沿って着実に取組みを進めています。

  1. パリ協定の1.5℃目標水準(毎年4.2%以上削減)に整合する科学的根拠に基づく目標。
  2. 再生可能エネルギーの証書による利用を含む。

投融資については、投融資ポートフォリオのGHG排出量(スコープ3カテゴリー15)実質ゼロに向け、排出量を2025年25%削減(2019年比)する中間目標に加え、新たな中間目標として「インテンシティを2030年50~60%削減(2019年比)」を2024年度に設定しました。目標達成に向け、株式保有先のうちGHG高排出の上位20社を中心とするエンゲージメントや、グループが保有する運用資産を入れ替える際のGHG低排出セクターへのシフトなどの取組みを進めています。

イ.機会への対応

当社グループは、気候リスクコンサルティングサービスの開発・提供、保険商品・サービスを通じた自然災害レジリエンスの向上のほか、再生可能エネルギーの普及や取引先との協業によるカーボンニュートラルに貢献する保険商品・サービスの開発・提供に取り組んでいます。
保険引受については、ソリューションプロバイダーとして社会のグリーン移行へ貢献することを目的に、2024年度に、脱炭素に資する保険商品を対象としたトランジション保険目標を新たに掲げました。また、2022年11月に金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF)が開発した企業保険分野のGHG排出量を計測する手法を用いて、保険引受先でGHG排出量(スコープ1,2)を開示している企業のデータを活用し、保険引受におけるGHG排出量の算定を行っています。

また、日本版スチュワードシップ・コードの趣旨にのっとり、株式を保有する企業の企業価値向上および持続的成長に関する取組方針と状況を確認するために、損保ジャパンでは毎年ESGアンケート(「ESG/サステナビリティへの取組みに関する調査」)を実施しています。2024年度は株式を保有する1,329社にアンケートを送付し、226社から回答が得られ、議決権行使のほか、各企業側のニーズの把握・協業の機会につなげ、脱炭素を含めたサステナビリティへの取組みを支援しています。
さらに、ネットゼロ社会の実現に向けて、世界の様々なイニシアティブや団体などにおいて、規制やガイダンス策定などの議論が活発に行われております。当社グループでは、これらのルールメイキングに対して積極的に関与しリードすることにより、社会のトランスフォーメーションに貢献するとともに、これらの取組みを通じた知見の蓄積、また、これらの取組みを通じたレピュテーションの向上によって協業パートナーを呼び込むなどグループのビジネス機会の創出・拡大を図っていきます。

(2)自然関連の戦略

気候変動に加え、生物多様性の喪失と生態系の崩壊、天然資源不足といった自然に関連する環境問題がグローバルリスクとして認識されるようになってきています。当社グループの保険引受先や投融資先の企業のなかには、自然への依存・影響に伴い、将来的に原材料調達や操業の不安定化、法規制などの対応コストの増加、売上減少といったリスクを抱える企業があります。これらのリスクが顕在化した場合、収入保険料の減少や支払保険金の増加など、当社グループの損害保険事業のリスクが高まる可能性があります。
一方で、昆明・モントリオール生物多様性枠組で提唱されたネイチャーポジティブへの移行にあたっては、日本では2030年時点で約47兆円の事業機会が創出されると見込まれています(環境省推計)。この新たな事業機会が保険引受先や投融資先の企業の業績改善や、当社グループが自然に貢献する商品・サービスの提供といった機会をもたらす可能性があります。

保険引受、投資している企業の例 フロー図

これらの自然関連のリスク・機会に対して、当社グループの主要事業である国内損害保険事業および海外保険事業を対象として、TNFDが提言するLEAPアプローチ*に基づき、評価・分析・対応を行いました。

  • LEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare の頭文字)と呼ばれる自然関連のリスクと機会の管理のための統合評価プロセス

LEAP

(2) 1. 自然関連のリスク・機会の特定・評価

ア. 当社グループの自然関連のリスク・機会と影響分析

生態系サービスの劣化に伴う物理的リスクと機会、ネイチャーポジティブに向けた政策・法規制の強化、技術の進展、市場選好の変化に伴う移行リスクと機会について、当社グループでは、損害保険事業を中心にバリューチェーン全体(上流:商品・サービス開発、中流:販売・営業・資産運用、下流:事故対応・保険金支払い)を対象範囲として、評価・分析・対応を行いました。リスク・機会の特定・評価にあたっては、「2-1. 保険引受・投融資における依存・影響の特定・評価」の結果を参考としました。
評価の時間軸としては短期(2~3年以内)、中期(3~10年後)および長期(10~30年後)を設定しています。自然関連の主な環境変化と、当社グループにとって重大な影響をおよぼすと想定されるリスクと機会の一覧は下表のとおりです。これらのリスクと機会については、今後も内外環境の変化をふまえて継続的に見直しを行っていきます。

自然関連のリスクと機会

自然リスク機会一覧

イ. 高リスクセクターにおける自然関連のリスク特定結果

前述の当社グループの自然関連のリスクのうち、「生態系サービスの劣化に伴う収益の悪化」は、取引先企業における風水害や気温上昇、水不足等に伴う業績の悪化(物理リスク)、「ネイチャーポジティブ経済への移行に伴う収益の変化」は、取引先企業における規制強化や技術革新、市場の変化等に伴う業績の悪化(移行リスク)によって、当社グループの収益の悪化につながります。そのため、取引先企業のなかでも当社グループとの取引金額が大きく、かつ自然への依存・影響が大きい高リスクセクターにおけるリスクを特定し、これをふまえて当社グループのリスク評価を行いました。
具体的には、後述の「2-1. 保険引受・投融資における依存・影響の特定・評価」において特定した高リスクセクター(建設、輸送(旅客含む)・倉庫、化学、自動車・自動車部品)について、下記の整理で、高リスクセクター企業の開示情報をもとに想定されているリスクを確認しました。

  • 「 生態系サービスの劣化に伴う収益の悪化(物理リスク)」:
    自然への依存が大きい高リスクセクター(建設、輸送(旅客含む)・倉庫)
  • 「 ネイチャーポジティブ経済への移行に伴う収益の変化(移行リスク)」:
    自然への影響が大きい高リスクセクター(建設、輸送(旅客含む)・倉庫、化学、自動車・自動車部品)

確認結果をふまえ、各高リスクセクターで特定したリスクは以下のとおりです。これらのリスクにより、取引先企業の業績が悪化することで、当社グループに保険金支払いの増加や投資リターンの減少などの影響が生じると考えています。

1) 生態系サービスの劣化に伴う収益の悪化(物理リスク)
セクター リスク
建設 急性
  • 風水災の激甚化による建設資材の調達困難化、資材価格の高騰
  • 被災による工事の中断、工程の遅延
慢性
  • 水不足による工事の中断、工程の遅延
  • 自然資本(木材、鉱物など)の減少による建設資材の調達困難化、資材価格の高騰
  • 夏季の気温上昇による生産性の低下、従業員の健康リスク増大
輸送(旅客含む)・倉庫 急性
  • 風水災による操業困難、事故リスクの増大
慢性
  • 水不足による操業困難
  • 夏季の気温上昇によるエネルギーコストの増加
  • 夏季の気温上昇による従業員の健康リスク増大
  • 生態系の変化に伴う観光資源の劣化
2) ネイチャーポジティブ経済への移行に伴う収益の変化(移行リスク)
セクター リスク
建設 政策
  • 建設時のGHG排出、騒音、汚染に対する規制強化による対応コストの増加
  • 土地改変に対する規制強化による建設需要の減少
  • 建設資材の生産/採取地での規制強化による建設資材調達コストの増加
  • 炭素税導入による原材料調達コストの増加
法律
  • 施工現場周辺の自然環境の破壊による訴訟リスク
技術・市場選好
  • 環境負荷の低い技術の導入による対応コストの増加、技術開発コストの増加
  • 建設資材のトレーサビリティ確保に向けた対応コストの増加
  • 建設資材の生産/採取地における自然環境の破壊によるレピュテーションの低下
輸送(旅客含む)・倉庫 政策
  • 運航、運行時のGHG排出、騒音、汚染に対する規制強化による対応コストの増加
  • 炭素税導入による調達コストの増加
法律
  • 油濁による賠償リスク
技術・市場選好
  • 環境負荷の低い技術の導入による対応コストの増加、技術開発コストの増加
化学 政策
  • 原材料生産/採取地での規制強化による原材料調達コストの増加
  • 製造時のGHG排出、水質・土壌汚染に対する規制強化による対応コストの増加
  • プラスチックの規制強化による製造コストの増加
  • 炭素税導入による調達コストの増加
法律
  • 原材料生産/採取地における自然環境の破壊による訴訟リスク
技術・市場選好
  • 環境負荷の低い技術や原材料の導入による対応コストの増加、技術開発コストの増加
  • 原材料のトレーサビリティ確保に向けた対応コストの増加
  • 原材料生産/採取地における自然環境の破壊によるレピュテーションの低下
自動車・自動車部品 政策
  • 原材料生産/採取地での規制強化による原材料調達コストの増加
  • 製造時のGHG排出、水質汚染、廃棄物に対する規制強化による対応コストの増加
  • 炭素税導入による調達コストの増加
法律
  • 原材料生産/採取地における自然環境の破壊による訴訟リスク
技術・市場選好
  • 環境負荷の低い技術の導入による対応コストの増加、技術開発コストの増加
  • 原材料のトレーサビリティ確保に向けた対応コストの増加
  • 原材料生産/採取地における自然環境の破壊によるレピュテーションの低下

(2) 2-1. 保険引受・投融資における依存・影響の特定・評価

当社グループの取引先企業(保険引受先、投融資先など)には、自然への依存・影響がある事業活動も含まれており、当社グループにとっての自然関連のリスク・機会につながる可能性があります。そのため、当社グループにとって重要な自然への依存・影響関係を把握することを目的に、当社グループの保険引受先や投融資先の各セクターについて、ENCORE*1を用いて自然への依存・影響を特定・評価しました。セクターは、取引先企業を23セクターに分類したうえで、TNFDの金融機関向け追加ガイダンス*2で示されている優先セクターである18セクターを対象としました。(「ア. 依存・影響の特定・評価結果」)
さらに、「1. 自然関連のリスク・機会の特定・評価」の参考情報として、当社グループにとって自然の観点でリスクが高い可能性があるセクター(高リスクセクター)を以下の手順で特定しました。

  1. 自然資本金融同盟(Natural Capital Finance Alliance (NCFA))や国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)などが共同開発した自然関連リスク評価ツール
  2. TNFD Additional guidance for financial institutions v2.0

<高リスクセクターの特定手順>

  1. ENCOREを用いて各セクターの自然への依存・影響の項目、大きさをヒートマップ化
  2. 1の各セクターに対する損保ジャパンおよび海外保険事業における子会社の保険引受、投融資の金額をヒートマップに反映
  3. 2の結果をふまえ、保険引受および投融資ごとに、当社グループにおける高リスクセクターを特定
ア. 依存・影響の特定・評価結果(手順1)

当社グループの保険引受先および投融資先のセクターが、自然に対しどのように依存し、また影響を与えているかを表したヒートマップは以下のとおりです。

イ. 各セクターにおける取引金額の考慮(手順2)

手順1において特定した依存・影響の大きさに対し、各セクターの保険引受金額および投融資金額をかけ合わせることで、当社グループにおける高リスクセクターを特定しました。

手順2概念図

ウ. 高リスクセクターの特定結果(手順3)

自然への依存・影響が大きく、損保ジャパンおよび海外保険事業における子会社との取引金額が大きい4つのセクター(建設、輸送(旅客含む)・倉庫、化学、自動車・自動車部品)を高リスクセクターとして特定しました。

高リスクセクターの特定結果

種別 セクター 依存/影響が大きい項目
保険引受 建設 【依存】土壌の安定化、洪水の緩和、暴風・砂嵐の緩和、降雨の調節
【影響】騒音・光害、淡水域の利用、GHG排出、水・土壌への有害物質の排出
輸送(旅客含む)・倉庫 【依存】土壌の安定化、洪水の緩和、暴風・砂嵐の緩和、降雨の調節、レクリエーション価値の提供、自然景観がもたらす視覚的な快適性
【影響】騒音・光害、GHG排出、非GHG大気汚染物質の排出、外来種の持ち込み
投融資 化学 【影響】騒音・光害、水・土壌への有害物質の排出、水・土壌への富栄養化物質の排出
自動車・自動車部品 【影響】騒音・光害
輸送(旅客含む)・倉庫 【依存】降雨の調節、レクリエーション価値の提供、自然景観がもたらす視覚的な快適性
【影響】騒音・光害、非GHG大気汚染物質の排出、外来種の持ち込み

(2) 2-2. 直接操業地点における優先地域の特定

当社グループと自然との接点を把握し、優先すべき地域を特定することを目的に、損保ジャパン、SOMPOリスクマネジメント、海外保険事業における子会社の直接操業拠点について、WWF Biodiversity Risk Filter*などのツールを用いて、TNFDが定義する「優先地域」に該当する拠点の確認を行いました。直接操業拠点は、日本、カナダ、ロシア、オーストラリア、グアム、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、インド、アラブ首長国連邦、南アフリカ共和国、アメリカ、メキシコ、ブラジル、バミューダ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、トルコ、イタリア、イギリス、ルクセンブルクに位置しています。確認の結果、直接操業拠点における業態は損害保険事業、コンサルティング事業などのオフィス活動であり、自然への依存・影響は小さいと考えられることから、当社グループの直接操業拠点において優先すべき地域に該当する拠点はなく、当社グループにとって重要な自然との接点はないと判断しました。

  • WWF(世界自然保護基金)が開発した、企業が自社のビジネスやサプライチェーン等において生物多様性に影響をおよぼすリスクを評価・対応するためのツール

(2) 3.自然関連のリスク・機会に対する取組み

当社グループの事業における主な取組みは以下をご参照ください。

3.リスク管理

当社は、グループのパーパスおよび経営計画における目指す姿の実現に向けて、その達成確度を高めるためにリスクアペタイトフレームワークを構築し、「取るリスク」、「回避するリスク」を明確にしています。
自然災害リスクについても、リスクアペタイトを明確化するとともに、自然災害が発生した場合に想定される保険金支払いを気象学などの科学的知見や当社商品特性を踏まえて定量的に把握したうえで、財務健全性や収益性、利益安定性への影響、再保険マーケットの動向などをふまえて、再保険方針およびグループ全体のリスク保有戦略を策定し、管理しています。
気候変動リスクは、戦略的リスク経営(ERM)のリスクコントロールシステムの重大リスク管理、自己資本管理、ストレステスト、リミット管理、流動性リスク管理の枠組みにおいて、多角的なアプローチでコントロールしています。
当社グループは、「SOMPO気候アクション」の実践として気候変動リスクフレームワークを通じた短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会の評価、これらに基づくシナリオ分析(物理的リスク・移行リスク)を実施するとともに、これらのリスクと機会へのレジリエンス向上を高めるための各種の取組みを行っています。

(1)気候変動リスクフレームワーク(気候変動リスクの特定、評価および管理)

自然災害リスクを含む気候変動リスクに関しては、気候変動が保険事業以外を含めた当社グループの事業のさまざまな面に影響を及ぼすこと、その影響が長期にわたり、不確実性が高いことをふまえて、既存のリスクコントロールシステムを補完し、長期的な気候変動がさまざまな波及経路を通じて当社グループに影響を及ぼすシナリオを深く考察してリスクを特定・評価および管理するための気候変動リスクフレームワークを構築しています。
気候変動リスクフレームワークでは、気候変動の複雑な影響を捕捉するために、以下の3ステップで評価を行い、「2.戦略 (1)気候関連の戦略 (1)1. 気候関連のリスクと機会」で述べたリスクと機会を整理しています。

気候変動リスクフレームワーク

リスク評価にあたり、平均気温の変化を示すIPCCのシナリオと政策移行を示すNGFSのシナリオを組み合わせた「低位」「中位」「高位」の3つの環境変化のパターン(下表「環境変化のパターン」)を選定しました。また、当社に及ぼす影響の波及経路・内容をシナリオで想定したうえで(下図「リスクの波及経路と影響内容のシナリオ(例)」、パターンごとにリスクを評価しています。

<表:環境変化のパターン(低位・中位・高位)>
IPCC NGFS
低位 SSP1-1.9 Orderly / Net Zero 2050
中位 SSP2-4.5 Disorderly / Delayed Transition
高位 SSP5-8.5 Hot House World / Current Policy、Nationally Determined Contributions(NDCs)

<リスクの波及経路と影響内容のシナリオ(例)>

リスクの波及経路と影響内容のシナリオ例

アセスメント結果をふまえて継続的なモニタリングが必要なリスクについては、保険引受および資産運用に与える影響度、可能性、発現時期、傾向などを「気候変動リスクマップ」で可視化し、グループERM委員会において議論したうえで、定期的に取締役会およびグループ執行会議等に報告しています。

<気候変動リスクマップ(中位SSP-2-4.5/Disorderly)>

気候変動リスクマップ

上記以外にも、保険引受・資産運用以外の当社グループの事業活動には、その他のリスクとして、「訴訟等の法的な影響」がおよぼされる可能性があると考えています。リスク評価における影響度・可能性はそれぞれ中程度相当と想定しており、引き続き情報収集および分析を行い、リスクの把握に努めていきます。

発生の原因 当社グループへの影響
訴訟等の法的な影響 気候変動に対する取組みの遅れや不適切な情報開示 当社やグループ会社自身に対して賠償請求訴訟が起こされる、など

表:保険引受・資産運用以外の当社グループ事業へのリスク。なお、保険引受や資産運用への影響についてはアセスメントを実施。

(2)既存のリスク管理フレームワークとの統合

気候変動リスクフレームワークでとらえたリスクの認識は、重大リスクの「主な想定シナリオ」に反映して管理しています。(下表)

気候変動に関連する重大リスク等と主な想定シナリオ
重大リスク 気候変動に関連する主な想定シナリオ
気候変動リスク 風水災の激甚化または頻度増加による火災保険等の保険金支払、再保険コストの増大
サステナビリティリスク 脱炭素に向けた政策・法規制の強化、技術革新の進展による株式・債券の価格変動など
事業中断リスク 想定シナリオを超える大規模自然災害等の発生に伴う重要業務停止の長期化、人命被害など
パンデミック 森林減少や永久凍土の融解による重大な新興感染症パンデミックの発生増加

また、気候変動リスクフレームワークを通じて得られた知見を、既存のリスクコントロールシステムの枠組みである自己資本管理、ストレステスト、リミット管理、流動性リスク管理に反映させていくことで、リスク管理全体の高度化を図っていきます。

4.指標と目標

(1)リスクと機会を評価するための指標

当社グループは、SOMPO気候アクションの実践が、当社グループにとってのリスク低減と新たなビジネス機会の獲得につながるとの認識のもと、以下の指標を用いた評価を行っています。また、自然関連の指標に関してもTNFDフレームワークにおけるグローバル中核開示指標を参照し、評価を進めていきます。

項目*1 単位 2024度
実績*2
TNFDグローバル開示指標
自然変化の要因 指標
GHG排出量
(スコープ1,2,3 ※除く保険引受・投融資)
t-CO2e 306,353 気候変動 GHG排出量
GHG排出量
(スコープ3カテゴリー15 投融資)*3*4
株式 t-CO2e 925,692
社債 t-CO2e 804,126
合計 t-CO2e 1,729,817
インテンシティ *5 株式 t-CO2e / 億円 60.27
社債 t-CO2e / 億円 67.70
合計 t-CO2e / 億円 63.51
加重平均炭素強度(WACI)
(スコープ3カテゴリー15 投融資)*6
株式 t-CO2e/
百万米ドル
137.51
社債 t-CO2e/
百万米ドル
142.77
再生可能エネルギーの
導入率*7
% 9.9
電力使用量 kWh 321,913,730
紙使用量 t 10,917 資源の利用・
補充
陸上・海洋・淡水から調達されるリスクの高い天然資源の量
生物多様性保全活動・
環境教育への参加人数
11,629
管理/運営している
総表面積(延べ床面積)
m2 1,229,529 陸上・淡水・
海洋利用の変化
空間フットプリントの合計
水使用量(上水使用量)*8 kℓ 3,716,793 資源の利用・
補充
水不足地域からの取水と消費
排水量(下水使用量) kℓ 3,695,330 汚染・汚染除去 排水
廃棄物の排出量 t 18,492 汚染・汚染除去 有害廃棄物の
発生と処理
廃棄物のリサイクル量 t 4,224
廃棄物の
処分方法別内訳
埋立 t 8
焼却 t 13,961
その他の処分 t 298
処分方法不明 t 0
  1. 指標の対象範囲は、国内・海外の連結子会社(日本会計基準)です。
  2. 「GHG排出量(スコープ3カテゴリー15 投融資)」と「インテンシティ」「加重平均炭素強度(WACI)(Scope3カテゴリー15 投融資)」については、2023年度の実績です。
  3. 算定にあたっては、MSCI ESG Research社が提供するデータ( (カバー率)2023年度:上場株式84%、社債79%、いずれも時価ベース)を使用しています。対象資産は国内外の上場株式と社債の投資先におけるスコープ1,2です。
  4. GHG排出量は、投資先のEVIC(Enterprise Value Including Cash:現金を含む企業価値)ベースに対する当社グループ持分です。
  5. インテンシティは、投融資額1単位あたりのGHG排出量です。なお、海外保険事業における投融資額は、2019年(基準年)の為替レートを用いて円貨計算しています。
  6. WACIは、Weighted Average Carbon Intensityの略称であり、各投資先企業の売上高あたりのGHG排出量をポートフォリオの保有割合に応じて加重平均した値です。
  7. 再生可能エネルギーの導入率には、再生可能エネルギーの証書による利用を含みます。
  8. 当社グループでの水使用量を示しています。水不足地域への該当の有無は今後確認してまいります。

(2)自然関連の依存と影響を評価するための指標

TNFDの金融機関向け追加ガイダンス*では、金融機関が、自然関連の重要な依存・影響が想定されるセクターに対する金融エクスポージャーを開示することを推奨しています。
同ガイダンスの優先セクターを参考に、「(2)自然関連の戦略 2-1. 保険引受・投融資における依存・影響の特定・評価」に示す化学、自動車・自動車部品、輸送(旅客含む)・倉庫等の18セクターを対象とした、当社グループの保険引受先および投融資先における金額割合は下記のとおりです。

  • TNFD Additional guidance for financial institutions v2.0
項目 対象セクターが占める金額割合
(金融セクターコア開示指標)
保険引受 51.3%
投融資 46.8%

(3)リスクと機会を管理するための目標

当社グループは、以下の目標を設定し、その進捗の管理を行っております。
今後、自然関連の目標の設定についても検討していきます。

項目 目標値
自社のGHG排出量削減率 2030年60%削減(2017年比)
2050年実質排出ゼロ
※スコープ1,2,3(除く投融資)が対象
※目標基準年である2017年の総排出量実績は、422,813 t-CO2eです。2024年度のデータ収集の過程において、2017年度数値の再算定を行っています。
投融資のGHG排出量削減率 2025年25%削減(2019年比)
2050年実質排出ゼロ
※スコープ3カテゴリー15が対象(対象資産は上場株式と社債)
※目標基準年である2019年の排出量実績は、
株式:1,013,157 t-CO2e 社債:1,059,379 t-CO2e
合計:2,072,536 t-CO2e

2030年:50~60%削減(2019年比・インテンシティ(投融資額1 単位あたりのGHG排出量)ベース)
※ 対象資産は、上場株式、社債、上場企業向け融資、上場株式・社債ファンド
再生可能エネルギーの導入率 2030年導入率 70%
2050年導入率 100%
※再生可能エネルギーの証書による利用を含む
トランジション保険目標 2026年度 250億円
※脱炭素に資する保険商品の元受保険料を目標値としております。
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