第三者意見・第三者意見を受けて

SOMPOグループのCSRへの取組みに対する第三者意見

IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]
代表者 兼 ソシオ・マネジメント編集発行人

川北 秀人 氏

IIHOE:「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」を目的に1994年に設立されたNPO。主な活動は市民団体・社会事業家のマネジメント支援だが、大手企業のCSR支援も多く手がける。


当意見は、SOMPOホールディングスのホームページ上のCSR関連ページの記載内容、および損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの小嶋社長、SOMPOホールディングスの保険金サービス企画部、ビジネスデザイン戦略部、CSR、損保ジャパン日本興亜の総務、人事の各部門の実務責任者または担当者へのヒアリングに基づいて執筆しています。
同社グループのCSRへの取組みは、重要な課題に対する戦略的な判断と実践に基づく統合的な推進体制が確立しつつあると言えます。

高く評価すべき点

  • トップ・マネジメントを含む、グループを挙げたCSR推進(「マネジメント体制」)について、グループ経営基本方針に「本業の強みを活かしつつ、ステークホルダーとの積極的な対話を通じて、企業としての社会的責任を果たす」旨を明記し、グループCSRビジョン5つの重点課題と3つの重点アプローチを定め、KPIを設定して日常のマネジメントにおける実践に落とし込んでいること。グループCEO自らが「安心・安全・健康のテーマパーク」へのトランスフォーメーションとエコシステムを通じた価値創出へのコミットメントを明確にしていること。さらにSOMPOホールディングスおよび国内外の主要な連結会社に対して、環境・社会・ガバナンス(ESG)への取組みを確認するアンケートが2011年度から継続的に実施され、各社にCSR推進パーソンが任命されており、各社の現場での実践が「主な取組み」として紹介されていること。今後も、重点課題や社会的な成果による影響に基づいてKPIが適時改定・拡充されるとともに、1次・2次調達先への働きかけが進むことを引き続き期待します。
  • 安心・安全・健康に資する商品・サービスの提供(「主な取組み(お客さま)」)について、天候インデックス保険(気候変動の「適応」に向けた取組み)が2010年のタイでの開始以来、各国に相次いで展開され、農業保険のグローバル統合プラットフォームの開発・提供に結び付いていること、スマートフォンや通信機能付きドライブレコーダーにより収集された走行データの分析に基づくテレマティクス保険において安全運転度合いによる保険料割引を導入したこと、軽度認知障害(MCI)や認知症を補償する保険や介護離職を防止する保険などグループ横断的に認知症サポートプログラムを展開していること、地震等による建物・家財の倒壊・流出を100%補償する地震危険等上乗せ特約を全国で販売したこと、自治体による避難所開設等の発災に備えた初動対応早期化を促す防災・減災サービスなど、先駆的な商品を相次いで開発し、本業を通じた重点課題への取り組みが進められていること。今後は、同様の課題に直面する海外各国に、さらに積極的に商品やノウハウを提供するとともに、世界で最も高齢化が進む日本におけるモビリティ/アクセシビリティなど、人口や家族の構成の変化・多様性に配慮した開発や運用に引き続き期待するとともに、多様なリスクへの対応について知見を社会と共有する研究機関の設立に期待します。
  • 国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)や日本経団連自然保護協議会、企業市民協議会(CBCC)など、国内外の重要なイニシアティブ(「社会への宣言・イニシアティヴへの参画」)について、積極的に参画していること。特に、日本経団連の企業行動指針の改訂においても重要な役割を果たし、SDGs推進において中核的な役割を果たしているたこと。今後も、日本を代表する企業としてイニシアティブを発揮することを、強く期待します。

取組みの進捗を評価しつつ、さらなる努力を求めたい点

  • 人権への取り組み(「CSRの考え方」)について、グループ人間尊重ポリシーに基づくグループ内の人権マテリアリティ評価を進め、従業員の健康・安全、長時間労働をはじめとする重点課題を特定したことを評価しつつ、今後は、損害保険の対象となる取引先の事業における人権リスクのデュー・ディリジェンスや負の影響の回避、発生時の救済について、保険事業者としての知見を存分に発揮できるよう、自社ならびに代理店の役職員対象の育成の機会が増えることを期待します。
  • 保険金サービスについて、相次いだ自然災害に際して、RPAや音声認識システムを活用するなど迅速な保険金支払いを進めたこと、2007年度から「お客様の声白書」を発行し続けていること、対応の多言語化が進んでいることを評価しつつ、今後は、利用者にとって母国外での各種サービス利用時の対応の質的な向上も進められることに期待します。
  • 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントによる資産運用(「特集2 ESG投資を通じた持続可能な社会・成長の実現」)について、先駆的にESGの観点を織り込み、海外の機関投資家からの信任が高まっていることを評価しつつ、今後は、課題先進国である日本の地域における課題解決に挑む企業を増やせるよう、地方金融機関とともに、ESGへの取り組みやSDGsへのコミットメントを促すことを期待します。
  • 人的多様性を生かした組織づくり(「主な取組み(社員-ダイバーシティ&インクルージョン)」)について、国内外の主要ポストの職務評価に基づき、海外グループ共通の人事システムが導入され、育成プログラムも進化しながら積み重ねられていることを評価しつつ、今後は、グループ全体の長期の人的ポートフォリオ目標を明示し、未来の市場・経営環境に備える仮説を検証する研修など、グローバルに活躍する次世代の上級管理職層を育成する体制の拡充や、障碍者をはじめとする人的な少数者が相互に意見交換できるコミュニティの形成が促されることを、引き続き強く期待します。
  • 従業員の健康の維持・向上と働き続けやすい職場づくり(「主な取組み(社員-健康増進に資する取組み)」)について、育児・介護・看護のための休職・短時間勤務や在宅勤務制度を利用する従業員の比率が13%に達していることを評価しつつ、今後は、勤続年数の男女差が合理的と言える水準まで縮小するよう、若い女性の疾患予防・体調管理を支援することを引き続き期待します。
  • 紙の使用量の統合的な管理(「主要ESGデータ(環境側面に関する情報)」)について、さらなる業務の見直しにより前年度比10%減を実現したものの、15年度の水準を上回り続けていることから、今後も、生物多様性保全への取り組みを進めてきた企業だからこそ、環境負荷を低減する取り組み、特に紙の調達先における生物多様性などの保全も視野に入れて進められることを、強く求めます。
  • 長期的な環境負荷の削減について、今後は、日本政府がパリ協定に際して掲げた、2030年までに温室効果ガス排出量(13年比)26%削減、特に同社が該当する「業務その他」部門の40%削減目標を早期に達成するために、再生可能エネルギーの自社導入や他社での導入支援をさらに積極的に進められることを引き続き期待します。

IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]
代表者 兼 ソシオ・マネジメント編集発行人
川北 秀人

第三者意見を受けて

グループCSR推進本部長
グループCOO兼グループCBO 取締役 代表執行役副社長

辻 伸治

集中豪雨の多発や台風の強大化など、気候変動問題が取り上げられる機会が増えています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が昨年10月に公表した「1.5℃特別報告書」において、早ければ2030年にも工業化以前からの気温上昇が1.5℃に達することや農業や漁業、水不足、都市部のヒートアイランド現象など人々の生活環境に大きな影響を及ぼすことが報告され、世界に大きな衝撃を与えました。
今年6月に開催されたG20大阪サミットでは、気候変動・エネルギー問題が海洋プラスティックごみ問題とともにアジェンダとして取り上げられ、様々な主体が気候変動に対してアクションを起こすことがパラダイム・シフトを実現するための鍵になることが強調されています。
ビジネス界においても、金融安定理事会の「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言を受け、情報開示によって投資家と企業の対話を促し、企業のイノベーションと脱炭素社会の実現を目指す動きが加速しています。
当社は、一昨年度TCFDへの賛同を表明し、今年度よりTCFDを踏まえた情報開示を開始しました。引き続き、「社会の安心・安全・健康に資する商品・サービスを提供するソリューション・プロバイダー」として、ステークホルダーの声を受け止め、気候変動問題にしっかりと向き合い、将来世代が希望を持てる社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。

川北様には2001年から「CSRコミュニケーションレポート」への第三者意見を執筆いただいております。執筆にあたっては、双方向の対話を重視するお考えのもと、各部門との対談などを通じてグループの取組みを深くご理解いただき、持続可能性の観点から様々なアドバイスを頂戴しており、深く感謝申し上げます。
今回は、自然災害の際にお客さまに保険金をお届けする損保ジャパン日本興亜の保険金サービス業務での取組みや、現在開発中のAIを活用した災害に対する適応力を高める新たな取組みをテーマに対談いただきました。これまでは保険商品の特性上、「適応」に大きな期待をいただいていましたが、「予防」の視点での新ビジネスや地域との協働など、大変貴重なご意見をいただきました。
また、昨年に引き続き実施した損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントとの対談は、長期投資家として持続可能な社会への貢献に関する興味深いものとなりました。ESGのうち、これまでの「E」(環境)に加えて、介護や地域等の「S」(社会)の視点での示唆をいただきました。

一方で今後の課題として、紙の使用量削減および調達時の生物多様性の考慮や再生可能エネルギーの導入といった環境負荷低減への取組み、人材競争力の強化や働き続けやすい職場づくりに向けた具体的なご提案、CSR-KPIのあり方についてもご意見をいただきました。改善に向けて一歩ずつ取組みを進めてまいります。

当社グループは、2020年度までの中期経営計画において、保険の枠にとどまらず、社会の中心である「人」の人生に寄り添い、デジタルテクノロジーなどのあらゆる先進技術を適切に活用し、社会的課題を解決していくとともに、ひとつなぎで支えていく「安心・安全・健康のテーマパーク」の実現を掲げ、今まさに取り組んでいます。今回の対談等で頂戴したご意見や得られた気づきをグループ経営に活かし、ステークホルダーからの期待に応えるべく取組みを加速してまいります。