当社グループは、1992年にリオ・デ・ジャネイロで開催された「地球サミット」への参画を契機に国内金融機関で初めて地球環境問題対応の専門部署を立ち上げて以来、NPOなどとの協働を通じて地球環境問題の解決に向け積極的に取り組んできました。近年、気候変動に加え、生物多様性の喪失と生態系の崩壊、天然資源不足といった自然に関連する環境問題がグローバルリスクとして認識されるようになってきており、ネイチャーポジティブに向けた取組みを進めています。
自然関連の取組み
OECM100か所プロジェクト
2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する「30by30」目標は、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に組み込まれ、その内容を受けて閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030」にも盛り込まれております。損保ジャパンでは、「30by30」達成に寄与するOECM(保護区以外の生物多様性に資する地域)が、Eco-DRR(生態系を活用した防災・減災)にも寄与する点で損害保険事業との親和性が高いことから、その普及に努めております。災害に強い地域づくりを目指し、自社グループのみならず、企業や自治体が所有管理する緑地・森林・沿岸域のOECM登録の推進や申請を支援するプロジェクトを実施しております。
SAVE JAPANプロジェクト
損保ジャパンは、お客さまが保険加入時に、Web約款・Web証券を選択いただいた場合などで削減できたコストの一部を活用して、認定特定非営利活動法人日本NPOセンター、地域のNPO支援センター、環境NPOと協働で、市民参加型の生物多様性保全活動を行っております。この活動は、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で「愛知目標」が採択された翌年の2011年に開始しております。これまで47都道府県での開催を通じて、2024年3月末までに300種を超える希少種を保全、延べ1,088回のイベントに66,000人超の方に参加いただいております。2023年度からは、「OECM100か所プロジェクト」の一環として、Eco-DRR(生態系を活用した防災・減災)とOECM申請プロセスを支援するプロジェクトにも範囲を拡大し、ネイチャーポジティブの実現や生物多様性保全の重要性について市民社会への理解浸透を図っております。2024年度前期の「自然共生サイト」*認定に向けては、2つのプロジェクトが申請されております。
- 環境省が定める「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」には、保護区も含まれるため、環境省は「自然共生サイト」として認定し、保護区との重複を除いた区域をOECMとして国際データベースに登録。
SOMPOの森林(もり)
損保ジャパンは、全国8か所の自治体と森林の整備活動の支援を目的とした協定を締結し、地域の方々やグループ社員、代理店、その家族とともに森林整備のボランティア活動・環境教育などを展開しております。この「SOMPOの森林」の活動を通して、森林の保全と地域の防災力向上の関係性について発信するとともに、災害に強い地域づくりを行ってまいります。
森林由来のカーボンクレジットに関する補償(国内初)
損保ジャパンは2022年12月から、自然資本活用により温室効果ガス排出削減を行うボランタリークレジット*1市場向けに国内初となる森林由来のカーボンクレジット*2に関する補償の提供を開始しています。
森林クレジットの導入を促進することを目的として、クレジット創出者が所有する森林に損害が発生した場合、CO2吸収量が減少し、想定したクレジットを得られないなどのリスクに対応するものです。また、ボランタリーカーボンクレジットの創出に取り組む、NCCC(ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム、代表理事:九州大学 馬奈木俊介教授)に創設当初から参画し、自然資本の保全に寄与しております。
- 企業が森林の保護や植林、省エネルギー機器導入などを行うことで生まれたCO2などの温室効果ガスの削減効果(削減量、吸収量)をクレジット(排出権)として発行し、他の企業などとの間で取引できるようにする仕組み。
- 森林の保護や植林などによる二酸化炭素などの温室効果ガス削減効果をクレジットとして認証するもの。
TNFD情報開示支援サービス(自然関連リスク分析)
企業の自然資本・生物多様性に関する情報開示の動きが進んでおり、2023年9月には情報開示の枠組みとしてTNFDフレームワークがリリースされております。これに対しSOMPOリスクマネジメントでは、企業における自然資本・生物多様性に関するリスク分析および情報開示を支援するため、『TNFD情報開示支援サービス(自然関連リスク分析)』をTNFDフレームワークのリリースと同時期の2023年9月より提供しております。
損保ジャパン・グリーン・オープン(愛称:ぶなの森)
SOMPOアセットマネジメントは、環境問題に積極的に取り組む企業に投資することにより、投資家の資金が間接的に環境保全に貢献することが期待される、1999年9月に運用を開始した「損保ジャパン・グリーン・オープン(愛称:ぶなの森)」を提供しております。国内ESG投資のパイオニア的存在であり、対象銘柄は、SOMPOリスクマネジメントが環境への取組みの調査・評価を行う環境経営分析を実施した上で選定しており、そこでは生物多様性への取組みやTNFDの開示状況なども分析の一項目となっております。
保険引受・投融資に関するESG方針
環境に負の影響を与える可能性のある保険引受・投融資に関しては、注意を要する事業を特定しております。例えば、ユネスコ世界遺産保護条約で保護対象となる自然・文化遺産を破壊するとされる事業やラムサール条約で保護対象となる湿地(国内には53か所)を破壊するとされる事業は、SOMPOリスクマネジメントで環境に及ぼす悪影響を評価のうえ、保険引受・投融資の際、慎重に対応しております。