グループCSR重点課題の特定プロセス

2016年4月、当社は、国際社会の動向などをふまえてグループCSR重点課題を見直しました。さらに、新たな重点課題に即したグループCSR-KPI(重要業績評価指標)を策定したうえで、PDCAを通じた取組みを推進し、パフォーマンスの向上を目指しています。

ホールディングス設立以降のCSR推進プロセス

2010年4月、損保ジャパン(当時)と日本興亜損保(当時)が経営統合して設立した共同持株会社「SOMPOホールディングス(当時:NKSJホールディングス)」の発足と同時に、それまでの両社の取組みを活かし、「グループCSRビジョン(当時:CSR基本方針)」を策定しました。CSR基本方針のもと、2011~2012年度にかけて、グループのCSR重点課題を特定し、2013~2014年度にはグループCSR-KPIを策定してグループをあげて取組みを推進してきました。

重点課題を見直した背景と経緯

2015年9月、2030年に向けた「持続可能な開発のための目標(Sustainable Development Goals;SDGs)」が国連サミットで採択されました。同年12月には、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)での「パリ協定」が採択されるなど、2015年はサステナビリティに関する国際合意が議論された重要な年となりました。また、当グループは、2016年度から「安心・安全・健康」をテーマとするサービス産業への構造転換を目指す新中期経営計画(2016〜2020年度)をスタートしました。このような国際動向や当グループの環境変化をふまえ、サステナブルな社会の実現に向けたより一層の貢献とグループの成長の双方の実現を目指し、重点課題を見直しました。

重点課題を見直した4つのステップ

STEP 1 各種ガイドラインなどによる分析

CSRの課題がグローバルに影響し、国際的な対応が求められるなか、さまざまな国際的なガイドラインやフレームワークが策定されています。当グループはグローバルに事業活動を展開するうえで、これらを理解し、活用していくことが重要と考えています。
当社は、2011~2012年度のグループCSR重点課題の策定の際に実施したISO 26000によるマテリアリティ分析のマッピングに加え、SDGs、GRI「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン(第4版)」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(ラギー・フレームワーク)」など、社会的責任にかかわる国際的なガイドラインをふまえ、「ステークホルダーへの影響度」および「当グループにとっての重要度」の2つを座標軸としてマッピングし、優先順位の高い項目を絞り込みました。

図1 マッピング

STEP 2 マルチステークホルダーとのダイアログ

ステークホルダー・エンゲージメントは、社会的課題を認識し、信頼と協働関係の構築を通じて、より大きな成果を生み出すための重要な取組みであると考えています。重点課題の見直しにおいても、「CSRの有識者・国際機関」「ESG投資専門家」「行政」「NPO/NGO」「消費者」「代理店」「社外取締役」「労働組合」の16機関・団体の幅広いステークホルダーと意見交換を行いました。

重点課題の見直しにおいてダイアログを行ったステークホルダーの皆さま
ステークホルダーカテゴリ 所 属
*ダイアログ実施当時(2016年1~2月)の所属
氏 名 主なコメント 当社の対応
CSRの有識者
国際機関
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者 兼 ソシオ・マネジメント編集発行人 川北 秀人 氏 リスクマネジメントとステークホルダーの満足を目指す2つの視点で考えることが重要である。事業変化に伴い、サプライチェーンなども考え直す必要性がある。 重点課題ごとのリスクと機会を整理し、また、今後、事業変化に伴いサプライチェーンも踏まえた重点課題の見直しも図っていく。
東京都市大学 環境学部 教授
幸せ経済社会研究所 所長
NGOジャパン・フォー・サステナビリティ 代表
枝廣 淳子 氏 重点課題ごとの施策を考える際には、商品・サービスの社外向けの施策と、社内の基盤構築などの施策の、両面を考えることが重要である。 「3つの重点アプローチ」に両面の視点を含め、施策の検討・推進に活かしている。
持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)
Managing Director, Redefi ning Value/Manager, Redefi ning Value, Reporting
Rodney Irwin 氏/Anaïs Blasco 氏 重点課題の選定に至るまでのプロセス(ストーリー)を伝えることが重要である。また、SDGsとの関連性を説明する必要がある。 策定プロセス、SDGsとの関連性についての情報を開示している。
国連開発計画(UNDP) 駐日代表事務所 広報・渉外スペシャリスト 西郡 俊哉 氏 UNDPが掲げる3つの重点課題(レジリエント、サステナビリティ、インクルーシブ)と方向性は合致している。 UNDPが掲げる3つの重点課題に沿うような施策も展開していく。
WTO 経済導刊 副社長 Gefei Yin 氏 見直した重点課題は「課題」と「アプローチ」が明確にわかれており、また、内容も納得感がある。重点課題が経済、社会、環境の価値創造につながることを強調してはどうか。 経営戦略との関係性について整理し、開示している。
ESG投資
専門家
特定非営利活動法人 社会的責任投資フォーラム 会長 荒井 勝 氏 投資家に情報を伝えるためには、業種・企業の特徴(強み)を活かした重点課題であること、また、「企業が今後何を目指すかというストーリー」を伝えることが重要である。 業種・企業の特徴(強み)を特集として開示し、また、経営戦略との関係性について整理し、開示している。
責任投資原則(PRI)ジャパンヘッド、グローバルネットワーク&アウトリーチ/CDP事務局ジャパンディレクター 森澤 充世 氏 設定した重点課題に取り組むことが、企業の成長につながることを伝えることが重要である。 経営戦略との関係性について整理し、開示している。
行政 内閣府 政策統括官(防災担当) 加藤 久喜 氏 防災・減災は行政だけで取り組むには限界があるため、企業に期待している。リスクに対する意識を国民や社会に伝える役割を期待している。 重点課題1に「防災・減災への取組み」を掲げ、リスクに対する意識を高める啓発にも取り組んでいる。
環境省 地球環境局 国際連携課 課長/課長補佐 辻 景太郎 氏/瀬川 恵子 氏 これまで環境問題の解決に積極的に取り組んできていると思うが、今後さらに気候変動の適応策などの本業での取組みや人材育成の取組みを強化することを期待している。 重点課題3に「地球環境問題への対応」を掲げ、適応策を中心とした商品・サービスの開発・提供や環境教育に力を入れている。
経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室 室長補佐/係長 坂井 萌 氏/関 万里 氏 ダイバーシティの推進を経営戦略としてとらえ、取り組んでいる点が良いと感じる。企業として、ダイバーシティ経営に取り組む背景を投資家などステークホルダーに伝えていくことが重要。 重点課題5に「ダイバーシティの推進・啓発」を掲げ、取組みを推進し、開示している。
NPO/NGO 認定特定非営利活動法人 日本NPOセンター 事務局長 新田 英理子 氏 引き続き、新たな社会的課題に対してNPO/NGOと連携して取り組んでほしい。また、貧困や格差の解決にもつながる低所得者層への金融サービスに期待している。 「3つの重点アプローチ」に「人材育成を意識したNPO/NGO などをはじめとするさまざまなステークホルダーとの連携」を掲げている。また、「東南アジアの天候インデックス保険」など途上国向けの商品・サービスを開発・提供しているが、さらに低所得者層向けの金融サービスの開発・提供に取り組んでいく必要がある。
消費者 公益社団法人 全国消費生活相談員協会 理事長 吉川 萬里子 氏 見直された重点課題に真摯に取り組んでいただくことにより、消費者がこれまで以上に、より「安心・安全・健康」な最高のサービスを入手できるのは嬉しい。期待したい。 引き続き、重点課題に掲げる課題に真摯に取り組んでいくとともに、最高品質のサービスの提供に向け取り組んでいく。
代理店 AIRオートクラブ 会長 丹野 司 氏 環境の取組み、社会貢献活動など、代理店と社員の連携をさらに強めていくことが重要である。 代理店と社員の連携を意識した取組みをさらに進めていく。
社外取締役 立教大学 経営学部 教授 Scott Trevor Davis 氏 継続性の観点からもこれまで取り組んできた内容をふまえながら、社会・グループの変化とともに変遷している戦略やストーリーを伝えていくことが重要である。 これまでの取組みと、グループの変化に伴う戦略の両面を開示している。
労働組合 損害保険ジャパン日本興亜労働組合 執行委員長 宮井 淳 氏 グループの事業変化に伴い、社員との対話がより重要になる。グループの健全な発展に向けての提言を継続していく。働く私たちにとっても、世界に誇れる企業グループを創り上げていきたいと考えている。 労働組合と社員との対話を引き続き深めるとともに、発展に向けた提言を継続していく。
関東電力関連産業労働組合総連合 事務局長(元 日本労働組合総連合会(連合)出向) 竹詰 仁 氏 地域の課題に取り組むには、優先順位をつけて、長期的な視点で継続的に取り組むことが重要である。また、投融資でのESG配慮に期待している。 重点課題4に「よりよいコミュニティ・社会づくり」を掲げ、長期的視点を持って取り組んでいく。また、PRIの原則や日本版スチュワードシップコード等に沿った、投融資でのESG配慮を進める。

STEP3 グループ内エンゲージメント

グループ全体でCSRを推進するにあたり、ステークホルダーからのご意見をふまえ、グループ会社横断の「グループCSR推進本部」、当社経営会議、取締役への説明会などで議論を行いました。

「グループCSR推進本部」の様子

STEP4 項目の決定、取組み推進

STEP1からSTEP3のプロセスを経て、新たな重点課題を決定しました。グループCSR重点課題に即したグループCSR-KPIを策定し、グループのCSR推進体制におけるPDCAサイクルを通じて社会的課題の解決に資する取組みを推進することで、サステナブルな社会の実現に向けて貢献していきます。
また、グループCSR-KPIにもとづいた取組状況は、定期的に当社経営会議で報告しています。
さらに、今後とも国際社会の最新動向や当社グループの事業環境の変化などをふまえ、必要に応じて重点課題の見直しを行います。

図2 優先順位の高い項目を絞り込み