気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応

I. SOMPO気候アクションの実践状況

当社グループは、パーパス実現に向けて優先的に取り組むべき重点課題(マテリアリティ)の一つとして、「経済・社会・環境が調和したグリーンな社会づくりへの貢献」を掲げています。その実現に向け、2021年度からの中期経営計画で、気候変動リスク・機会に対する複合的なアプローチを実践する「SOMPO気候アクション」による気候変動への「適応」、「緩和」、「社会のトランスフォーメーションへの貢献」を掲げ、さまざまな取組みを行っています。

気候アクションの具体化に向け、気候変動が当社グループにもたらす潜在的なリスク・機会の分析などをふまえ、グリーントランジションプランの策定・実行、社内の対応体制の強化、気候リスクフレームワークの高度化、気候関連のビジネス機会の創出の4つの課題に取り組む基本方針を決定し、以下の取組を中心に実践しています。

1.グリーントランジションプランの策定・実行

当社グループの保険引受・投融資を含めた温室効果ガス(以下「GHG」)の2050年ネットゼロを目指すべく、グループ全体で以下の取組みを進めています。

【取組み1】投融資先の温室効果ガス(GHG)削減中間目標の達成に向けた取組み

2021年度に設定した投資先を加えたバリューチェーン全体のGHG排出量を2050年までにネットゼロとする目標に加え、2022年5月には投資先のGHG排出量削減に関する中間目標として2025年までに25%削減(2019年比、株式・社債のGHG総排出量ベース)する目標を設定しました。
その具体策として、株式保有先のうちGHG高排出の上位20社を中心とするエンゲージメントの強化により、グリーン移行を促進するとともに、公社債については満期償還時にGHG高排出セクターから低排出セクターへの入れ替えの促進等を通じて、移行リスクの削減と機会の捕捉を行っていきます。
詳細は指標と目標を参照ください。

【取組み2】保険引受・投融資を通じた貢献

当社グループは、サステナビリティを長期的価値創造の原動力ととらえ、パーパスの基本的な考え方にもとづき保険引受・投融資および事業活動の意思決定を行っています。

特にグリーン社会への移行に欠かせないエネルギー転換への貢献については、以下の保険引受・投融資方針を掲げ、取組みを進めています。

  • 石炭火力発電所および炭鉱開発(一般炭)*1については、新設・既設にかかわらず、新規の保険引受・投融資を停止
  • オイルサンドと北極野生生物国家保護区(Arctic National Wildlife Refuge)でのエネルギー採掘活動への新規の保険引受・投融資を停止
  • 2025年1月までにGHG削減計画の策定がなく、収入の30%以上を石炭に依存するまたは30%以上のエネルギーを石炭で発電している企業*2や、北極野生生物国家保護区のエネルギー採掘活動に関わる企業の保険引受*3・投融資を停止
  1. 二酸化炭素回収・利用・貯留技術(CCS・CCUS)、アンモニア混焼等の革新的な技術を有するなど、パリ協定の実現に資するGHG削減効果が見込める場合には、慎重に検討し対応する場合があります。
  2. 収入の30%以上を石炭火力発電、一般炭鉱山、オイルサンドの採掘から得ている企業、 または30%以上のエネルギーを石炭で発電している企業が対象です。
  3. 個々の社員の健康や福祉を支援する保険(労災保険等)には適用されません。

その他の取組みは、戦略を参照ください。

【取組み3】社会のトランスフォーメーションに向けた取組み

ネットゼロ社会の実現に向けて、世界のさまざまな組織や団体等において、規制やガイダンス策定等の議論が活発に行われています。
当社グループは、2021年に金融機関の投融資および保険引受のポートフォリオを通じたGHG排出量を計測する手法を開発している国際的なイニシアティブであるPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)が発足させた「PCAF Insurance-Associated Emissions Working Group(保険の引受を通じたGHG排出量の測定・開示のための国際基準を策定するワーキンググループ)」にアジア初のメンバーとして参画しました。
2022年には、2050年までにGHG排出量のネットゼロを目指す金融機関のグローバル連合であるGlasgow Financial Alliance for Net Zero(GFANZ)傘下の団体に加盟しました。
これらのルールメイキングに対して積極的に関与しリードすることにより、社会のトランスフォーメーションに貢献するとともに、これらの取組みを通じた知見の蓄積やレピュテーションの向上によってパートナーを呼び込むなどグループのビジネス機会の創出・拡大を図ってまいります。

2.気候リスクフレームワークの高度化

当社は従来からERM基本方針に基づき、戦略的リスク経営(ERM)を実践することを掲げております。戦略的リスク経営(ERM)は戦略執行に係るリスクテイクと経営基盤の安定に資するリスクコントロールの2つの仕組みを有しています。リスクコントロールシステムは定性・定量の側面から当社グループを取り巻く多様なリスクを特定、分析、評価する仕組みを有し、不測の損失の極小化と利益の安定を目指しています。
気候変動リスクについてもリスクコントロールシステムの下で重大リスク管理等の枠組みにおいてコントロールを試みていますが、気候変動リスクは長期におよぶ影響があり不確実性が高いこと、また、その影響は自然災害の甚大化以外に多岐にわたること、SOMPOは保険事業以外の事業も有しており、保険会社を対象とした従来のリスクフレームワークではリスクの把握の漏れや対応の遅れが生じてしまう恐れがあること、から2022年度には新たな取組みとして気候変動リスクフレームワークを構築しました。
これは既存のリスクコントロールシステムを補完し、長期的な気候変動に起因するリスクを特定・評価および管理するもので、損保ジャパンをはじめとするグループ内の事業会社と協力してリスク分析・評価などを行い、リスクの把握に努めています。

詳細は戦略リスク管理をご覧ください。

Ⅱ. TCFD提言に基づく当社の気候関連対応の開示

1.ガバナンス

(1)取締役会の役割

当社グループは、「“安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」というSOMPOのパーパスに基づき、その実現に向けた重点課題であるマテリアリティの一つとして「経済・社会・環境が調和したグリーンな社会づくりへの貢献」を定めております。取締役会は、グループ全体の戦略や方針を定めるとともに、これらのパーパス実現に向けた執行役および執行役員の業務遂行状況を監督する役割を担っております。

(2)執行役・執行役員の役割

グループCSuO(Chief Sustainability Officer)は、サステナビリティ領域の最高責任者として、気候変動をはじめとするグループのサステナブル経営に関する戦略を策定・実行し、グループ全体のサステナビリティ機能を統括する役割を担っております。

グループCSuOを議長、損害保険ジャパン・SOMPOインターナショナル・SOMPOひまわり生命・SOMPOケアのサステナビリティ担当役員およびCSOから構成される「グループサステナブル経営推進協議会」において、気候変動に関連するリスク・機会の状況を踏まえてこれらへの対応について協議することで、グループCSuOの意思決定を支援するなど、グループ全体のサステナビリティ推進体制を構築しております。また、グループCSuOの業務執行のサポート機能としてサステナブル経営推進部を設置しております。気候変動戦略やその遂行状況については、グループ執行会議において経営議論・報告されており、これらが四半期ごとに取締役会に報告されております。

リスク管理については、取締役会が定める「SOMPOグループERM基本方針」に基づいてリスクコントロールシステムを構築しており、グループCEOの諮問機関であるGlobal ExCoの下部組織であるグループERM委員会などを通じて、グループCRO(Chief Risk Officer)が各事業の抱えるリスクを網羅的に把握・評価し、当社グループに重大な影響を及ぼす可能性があるリスクを「重大リスク」と定め、その管理状況を定期的に取締役会および経営執行協議会(MAC)などに報告し、対策の有効性などを検証しております。

戦略

(1)気候関連のリスクと機会

気候変動の進展による自然災害の激甚化や発生頻度の上昇、干ばつや慢性的な海面水位の上昇などの「物理的リスク」のみならず、脱炭素社会への転換に向けた法規制の強化や新技術の進展が産業構造や市場の変化をもたらし、企業の財務やレピュテーションに様々な影響を与える「移行リスク」が顕在化する可能性があります。また、これらのリスクに付随して、企業の事業活動に起因する気候変動影響や炭素集約度の高い事業への投資、不適切な開示などによる法的責任を追及する気候変動訴訟が米国中心にグローバルに増加しており、当社の損害保険事業における賠償責任保険の支払保険金を増大させる可能性があります(「賠償責任リスク」)。一方で、自然災害リスクの認識の強まりや社会構造の変革は、新たなサービス需要の創出や技術革新などのビジネス機会をもたらします。

当社は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)など外部機関の研究成果を踏まえて、気候変動が事業に与えるリスクと機会を整理し、中期(5~10年後:2030年頃)および長期(10~30年後:2050年頃)の時間軸、バリューチェーン全体を対象範囲として、評価・分析・対応を進めております。気候変動による物理的リスク、移行リスクに伴う主な変化と、当社にとって重大な影響を及ぼすと想定されるリスクと機会は下表のとおりであり、内外環境の変化を踏まえて継続的に見直しを行っております。

気候リスクについては短期・中期と長期の時間軸で評価を行っています。主な結果についてはリスク管理パートのリスクマップを参照してください。

(2)シナリオ分析

A.物理的リスク

当社グループの損害保険事業は、台風や洪水、高潮などを含む自然災害の激甚化や発生頻度の上昇に伴う想定以上の保険金の支払いによる財務的影響を受ける可能性があります。リスクの定量的な把握に向けては、2018年以降、大学等の研究機関と連携することで科学的知見を踏まえた取組みを進めており、「アンサンブル気候予測データベース:d4PDF*1(database for Policy Decision making for Future climate change)」などの気象・気候ビッグデータを用いた大規模分析によって、台風や洪水、海面水位の変化の影響を受ける高潮の平均的な傾向変化や極端災害の発生傾向について、平均気温が上昇した気候下での長期的な影響を把握するための取組みを行っております。また、5~10年後の中期的な影響を分析・評価し事業戦略に活用しております。

当社グループは、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)のTCFD保険ワーキンググループに参画し、同ワーキンググループが2021年1月に公表したガイダンスに基づく簡易な定量分析ツール*2を用いた台風に関する影響度の試算を行っております。気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するNGFS(気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク)が検討を行っているシナリオ分析の枠組みも活用して、引き続き分析を進めてまいります。

<試算結果>
台風の発生頻度 約▲30%~+30%
1台風あたりの損害額 約+10%~+50%

また、米国ハリケーンや洪水などを含む海外の自然災害に関しては、外部のリスクモデル会社や研究機関との提携を通じて気候変動による影響分析を進めており、自社独自のシナリオを構築し、海外自然災害リスクモデルへ適用する取組みを進めております。

*1文部科学省の気候変動リスク情報創生プログラムにて開発されたアンサンブル気候予測データベースです。多数の実験例(アンサンブル)を活用することで、台風や集中豪雨などの極端現象の将来変化を確率的にかつ高精度に評価し、気候変化による自然災害がもたらす未来社会への影響についても確度の高い結論を導くことができます。

*2IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書のRCP8.5シナリオに基づき、2050年と現在との間の台風の発生頻度や風速の変化を捉え、頻度や損害額の変化を算出するモデル。

なお、損害保険契約や再保険契約は短期契約が中心であり、激甚化する気象災害の発生傾向を踏まえた保険引受条件や再保険方針の見直しによって、保険金支払いが想定以上となるリスクの抑制が可能です。また、グローバルな地理的分散や短期・中期の気候予測に基づく定量化、長期的なシナリオ分析による重大リスクの特定・評価などの多角的なアプローチにより、物理的リスクに対するレジリエンスの確保を図っております。

B.移行リスク

脱炭素社会への移行が当社に及ぼす中長期的なインパクトを把握するため、下表のNGFSシナリオ※3を前提に、脱炭素社会への転換に向けた法規制の強化や世界経済の変化が企業に及ぼす「政策リスク」と気候変動の緩和や適応に向けた取組みによる「技術機会」についてMSCI社が提供するClimate Value-at-Risk(CVaR)※4を用いて、当社グループの保有資産に及ぼす影響を分析しております。
加えて、移行リスク削減に向け、脱炭素化への取組みが進んでいない企業への働きかけを促進することが重要であることから、同社が提供するImplied Temperature Rise(ITR)※5を用いて、当社の投資先企業が2100年度までに2℃の温暖化に抑える目標と整合的なGHG排出量削減目標を設定しているのかを定量的に分析しております。

*3NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)シナリオ
NGFSが公表している気候変動シナリオであり、Delayed transition、Net Zero 2050、Current Policiesの3シナリオを分析

カテゴリー シナリオ 概要
(1)Disorderly
(無秩序)
Delayed transition
(遅延移行)
2030年まで年間排出量が減少しない。温暖化を2℃に抑えるには強力な政策が必要。CO2除去は限定的。
(2)Orderly
(秩序的)
Net Zero 2050
(2050ネットゼロ)
厳格な排出削減政策とイノベーションにより、地球温暖化を1.5℃に抑制し、2050年頃に世界のCO2排出量を正味ゼロにすることを目指す。米国、EU、日本等の一部の国では、すべての温室効果ガスについてネットゼロを達成。
(3)Hot House World
(温暖化進行)
Current Policies
(現行政策)
現在実施されている政策のみが保持される想定。物理的リスクが高くなる。

出所:金融庁「気候変動関連リスクに係るシナリオ分析に関する調査」報告書(2022年4月)より抜粋

*4Climate Value-at-Risk (CVaR)

  • 気候変動に伴う政策の変化や災害による企業価値への影響を測定する手法の一つ。
  • 気候変動関連のリスクと機会から生じるコストと利益の将来価値を現在価値に割り引いたものであり、当社グループの資産運用ポートフォリオにおける各銘柄の保有時価ウェイトを考慮し、2022年3月末時点における影響度を算出。

*5Implied Temperature Rise(ITR)

  • 2100年までに2℃の温暖化をもたらす可能性の程度を、度数(℃)で評価するフォワードルッキングな評価手法の一つ。
  • 投資先企業のGHG予測排出量(足元の排出量および企業が設定した削減目標をもとに算出)とカーボンバジェットの差分をもとに温度上昇への寄与度を表したものであり、当社グループの資産運用ポートフォリオにおける各銘柄の保有時価ウェイトを考慮し、2022年3月末時点における影響度を算出。
a.Climate Value-at-Risk(CVaR)

すべての資産において、Delayed transition(Disorderly:脱炭素化への急激な移行)シナリオが最大となります。また、保有資産別の比較では、政策リスク、技術機会の影響はいずれも国内株式が最大となり、Delayed Transition下においてそれぞれ-54.76%、42.55%となります。ただし、政策リスクと技術機会は相殺し合うため、政策リスクと技術機会を合わせた全体的な影響は国内社債の-18.62%が最も大きい結果となっております。これは、債券は額面以上で償還されることはなく、機会の影響が限定的であるためです。

<SOMPOグループ 資産別・NGFSシナリオ別 政策リスクと技術機会のCVaR分析結果>

・政策リスク: 温暖化ガス削減目標を達成するために必要となる費用をスコープ1、2、3と段階ごとに算出した数値
・技術機会: 低炭素経済への移行を背景に、企業が保有する環境関連技術が生み出す事業機会のポテンシャルを算出した数値

出所:MSCI Climate Value-at-Risk、Implied Temperature Riseを用いてSOMPOホールディングス作成

b.Implied Temperature Rise(ITR)

ITRが2℃未満の企業の割合は、国内株式、外国株式、国内社債、外国社債ポートフォリオの時価ベースでそれぞれ58%、8%、65%、69%となっており、保有高が少なく一部銘柄の影響を大きく受ける外国株式以外はパリ協定で掲げる「2℃目標」と整合的なGHG排出量削減目標を設定している企業が過半数を占めております。一方で、ポートフォリオ全体では、国内株式、外国株式、国内社債、外国社債のITRはそれぞれ2.11℃、2.38℃、1.90℃、2.21℃と、国内社債を除き2℃を超えております。当社では分析結果を活用し、投資先企業へのエンゲージメントを通じて移行リスクの削減を進めてまいります。

<SOMPOグループ 資産別 ITR分析結果>

(補足)本レポートには、MSCI Inc.、その関連会社、情報提供者(以下「MSCI関係者」)から提供された情報(以下「情報」)が含まれており、スコアの算出、格付け、内部使用にのみ使用されている場合があり、いかなる形態でも複製/再販したり、金融商品や指数の基礎または構成要素として使用することはできません。MSCI関係者は、本サイトに掲載されているデータまたは情報の正確性および完全性を保証するものではなく、商品性および特定目的への適合性を含め、すべての明示または黙示の保証を明示的に否認します。MSCI関係者は、本サイトのデータまたは本情報に関連する誤りや脱落、あるいは直接的、間接的、仕様的(利益損失を含む)な損害について、たとえその可能性を通知されていたとしても、いかなる責任も負うものではありません。

(3)レジリエンス向上の取組み

A. リスクへの対応

当社グループでは、保険引受先や投融資先の企業に対するグリーン移行支援を通じて社会の変化に対する企業のレジリエンスを高めると同時に、資産運用ポートフォリオの管理等により、移行リスク軽減に取り組んでおります。

投資先については、株式保有先のうち温室効果ガス(GHG)高排出の上位20社を中心とするエンゲージメントの強化により、グリーン移行を促進しております。公社債については満期償還時にGHG高排出セクターから低排出セクターへの入れ替えの促進等を通じて、資産運用ポートフォリオにおけるGHG排出量を2025年までに25%削減(2019年度比、株式・社債のGHG総排出量ベース)する目標を掲げ、移行リスクの削減と機会の捕捉を行ってまいります。また、保険引受については、新設・既設の石炭火力発電や炭鉱開発(一般炭)への新規の保険引受停止や、オイルサンドおよび北極野生生物国家保護区(Arctic National Wildlife Refuge)でのエネルギー採掘プロジェクトへの新規保険契約を停止する方針を掲げ、ネットゼロ社会への移行を後押ししてまいります。ただし、二酸化炭素回収・利用・貯留技術(CCS、CCUS)やアンモニア混焼等の革新的な技術を有するなど、パリ協定の実現に資する削減効果が認められる場合には慎重に検討し対応する場合があります。

自社のGHG削減については、2030年までに2017年度比で60%削減する目標を掲げております。その実現に向け、所有ビルの電力を再生可能エネルギー由来に切り替えるなど、目標達成に向けたロードマップに沿って着実に取組みを進めております。

B. 機会への対応

当社グループでは、「AgriSompo」による農業保険のグローバル展開を通じた食料安定供給への貢献や、気候リスクコンサルティングサービスの開発・提供等、製品・サービスを通じた自然災害レジリエンスの向上に取り組んでおります。

エネルギー源については、「ONE SOMPO WINDサービス」(洋上風力発電事業者向け保険・リスクマネジメントサービス)をはじめとする再生可能エネルギーの普及に貢献する商品・サービスを展開するとともに、取引先との協業等によるカーボンニュートラルに貢献する新たな商品・サービスの開発にも取り組んでまいります。

また、ネットゼロ社会の実現に向けて、世界の様々な組織や団体等において、規制やガイダンス策定等の議論が活発に行われております。当社グループでは、これらのルールメイキングに対して積極的に関与しリードすることにより、社会のトランスフォーメーションに貢献するとともに、これらの取組みを通じた知見の蓄積やレピュテーションの向上によってパートナーを呼び込むなどグループのビジネス機会の創出・拡大を図ってまいります。当社グループの主な取組みは以下の通りです。

気候変動関連ビジネスの取組状況
適応 【「AgriSompo」の拡大】
農業保険のグローバル統合プラットフォーム『AgriSompo』(米国シェア第3位)を通じてリスク管理ソリューションを提供し続けることで、食料の安定供給に貢献しています。
『AgriSompo』は、農業におけるプロテクション(補償)ギャップを埋めるために設計された、以下を含む数多くの保険およびリスク管理商品を提供しています。
  1. パラメトリック作物保険は、農業業界向けの体系的な天候リスク管理ソリューション
  2. 既存および新規の農業作物保険プログラムのグローバル再保険事業
  3. 小規模農家のすべての農場収入を補償する新しい米国連邦農業プログラムであるMicro Farmを含む、成長中の米国プラットフォーム
  4. ブラジルにおけるキャパシティ提供を通じた補償商品展開と事業規模の拡大

【自治体向け避難支援者保険の販売と要配慮者を支援する「つながる防災プロジェクト」の開始】
損保ジャパンは、個別避難計画における避難支援者や地域の防災活動に参加する住民の皆さまが、安心して活動をおこなっていただくための「避難支援者保険」を販売しています。
また、日本NPOセンターと協働で、災害時の共助を後押しする地域ネットワーク(つながり)の構築に向けた取組み「つながる防災プロジェクト」を開始しています。

【『TNFD情報開示支援サービス(自然関連リスク分析)』の提供開始】
企業の自然資本・生物多様性に関する情報開示の動きが進んでおり、2023年9月には情報開示の枠組みとして「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(自然関連財務情報開示タスクフォース、以下「TNFD」)フレームワークがリリースされました。SOMPOリスクマネジメントにおいて、企業における自然資本・生物多様性に関するリスク分析および情報開示を支援するため、『TNFD情報開示支援サービス(自然関連リスク分析)』の提供を2023年9月より開始しました。

【サプライチェーンリスク可視化ツール、『SORAレジリエンス』の開発と展開】
『SORAレジリエンス』は、株式会社ウェザーニューズの気象に関する豊富なデータ・知見、損保ジャパンの保険データ・知見、SOMPOリスクマネジメントのリスク管理やリスクコントロールに関するノウハウを組み合わせた協業WEBサービスです。気候変動に伴い自然災害が多発するなかで、お客さまのサプライチェーン被害抑制対応・事業継続の一助となるサービスを目指し『SORAレジリエンス(Resilience 強靭さ、回復力、しなやかさを意味する英単語)』と名づけています。

【『SOMPO SUSTAINA』の提供開始】
損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、企業の気候変動対応などの課題解決を支援することを目的としたサービス『SOMPO SUSTAINA(ソンポサステナ)』の提供を2023年1月から開始しました。本サービスは、当社グループがこれまで保険事業などにより培ってきた、気候変動への対応、自然災害に対するレジリエンス向上などの企業の課題・リスクに対処するための知見を、ほかの金融機関などの連携パートナーと協働して、中小企業などに提供するものです。
緩和 【グリーン社会への移行に不可欠なエネルギー転換への貢献】
  • 洋上風力発電事業者向け「ONE SOMPO WINDサービス」の販売
損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、洋上風力発電事業者向けに建設作業から事業運営までのリスク評価、およびリスクを包括的に補償する保険を提供する「ONE SOMPO WINDサービス」を販売し、二酸化炭素の排出が極めて少ない洋上風力発電事業の普及促進に取り組んでいます。

  • 海洋再生可能エネルギー普及を支援する潮流(海流)発電包括保険の提供
損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、海洋のさまざまなエネルギー(海流、潮流等)による発電技術の実用化に向けた取組みや挑戦を保険およびリスクマネジメントの観点から支援する「潮流(海流)発電包括保険」および海洋再生可能エネルギーに係るリスクマネジメントサービスを開発しています。

  • 水素・アンモニアをはじめとする次世代エネルギーのサプライチェーン構築を支援するリスクソリューションシリーズ「SOMPO-ZELO(ソンポゼロ)」*を始動
損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、アンモニア燃料船などの周辺技術を含め、水素・アンモニアをはじめとする次世代エネルギーのサプライチェーン構築を支援するリスクソリューションシリーズ「SOMPO-ZELO」を始動し、「保険」と「リスクマネジメントコンサルティング」の開発・提供を進め、 次世代エネルギーのサプライチェーンの実装と安定的な運用に貢献しています。
本シリーズのもと、2022年4月より国内初となる「アンモニア輸送専用保険」、同年7月には「水素輸送専用保険」を開発し、安定的な次世代エネルギーの供給に寄与しています。

  • 「SOMPO-ZELO」の「ZELO」は「Zero carbon × Logistics」の略称です。 「ネットゼロ(カーボンニュートラル)」「リスクゼロ」を目指し、「ゼロから設計した(=既成概念にとらわれず設計した)専用のリスクソリューション」を提供することで、 次世代エネルギーのサプライチェーン構築および社会実装を支援したいという想いが込められています。

  • 仮想発電所 (VPP) 向け保険
損保ジャパンは、東京電力ベンチャーズ株式会社の協力のもと、VPP(Virtual Power Plant)*の普及をサポートする専用保険の提供を開始しています。
  • 需要家側エネルギーリソース、電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御(需要家側エネルギーリソースからの逆潮流も含む)することで、発電所と同等の機能を提供することです。

  • 自治体新電力事業での安定化支援保険
損保ジャパンは、自治体が出資する小売電気事業者が地域で発電された再生可能エネルギー等を調達した際に、電力卸市場価格の高騰に伴って計画より調達コストが増加した場合の追加調達費用の一部を補償する、「電力調達費用安定化保険」を開発しました。

自然災害による被害を受けた太陽光パネルの再活用を促進する新サービスの開始(損害保険業界初*
損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、自然災害により被災した太陽光パネルの保険金支払い時に、リユース(再使用)・リサイクル(再資源化)できる業者を紹介し、今まで廃棄されていた太陽光パネルを再活用するための取組みを開始しています。
  • 2021年10月損保ジャパン調べ

【損害を受けた住宅の建てかえ費用を補償する「建てかえ費用特約」の提供開始】
損保ジャパンは、台風や豪雨等の自然災害に遭われたお客さまのニーズに対応するため、住宅の建てかえ費用を補償する特約を提供するとともに、本特約を通じて省エネ基準に適合する住宅の普及を後押ししています。
社会のトランスフォーメーション 【ネットゼロ団体への加盟によるルールメイキングへの積極的関与】
当社グループは、2021年より金融機関の投融資および保険引受のポートフォリオを通じたGHGを計測する手法を開発している国際イニシアティブ「Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)」に、2022年より2050年までにGHG排出量のネットゼロを目指す金融機関のグローバル連合「Glasgow Financial Alliance for Net Zero(GFANZ)」傘下の団体(NZAOA・NZAM)に加盟しています。

【投資先企業とのエンゲージメント】
損保ジャパンは非上場企業を含む、株式保有先に対するESGアンケートを2021年度から実施しており、脱炭素を含めたサステナビリティへの取組みを働きかけています。

【ステークホルダーとの協業を通じた社会の移行への貢献】
  • 気候変動・温暖化に関する社会課題を解決するための新たな価値・ビジネスの創造を目指した、株式会社ウェザーニュースとのパートナーシップ協定締結
  • 京都大学防災研究所と連携した「災害リスクファイナンス産学共同研究部門」の設置
  • 気候変動による水害リスク予測および社会影響の研究を目的とした岐阜大学との共同研究契約の締結
など

【環境人材の輩出に向けた取組み】
  • SOMPO環境財団による「市民のための環境公開講座」や大学生・大学院生を対象に環境分野のCSO(Civil Society Organization)で8か月のインターンシップを経験できる「CSOラーニング制度」の継続実施
  • グループ役職員がメンバーとなるボランティア組織「SOMPOちきゅう倶楽部」を中心としたボランティア活動の実施

3.リスク管理

当社は、グループの経営理念・パーパスおよび経営計画における目指す姿の実現に向けて、その達成確度を高めるためにリスクアペタイトフレームワークを構築し、「取るリスク」、「回避するリスク」を明確にしております。自然災害リスクについても、リスクアペタイトを明確化するとともに、自然災害が発生した場合に想定される保険金支払を気象学等の科学的知見や当社商品特性を踏まえて定量的に把握したうえで、財務健全性や収益性、利益安定性への影響、再保険マーケットの動向等をふまえて、再保険方針およびグループ全体のリスク保有戦略を策定し、管理しております。

気候変動リスクは、戦略的リスク経営(ERM)のリスクコントロールシステムの重大リスク管理、自己資本管理、ストレステスト、リミット管理、流動性リスク管理の枠組みにおいて、多角的なアプローチでコントロールしております。

「SOMPOのパーパス」実現に向けた重点課題として挙げたマテリアリティの1つである「経済・社会・環境が調和したグリーンな社会づくりへの貢献」の実現に向け、「SOMPO気候アクション」の実践として気候変動リスクフレームワークを通じた中期・長期の気候関連のリスクと機会の評価、これらに基づくシナリオ分析(物理的リスク・移行リスク)を実施するとともに、これらのリスク機会へのレジリエンス向上を高めるための各種の取組みを行っております。

(1)気候変動リスクフレームワーク(気候変動リスクの特定、評価および管理)

自然災害リスクを含む気候変動リスクに関しては、気候変動が保険事業以外を含めた当社グループの事業の様々な面に影響を及ぼすこと、その影響が長期にわたり、不確実性が高いことを踏まえて、既存のリスクコントロールシステムを補完し、長期的な気候変動が様々な波及経路を通じて当社グループに影響を及ぼすシナリオを深く考察してリスクを特定・評価および管理するための気候変動リスクフレームワークを構築しております。

気候変動リスクフレームワークでは、気候変動の複雑な影響を捕捉するために、以下の3ステップで評価を行い、「気候関連のリスクと機会への対応(戦略)」で述べたリスクと機会を整理しております。

リスク評価にあたり、平均気温の変化を示すIPCCのシナリオと政策移行を示すNGFSのシナリオを組み合わせた「低位」「中位」「高位」の3つの環境変化シナリオを想定したうえで(下図「リスクの波及経路と影響内容のシナリオ(例)」)、パターンごとにリスクを評価しております。

<表:環境変化のパターン(低位・中位・高位)>
IPCC NGFS
低位 SSP1-1.9 Orderly / Net Zero 2050
中位 SSP2-4.5 Disorderly/Delayed Transition
高位 SSP5-8.5 Hot House World/ Current Policy

<リスクの波及経路と影響内容のシナリオ(例)>

アセスメント結果を踏まえて継続的なモニタリングが必要なリスクは「気候変動リスクマップ」として可視化し、主に保険引受および資産運用に影響を与えるリスクの影響度、可能性、発現時期、傾向などを俯瞰することで、取締役会および執行の諸機関における気候変動に関する議論の活発化を図っております。

<アセスメント結果を踏まえたリスクマップ>

(2)その他のリスク

アセスメントに用いたシナリオは保険引受と資産運用について実施しましたが、「訴訟等の法的な影響」については保険引受・資産運用以外の当社事業活動に影響を与える可能性があると考えております。リスク評価における影響度・可能性はそれぞれ中程度相当と想定しており、引き続き情報収集および分析を行い、リスクの把握に努めてまいります。

発生の原因 当社への影響
訴訟等のリスク 気候変動に対する取組みの遅れや不適切な情報開示 当社自身に対して賠償請求訴訟が起こされる、など

表:保険引受・資産運用以外の当社事業へのリスク。なお、保険引受や資産運用への影響についてはアセスメントを実施。

(3)既存のリスク管理フレームワークとの統合

気候変動リスクフレームワークで捉えたリスクの認識は、重大リスクの「主な想定シナリオ」に反映して管理を行い、また、気候変動との間で相互に影響を与える事象である「生物多様性の喪失」はエマージングリスクとして調査研究を行っております。(下表)

気候変動に関連する重大リスク等と主な想定シナリオ
重大リスク・
エマージングリスク
気候変動に関連する主な想定シナリオ
気候変動リスク
(物理的リスク)
台風・ハリケーンの激甚化または頻度増加による火災保険等の保険金支払い、再保険コストの増大。
気候変動リスク
(移行リスク)
脱炭素に向けた政策・法規制の強化、技術革新の進展による株式・債券の価格変動など。
事業中断リスク 想定シナリオを超える大規模自然災害等の発生に伴う重要業務停止の長期化、人命被害など。
パンデミック 森林減少や永久凍土の融解による重大な新興感染症パンデミックの発生増加。
生物多様性リスク 気候変動に伴う生態系の破壊などにより生物多様性が毀損、農作物の生育などに悪影響が及ぶ。

また、気候変動リスクフレームワークを通じて得られた知見を、既存のリスクコントロールシステムの枠組みである自己資本管理、ストレステスト、リミット管理、流動性リスク管理に反映させていく事で、リスク管理全体の高度化を図ってまいります。

4.指標と目標

(1)リスクと機会を評価するための指標

当社は、SOMPO気候アクションの実践に向けたグリーントランジションプランの着実な遂行が、当社グループにとってのリスク低減と新たなビジネス機会の獲得につながるとの認識のもと、以下の指標を用いた評価を行っています。

温室効果ガス(GHG)排出量 温室効果ガス(GHG)総排出量(2022年度)
区分 総排出量
スコープ1、2、3(除く投融資)
[単位:t-CO2e]
239,554
投資先の温室効果ガス(GHG)総排出量*(2021年度)
区分 株式 社債
スコープ3(投融資)
[単位:t-CO2e]
931,821 909,893
投資先の加重平均炭素強度(WACI: Weighted Average Carbon Intensity)*(2021年度)
区分 株式 社債
スコープ3(投融資)
[単位:t-CO2e/百万米ドル]
125.05 167.04
再生可能エネルギーの導入率 2022年度末 5.1%
その他環境指標 電力使用量(2022年度) 2億6,939万kWh
紙使用量(2022年度) 6,157トン
気候変動対策へ向けたリーダーシップ 以下<参考>参照
  • MSCI ESG Research社が提供するデータを使用し、国内外の上場株式と社債の投資先におけるスコープ1およびスコープ2を対象に算出(上場株式のカバー率は86%、社債のカバー率は82%、いずれも時価ベース)。GHG排出量は投資先のEVIC(Enterprise Value Including Cash:現金を含む企業価値)ベースに対する当社持分であり、WACIは、各投資先企業の売上高あたりのGHG排出量をポートフォリオの保有割合に応じて加重平均した値。なお、数値データは遡及修正される可能性があります。
  • 2021年度の数値からWACI算出方法が変更となりました。

(2)リスクと機会を管理するための目標

当社グループは、グリーントランジションプランの達成等を通じたSOMPO気候アクションの実践に取り組んでおり、以下のマテリアリティKPIを用いてその進捗の管理を行っています。KPIの達成状況につきましてはマテリアリティKPIをご覧ください。

マテリアリティKPI 目標値
サステナビリティ関連のイニシアティブ・ルールメイキングへの参画・活動 活動実績を随時公表
投融資先エンゲージメント数 対前年度比増加
自社の温室効果ガス(GHG)削減率 2030年60%削減(2017年比)、2050年実質排出ゼロ
  • スコープ1,2,3(投融資を除く)が対象
使用電力の再生可能エネルギーへの切り替え 2030年導入率70%
2050年導入率100%
投融資の温室効果ガス(GHG)削減率 2025年25%削減(2019年比)、2050年実質排出ゼロ
  • スコープ3カテゴリー15が対象(対象資産は上場株式と社債)
生物多様性保全活動・環境教育への参加人数 2023年度10,500人

<参考>気候変動対策へ向けたリーダーシップ

イニシアティブや国際会議を通じたリーダーシップ

気候変動問題を解決するには、さまざまな主体が連携して取り組むことが重要です。国内外のさまざまなイニシアティブや国際会議において気候変動対策が議論されるなか、当社グループは率先してイニシアティブなどに参画し、主導的役割を担うよう努めています。
主な取組みを紹介します。

GFANZ傘下の2団体への参画

当社グループは、NZAOA(Net Zero Asset Owner Alliance)、NZAM(Net Zero Asset Managers Initiative)に加盟し、ネットゼロに向けたルールメイキングや自社の取組向上に努めています。

CDP(気候変動)への参画およびTCFDへの賛同表明

世界の機関投資家が、企業に気候変動への戦略や温室効果ガス排出量の公表を要請するプロジェクト「CDP」において、2005年から損保ジャパンは機関投資家として参画しています。また当社グループは、回答企業として、気候変動質問書においてAリストに選定(通算5回)されるなど、高い評価を獲得しています。
当社グループは、2017年6月の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言報告を受け、TCFDへの賛同を表明するとともに、UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)のTCFD保険ワーキンググループに参画し、保険業界におけるTCFD開示の発展に取り組みました。

パリ協定「2℃目標」達成へ向けたイニシアティブ参画

当社グループは、2017年に環境省が主導するSBT(Science Based Targets:科学と整合した目標設定)策定支援事業に参画しました。2018年には、SBTiへのコミットメントレターを提出するとともに、金融セクターガイダンス策定*への参画を表明しました。また、2018年度より、SBTi(パリ協定に整合した意欲的な目標を設定する企業を認定する国際イニシアティブ)の推奨する削減水準に基づき、2030年、2050年をターゲットとする中長期GHG削減目標を新たに設定しました。

2018年7月に、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどの情報発信や意見交換を強化するため、ネットワーク組織「気候変動イニシアティブ」が設立されました。当社グループは、当該イニシアティブの趣旨へ賛同し、設立メンバーとして参加しています。

Caring for Climateへの参画

国連グローバル・コンパクト(UNGC)、国連環境計画(UNEP)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が設立した気候変動への企業の役割向上を目指すイニシアティブ「Caring for Climate」では、損保ジャパンCSR室シニア・アドバイザー(当時)の関正雄が運営委員会メンバーとして参画しました。

COP(気候変動枠組条締約国会議)への参画・発信

損保ジャパンは2016年11月にモロッコのマラケシュで開催された気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)のサイドイベントとして環境省が主催した、適応への日本企業の貢献に焦点を当てたセッションに登壇しました。また、COP22の会期中に開催されたCaring for ClimateのHigh-Level Meeting on Climate Changeに、運営委員会メンバーとして参画しました。
2017年11月にドイツのボンで開催されたCOP23のサイドイベント(JICA主催)において、SOMPOリスクマネジメントが「気候変動適応策としての農業保険と官民パートナーシップ」を題材に登壇しました。
2018年11月にエジプトで開催された生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)では、経団連自然保護協議会会長(当時:損保ジャパン会長:二宮雅也)として参画し、開幕に先立って行われた「Global Business and Biodiversity Forum」では、経済界代表として、「経団連生物多様性宣言・行動指針」改定版の概要、および「日本産業界の『生物多様性の主流化』の進捗状況に関する調査結果」について発表しました。また、2年に一度開催される条約会議では、世界各国から多くの政府関係者や民間機関などが参画しており、世界の自然保護の推進に大きな影響力を持つ諸団体の代表とダイアログも行いました。
2022年12月にカナダのモントリオールで開催された生物多様性条約締約国会議(COP15)では、損保ジャパン会長の西澤敬二が経団連自然保護協議会会長として参画し、新たな国際枠組み(世界目標)の達成に貢献するため、環境省と連携し、経団連自然保護基金を通じて、国連開発計画(UNDP)が実施する「SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム」に対し、3億円の資金支援を行う予定を発表しました。

また、当社はCOP15においてUNEP FI(国連環境計画金融イニシアチブ)が民間金融機関に呼びかけている「2050年までに自然と共生する社会」を目指すGlobal Biodiversity Framework(GBF)に関する声明に賛同を表明しました。

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