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グループ内部統制

画像:グループCRO 魚谷 宜弘 企業風土の改革と内部統制の強化により、全社員が自律的に正しい判断と行動ができる真に強固な組織を築き上げる

グループの内部統制の現状と課題認識

2025年3月に金融庁から、国内損害保険子会社において顧客情報漏洩に関する業務改善命令を受けました。保険料等価格調整行為、保険金不正請求に続き、1年半足らずで3度目となる業務改善命令をグループCROとして極めて重く受け止めています。

私たちが目指す「“安心・安全・健康” であふれる未来へ」というSOMPOのパーパスは、社会への貢献と持続的な企業価値の向上を両立させるための羅針盤です。そのパーパスを実現するためには、強固な経営基盤に基づく透明性の高い事業運営が不可欠であり、その根幹をなすのが有効に機能する内部統制です。

現在、グループとして、「旧態依然としたビジネスモデルや業界慣行」からの脱却と、企業文化・風土の改革に取り組んでいますが、その歩みを確かなものとしていく必要があります。そのために新経営体制を通じて事業や地域の枠を越えた連携を強化し、多様な価値観やベストプラクティスを積極的に取り入れるとともに、グローバルなガバナンス基準もふまえて内部統制を着実に強化していきます。

また、私たちのビジネスモデルに潜在する社会との価値観の相違を、役職員一人ひとりが気づき、それを見過ごさずに自分事としてとらえ、仕事のやり方や考え方を積極的に見直し、改善を重ねていく、そうした自浄作用が働くPDCAサイクルを確立することも、重要な課題であると認識しています。

グループの態勢強化に向けた3つの取組み

業務改善命令を受け、損保ジャパンでは、引き続き業務改善計画に沿って改善を進めています。しかし、指摘された問題は、国内損害保険子会社特有のものではなく、グループ全体で取り組むべき課題もあります。従って、グループとしても主に次の3つの取組みを進めています。

(1) コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成

業界慣行からの脱却や企業風土の変革は、役職員一人ひとりの行動変容から始まります。昨年度、「コンプライアンス行動規範」の見直しを行うとともに、正しい行動を恒常的に実践するための仕組み(判断基準)として「SOMPOのYes」を策定しました。今後はこれらの徹底した実践が重要であり、すでにグループ会社にて各社独自の取組みも行われています。例えば、社長・役員メッセージ、社内報、研修などでの周知や、SOMPOのYesが記載された携帯待受画面・テレビ会議用背景の作成などです。実際に、「SOMPOのYesを思い出し正しい方向に進めた」という声も届いており、浸透に向けた取組みの効果が少しずつながら現れ始めています。各社の好取組事例をグループ内で横展開するなどを通じ、引き続きグループ全体の顧客本位の風土醸成に全力を尽くしていきます。

(2) 実効性のあるガバナンス態勢実現に向けた取組み

日々の業務においては、現場と本社が一体となり、目標達成のみにとらわれることなく隠れたリスクに自ら気づき、適切に対応していくことが重要です。また、現場における既存の運営態勢や目標設定などの見直しに際しては、本社の管理部門や内部監査部門は、独立した立場で牽制・モニタリング機能を発揮し、内部統制の有効性を高めていきます。

具体的な取組みとして、外部目線を入れた業務の点検を通して、日常業務に内在するコンプライアンスリスク・コンダクトリスクの洗い出しを行い、検出事項をふまえたガバナンス態勢の抜本的な見直しを図ります。

(3) 適切な法令遵守態勢の確立

グループ内で発生する問題を未然に防ぐ手立てのひとつとして、全役職員が正しく法令を理解し、日々の業務における行動が法令に反するかもしれないという意識を持つことが重要です。当社グループでは、役職員がいつでも研修を受講できる「SOMPO Learning Hub」(グループ共通の学習プラットフォーム)を導入し、実態に即した体系的な知識を習得できる環境を整備しました。特に重要なテーマについては、説明会の実施および職場勉強会や確認テストなどを組み合わせた実践的なカリキュラムにするなど、法令知識に関する教育を強化していきます。また、グローバルで法規制の動向に対する感度を高め、法令遵守態勢の見直しや強化をスピーディに行います。

変革に向けて

現在進行中の業務改善計画に加え、さらに業務改善命令を受けたことにより、「現状維持バイアス」が想像以上に根深く、グループにおける変革を阻んでいるという現状を痛感しました。しかし、この危機を企業文化・風土変革の「最後のチャンス」ととらえ、先述した施策などに真摯に取り組み、皆さまの信頼回復と当社グループの成長の糧としていきたいと強く考えています。

実効性のある法令遵守・ガバナンス態勢の浸透・定着には、役職員一人ひとりが正しい判断・行動を取ることが必要不可欠です。私たち経営陣が率先垂範し、グループ一丸となって企業風土改革に邁進してまいります。


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