グループCEOメッセージ

グループCEO 取締役社長
櫻田 謙悟

当社グループを取り巻く環境

昨年北米を襲った巨大ハリケーンなどの気候変動による自然災害の常態化、情勢不安などの地政学リスク、人権問題、地域間格差の拡大、デジタル技術の進化など、さまざまな社会的課題が顕在化、また複雑化してきています。当社グループの母国市場である日本における急速な少子高齢化、人口減少はもちろん、グローバルに目を転じても、国連の定めたSDGsに代表されるように国際社会が共通して取り組むべき課題は拡がりを見せています。私が毎年出席している世界経済フォーラムの年次総会(通称:ダボス会議)でも、このような課題の解決が議論されており、今年は「Creating a Shared Future in a Fractured World」、つまり「バラバラになった世界で共通の未来を創出する」がテーマとなっていました。社会的課題は、もはや一つの主体だけで解決することが難しくなっており、行政・企業・非営利組織などがこれまでの枠組みを超え、新たな主体を巻き込みながら共存し解決していくことが不可欠になってきています。
こうしたなか、当社グループにとっては、人口減少や気候変動はもちろんですが、デジタル・ディスラプション(デジタル技術による既存市場の破壊)が大きな脅威です。損害保険事業を例にとると、自動運転車の普及によって自動車保険のニーズが減少していく可能性があります。さらに、これまで保険業界の外にいたデジタルを中心とするプレイヤーが参入することにより、業界が激しくディスラプト(破壊)される可能性があります。このように、世の中は、まさにVUCAと呼ばれる何が起こるかわからない時代となり、当社を取り巻く環境は大きく変化していくと考えています。

当社グループの目指す姿

こうした時代のなかで勝ち抜いていくために、当社グループは、中核事業である保険事業の枠組みを超えて、お客さまに「安心・安全・健康に資する最高品質のサービス」をお届けする、「安心・安全・健康のテーマパーク」という世界にも類を見ないユニークかつ先進的なグループへのトランスフォーメーションを目指しています。
「安心・安全・健康のテーマパークとは、どのような姿なのか」とステークホルダーの皆さまにご質問いただくことがあります。当社グループの中核事業である「保険」はまさかのときに備えるものですが、事故や病気などによるマイナスをゼロにするだけでなく、できるだけ今の幸せを長続きさせる、できればもっと幸せになる、つまりゼロを維持もしくはプラスにするお手伝いをする、これが「安心・安全・健康のテーマパーク」の構想です。「テーマパーク」は、楽しくて、幸せを感じられて、食べたり乗ったりと具体的な「体験」ができる場所です。たとえば、介護状態になること自体は本人や家族にとってハッピーではありませんが、大切な家族がそういう状態になったときに、安心して託すことができる場所がある、本人も幸せそうに暮らしている、そのような状態を作るお手伝いをするなど、当社グループの提供する商品・サービスを通じて、安心・安全・健康を具体的に体験いただきたい。そのような意味で「テーマパーク」という言葉を
使っています。

「安心・安全・健康のテーマパーク」へのトランスフォーメーション

<トランスフォーメーションとエコシステム>
当社グループのトランスフォーメーションとはなにか。単に「規模が拡大しただけ」、「強固になっただけ」、「組織の入れ替えだけ」を意味するものではありません。「質的進化」を果たす必要があります。
従来の延長線上にはない新たなビジネスモデルの創出などを通じ、各事業のビジネスモデルを変革する。デジタル技術や資本などの経営リソースを最適化し、グループ全体の事業ポートフォリオを変革する。そして、既存の枠組みやグループ間だけではなく、優れた知見や可能性を持つ「外」のパートナーともつながる「エコシステム」を構築し、互いに影響しあいながらグループ全体の機能を高め、「安心・安全・健康のテーマパーク」を実現する。これが当社グループの質的進化、すなわちトランスフォーメーションです。

<トランスフォーメーションに欠かせない「デジタル」×「ヒト」>
では、トランスフォーメーションを実現していくために何が必要か、それは「デジタル」と「ヒト」です。
迫り来るデジタル・ディスラプションをチャンスに変えるためには、より速いスピードでデジタルの世界で起きていることをとらえ、これまでの枠組みやビジネスモデルを超えたアクションを起こすことが必要です。そのために、東京、米国シリコンバレーに「SOMPO Digital Lab」を開設、さらに、最先端技術が集まるイスラエルにも拠点を開設し、既存事業におけるデジタル技術の実用化やサイバーセキュリティ事業への新規参入など、先駆的な取組みを進めています。
一方で、最先端のデジタル技術を知ることは非常に重要ですが、それだけではトランスフォーメーションは起こせません。デジタル時代における最大かつ最終的な差別化要素は「ヒト」です。デジタル化によりAI やロボットがいくら進歩したとしても、人の感情に寄り添い、答えのない複雑な課題に大局的な視点で意思決定をしていくことはできません。つまり、デジタル時代だからこそ、ヒトの役割は今まで以上に重要になると考えています。最大のポイントは「EQ(心の知能指数)」であり、EQの高い人材こそがデジタル時代のキードライバーになります。そのような人材を多数育成するとともに、プロフェッショナル人材や異能人材の育成や外部採用などにより人材を多様化し、トランスフォーメーションの牽引役として活躍してもらいます。
こうした取組みが、新たな価値を創造し、さまざまな社会的課題を機会(チャンス)ととらえ、長期的な企業価値向上、持続可能な社会の実現にもつながるものと考えています。

中期経営計画の進捗

当社グループは、2016年度からスタートした5年間の中期経営計画を通じて、これまでお話してきた目指す姿へのトランスフォーメーションを実現していきます。
中期経営計画は、今年度で3年目に入ります。これまで築いてきた基盤をさらに進化させ、着実に成果を出し、「安心・安全・健康のテーマパーク」の実現に向けて取組みを加速します。また、2020年度以降の早期に目指す「グローバル上場保険会社トップ10水準の規模(修正連結利益3,000億円以上)および資本効率(修正連結ROE10%以上)」の実現に向け、安定的な利益創出と強固な財務基盤をベースに、各事業のトランスフォーメーションと事業間連携により既存事業の収益性を向上させ、成長投資機会をとらえることで、持続的成長サイクルを構築していきます。
2017年度は、北米のハリケーン等の国内外自然災害や大口事故などの影響により、修正連結利益は1,627億円と前年度に比べて205億円の減益となりましたが、2018年度は各事業の増益により、過去最高益の2,200億円を見込んでいます。
株主還元については、2017年度は前年度に比べて20円の増配と総額391億円の自己株式取得を実施し、4期連続で中長期的な目標水準である総還元性向50%を維持しました。また、2018年度についても、増益に合わせ5期連続の増配を見込んでいます。
中期経営計画がスタートしてからの2年間で、各事業の取組みは着実に進展しており、今後も「安心・安全・健康のテーマパーク」に向けた戦略を着実に実行していきます。

<国内損保事業>
長年培ったビジネスプロセスをゼロベースで見直し、130年の歴史を持つ企業文化そのものを変革することで、持続的な成長を目指します。AI・RPA* などのデジタル技術を活用した生産性向上や、業界の垣根を超えた先進的なプレイヤーとの協業を通じた画期的な商品・サービス開発など、既存事業の成長と新たな価値創造に向けたイノベーションにも取り組んでいます。

  • Robotic Process Automation
    ソフトウェアロボットによる業務プロセス自動化

<海外保険事業>
2017年3月に買収したSOMPOインターナショナルを中心とした先進国における組織再編を終え、アンダーライティングの高度化やグローバルに農業保険を展開する「AgriSompo」の立ち上げなどの成果が出始めています。さらに、今後は新興国のリテール分野の保険事業を統括するプラットフォーム構築にも着手し、世界初の真に統合された海外保険事業グローバルプラットフォームの構築を進めています。

<国内生保事業>
保険本来の機能(Insurance)と健康を応援する機能(Healthcare)を統合した「Insurhealth:インシュアヘルス」の展開を通じ、従来にない新たな付加価値を提供し、お客さまが健康になることを応援する「健康応援企業」への変革を進めています。
具体的には、健康サービスブランド『リンククロス』を立ち上げ、健康状態が改善されたお客さまには、以降の保険料を引き下げるとともに、加入時からの保険料差額相当額をお支払いする『リンククロス じぶんと家族のお守り』を発売しました。こうした商品・サービスを通じて、健康維持、健康増進という新たな価値を提供していきます。

<介護・ヘルスケア事業>
順調な入居率の改善により、2017年度に目指していた黒字化を実現しました。さらに、2018年7月に実施した主力事業会社2社の合併を通じ、サービス品質向上とコスト削減の両立を目指します。また、急激に進む高齢化に向け、認知機能の低下予防を起点とする産官学の連携基盤を確立し 「健康寿命延伸」にも取り組み、グループの成長だけでなく、社会的課題の解決、「世界に誇れる豊かな長寿国日本」の実現にも貢献していきます。

2018年11月に2018年度の通期業績予想を修正し、「修正連結利益1,050億円、修正連結ROE4.0%」としました。

  • 修正連結利益・修正連結ROEについては、こちらをご覧ください。

最後に

すべてのステークホルダーの皆さまとの対話と協働を行いつつ、「安心・安全・健康のテーマパーク」というぶれない信念・ビジョンを持ち、グループ一体となりトランスフォーメーションを進めていきます。
今後も皆さまからの一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。